[女性誌速攻レビュー]「Ray」7月号

「いつも一緒にいたい女のコ」像を追求した結果、阿部定っぽくなった「Ray」

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Ray2012年 07月号(主婦の友社)

 女性誌レビューに、赤文字雑誌「Ray」が初登場です! 突然ですが、みなさんは「Ray」にどんなイメージを持っていますか? もしかしたら、「んー、『CanCam』と『JJ』よりは幼い感じかなぁ? 『ViVi』みたいにギャルではないよね」など、曖昧な答えしか出てこないのではないでしょうか。

 そう、「Ray」は、ほかの赤文字雑誌が、間の抜けたP音が笑いを誘う「おしゃP」(「JJ」)、かつては紗栄子とダルビッシュの結婚を指した「羨ま婚」(「CanCam」)、言葉自体にバカ可愛さがあふれる「おしゃ可愛うぃーね!」(「ViVi」)などといったキャッチ&ワードで、イジッてアピールをする中、今いち個性が見えてこないんです……。しかし、「Ray」とて、20年以上もの間、赤文字雑誌四天王の一角としてその座を守り続けている豪傑。今回は、そんな「Ray」の世界に、切り込んでいこうと思います!

<トピック>
◎「Happy Summerを約束するワンピMagic」
◎「今日の気分は何色? 夏おしゃれ★COLOR」
◎「肉食女子のための“草食のふり”講座」

■「Ray」に広がる「定吉二人キリ」ワンダーワールド
 「Ray」をパラパラめくっていると、あることに気が付きます。淡い……なんか、ものすごく淡い。写真のほとんどが、白っぽく、ぼやっとした調子で撮影&加工されているので、どぎつさがなく、まるで素麺でもすすっているかのような読み応えなのです。

 そもそも「Ray」は、甘めのお姉系ファッションが中心とのこと。“お姉系”といっても、木の実ナナや、かたせ梨乃といった“お姐系”的な要素は一切ありません。「可愛い服だけど、20代という年齢からして、痛くなりすぎないものを……」というコンセプトなのでしょうが、今号の「Happy Summerを約束するワンピMagic」や「今日の気分は何色? 夏おしゃれ★COLOR」で紹介されている洋服は、かなり“甘め”が効いています。もう、ことごとくパステルカラー! 分け入っても分け入ってもパステルカラー! 洋服だけならまだしも、サングラスまでもパステルピンクに染まっている事態。ぬかりありません。かつ、そこにフリル、花柄、レースが乗っかり、糖尿病必至の甘さ加減なんです。そんな、パステルファッションに身をつつんだ、これまた美人だけどヘタに目立たないモデルたちを、ぼやっと撮影しているため、さらに誌面全体の淡さが過剰に。まるで、幻影でも見ているような気分になってしまいました。

 この、幻じみた誌面って一体なんなんでしょう? その答えは、「Ray」が提唱する、目指すべき「Ray」ガール像にありました。詳しく「Ray」のコピーを見ていきましょう。

「大好きなカレから愛される女子になりましょ(はぁと)」
「いつも一緒にいたい女のコになる!」
「彼も胸キュン(はぁと) 可愛すぎるエンジェルビキニ」
「雨の日だって可愛くいたいから…カレに会う日のレイングッズ」
「夏こそもっと愛されたいから……」

 ……レイングッズは、雨を避ける道具ではなく、カレに可愛いと思わせる武器という新解釈が、さりげなく誕生しているのは置いといて。そう、つまり「Ray」には、「カレ」の視線が常にあるんです。むしろ、「カレがいるから、私がいる」と言っても過言ではないくらいの、主体性の欠落を感じてしまいます。「腰かけOLのバイブル」という俗称がある「CanCam」ですら、昨今は盛んに「女が社会に出て働くとは何ぞや」と、時勢を反映した特集を組んでいるのに比べ、「Ray」は、恋愛至上主義、カレ至上主義を貫いているのです。

 時代の流れなんて放っておいて、愛する男に同じように私も愛されたい……そんな「Ray」の価値観、どこかで聞いたことはありませんか? そう、愛するがゆえ、男のイチモツを切り取って逃走した阿部定っぽい! 現代っ子の「Ray」ガールに、“大好きなカレ”のイチモツを……という根性があるとは到底思えませんが、少なからず、「定吉二人キリ」思想が根底に流れている気がしてしまいます。

 そして、社会にとってでもなく、自分にとってでもなく、あくまで「カレ」にとっての素敵な私であるために、どうすればいいのかを突き詰めた結果、あの幻じみた誌面にたどり着いたのではないか、と。

 だって、そうですよ。「私、おしゃPっぽくない?」とか「私も羨ま婚したーい!!」とか「えーそのハット、おしゃ可愛うぃーね!」とか、訳のわからない言葉で自己主張をする女より、幻のように掴みどころのない、淡い女の方が、結局男は一緒にいて楽。「Ray」ガールの到達点は、カレに「いつも一緒にいたい」と思われる女の子になること。前文で、個性が見えてこないとまで書きましたが、その無個性さこそが真のモテだと、「Ray」は伝えようとしているのではないでしょうか。

■「甘いものが苦手」なだけで「Ray」ガール失格!?
 「草食」「肉食」という言葉が世に出始めて、早5年以上。そろそろ死語になるのではないかと思われながら、女性誌ではまだまだ根強く「草食」「肉食」企画が組まれています。「Ray」も例外ではなく、今号では「肉食女子のための“草食のふり”講座」という読み物ページが。「ファッション」「ヘア&メイク」「駆け引き」「会話」「セックス」の5テーマにおける、カレに好かれるための草食テクニックが収められています。

 「ファッション」「ヘア&メイク」については、これはもう言わずもがな、「オシャレすぎるな!」という警告が。高級ブランドは「ママの借り物」、高すぎるヒールは履かない、派手なデコラネイルをしないなどなど、女をアピールしすぎない戦法です。「女は女らしくあろうとすると、男に嫌われるというのが今の定石なんだなぁ」と思いながら読み進めると、目を疑う記事が!

 男子200人にアンケートを取った「“肉食女子だ”と引いた瞬間トップ10」の第4位に「甘いものがい苦手」という見出しが踊っていたんです。「“ケーキ大好き(はぁと)”って感じの見た目のコの好物が、塩辛。ちょっと凹んだ」「デザートを食べない女のコは、肉食かもと疑います」と、一体何に怯えているのかわからない男子の意見に、うっすら眩暈。食べ物の趣向は、女ぶっていいみたいです。……が、そんなことよりも、塩辛すら食べさせてもらえない「Ray」ガールが、かわいそうでなりません。「女だからって、四六時中ケーキばっかり食ってると思うな!」と、声を大にして言いたい!

 ほかにもこのコーナーには、「タバスコを大量にかけるコ。辛いものが得意=肉食って思う」「2杯目に焼酎の水割りセットを頼んだ白ワンピ女子。ギャップありすぎ」など、食い物についてのトンデモ意見が多数見られました。「Ray」ガールが心から愛されたいと思ってる「カレ」が、こんな姑根性丸出しのような小言を言うだなんて……。「幸運にも、この飽食の時代に生まれることができたのに。男に何をどう食うかまで意見されて、あんたら、それでいいのか!」と、小一時間くらい居酒屋で話をしたいとさえ思ってしまいました。

 でも、こういうカップルは、案外うまく行くのかも。女の子を幻かなにかだと勘違いしている男と、そんな幻の中で男とキャッキャしたい女……。お似合いっちゃあお似合いだけど、もし、その世界観を突き詰めていこうと思うならば、イチモツを切り取って逃走するぐらいの根性を、「Ray」ガールには身につけてほしいものです。

 次号以降も、「Ray」ガールと“大好きなカレ”の行方を、追っていきたいと思います!
(豊島ユイ)

『Ray 2012年 07月号』

こちとら、大好きなカレこそが幻です……

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