[女性誌速攻レビュー]「美ST」7月号

「過度な若づくり=イタい」に気付いた「美ST」、新たな行き先はスピ!

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「美ST」2012年7月号(光文社)

 先月号の「美ST」は、「美」を若さだけでなく精神性に求めてみるなど価値観がグラグラしていましたが、今月号はどうでしょうか。美容ジャーナリストの齋藤薫は、連載コラム「表紙の美女から何を学ぶ? 齊藤薫の読む美容液」で、表紙の森高千里について「そよ風のようなエアリー感と清潔感をもち続ける人」とまるで新型エアコンみたいな賛辞とともに、次のように述べていました。

「“美魔女”を目指す大人たちの、たったひとつの落とし穴は、美しくなればなるほど、若返れば若返るほど、ある種の“業”が見えてきて、少しコワくなりがちなこと。ひょっとしたら私も? そういう不安をもつ人は、森高千里のつくる風のような美しさをちょっと思い出してほしい」

 言っちゃいましたよ、ついに。美魔女を「コワい」って言っちゃいました。さらに、次のインタビューページ「美しき40代へのメッセージ」では、作詞家の阿木燿子が「美魔女と呼ばれる女性は美しくなる努力を惜しまずなさって、凄いと思います。(中略)でも、完璧に作りすぎると近寄りがたい感じになるので、多少の隙って必要ですよね」と語っていました。そして、美魔女ではなく「本魔女」として尊敬している人に、黒柳徹子の名を挙げていました。さあ、冒頭から波乱含みの「美ST」7月号。いったいどうなるんでしょう。ゴールは徹子で正解なの!?

<トピック>
◎「女が見たい、オンナノハダカ」
◎“ほぼロコ”のキレイを磨くハワイ
◎ノーファンデなら素肌っぽい! でも美しい!

■ギラギラの自己陶酔を見たいのよ!!

 山田花子(37歳)が妊婦ヌードを披露しています。え、見たくない? 一応タイトルは「女が見たい、オンナノハダカ」となっています。山田花子だけでなく、美魔女グランプリの山田佳子さん(46歳)、ふっくんの妻・つちやかおり(47歳)も脱いでいるんですが、みなさん手ブラで上半身まで。ヌードじゃなくてセミヌードですね。でもって、なぜかみんな写真がブレブレのボケボケです。「携帯カメラ、接写モードのまま撮っちゃった、めんごめんご~」って感じのボケ具合。わかりやすく言うと、アートなんです、アート。

 断言しますが、誰も「美ST」にアートを求めていません。「美ST」のヌードに求めるものは、被写体のシワとボディラインをはっきり写し取るピントと、自己顕示欲に満ちた心を露にする強烈なライト。それを見た読者はみんな冷ややかな心になり、「こんなモン掲載して誰が得をするの?」と思わず呪いの言葉をつぶやいてしまう魔法のヌード。それこそが「女が見たい、オンナノハダカ」です。アートなヌードなんて、女も男も誰も見たくない。誰得ヌードは誰得ヌードでも、そっち方面に行ったら本当に誰も得しないよっ!

 と憤りつつページをめくったら、LiLiCo(41歳)がやってくれました。彼女だけひとりカメラマンが違うのですが、クッキリバッチリ自分にウットリ、ヘソピ、アクセじゃらじゃら、手ブラ手パンの全身セミヌードです。スウェーデン人の父と日本人の母のハーフというだけあり、迫力満点でゴージャス。ビンボ臭い自然体のアートヌードとはまったく違います。一瞬、岡本夏生に見間違えてしまうような品の悪さもプラスに転んでいます。「何か悲しい事、心が痛い事、人生の転機があると『体でも痛みを感じて残しておきたい』と思ってタトゥーを入れます。だから、私の体は悲しみを刻んだカラダ……」とコメントの自己陶酔具合も申し分なしでした。そうそう、これでなくちゃ。

■魔女ではなく霊を呼んじゃったSHIHO

 大特集は「“ほぼロコ”のキレイを磨くハワイ」。“ロコ”はハワイの人という意味で、“ほぼロコ”はハワイに何年も何十回も通っている人を指す「美ST」の造語だそうです。得意げにあちこちのページでほぼロコ、ほぼロコと言っていますが、ふつうに“ハワイ好き”とか“ハワイ通”に置き換えても大差ないような。「美ST」はもともと造語が好きな雑誌ですが、こんなやっつけ仕事的なネーミングを無理に押してくるあたり、「早いとこ美魔女に代わる金鉱を掘り当てなきゃ、数打ちゃ当たるはず」という下心を感じずにはいられません。やっぱり美魔女の季節はもう終わったのかなぁ。

 このハワイ特集も、「美ST」ならではのバブリーなコスメ&エステ情報は一応あるんですが後に回し、前半は「癒し編」として、自称ハワイ通のSHIHOがパワースポットを巡るグラビアで構成されています。滝のそばで濡れながら「屋久島に似ているけど、さらに広がりがありますね」と暗にパワスポ通であることを匂わせるSHIHO、古代の精霊が集うといわれる聖域で「見えない何かが息づいていることを肌で感じます」と地縛霊におびえるSHIHO(←実際はおびえていません)、夕日が沈むビーチをバックに「感謝の心を忘れず、周りが幸せでいられる選択をすれば、必ずハッピーになれる」と相田みつをに化けるSHIHO……。

 ああ、「美ST」が出家しちゃった(涙)。

 揺らいでいた「美ST」の美が、今月号でスピリチュアリズムに完全に持って行かれました。もう美魔女は飽きられたのかもしれません。異常に若くて美しいオバサンを、人は「イタい」と呼ぶ。だから、イタく見えないように、あたかも「若作りなんてしませんよ」と逆アピールするように、内面を磨くことが第一であるとする時代に入ったわけです。イタいのイタいの、飛んでいけ~! そう念じながら、アートにパワスポに、感謝してハッピーってなことを装うわけです。イタく見られないようにがんばるという行動は、はたして「イタくない」と言えるのでしょうか。というか、そもそもイタくて何が悪いの!? 相田みつをも「イタくたっていいじゃないか、オバサンだもの」と言っていたような気がします(←実際は言ってません)。風とか霊とか空気とか、何もないもの読んでどうする? 物心ついたころから30歳40歳になるまで、ずっと読んできたんだからさ、もうやめたいよ。せめて「美ST」だけは……。きっと引き返してきてくれると信じています。
(亀井百合子)

「美ST」

「私がオバサンになったら」の答えは「エアコン女」

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