[TVツッコミ道場]

気のきいたコメントはなくても静かな感動がある、火野正平の旅番組

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『NHK にっぽん縦断こころ旅』(宝島
社)

 今回ツッコませていただくのは、4月2日から放送されている、NHK-BSプレミアム『にっぽん縦断こころ旅  2012“春の旅”』(2011年春編、秋編に続くシリーズ)。この番組がスタートした2011年当初は、「なんで火野正平?」と、人選が不思議に思えた。

 そもそも、火野がモテモテだということも、積年の疑問だった。『スタジオパークからこんにちは』に出演したときだったか、視聴者の女性からのハガキに「中学生のころから好き」「小学生のころから好き」という内容があり、「この魅力(があるのかどうか)がわかる小中学生女子って、どれだけ大人びているんだ」と思ったことが強く印象に残っている。「味のある低く渋い声」を魅力として挙げる声がある。また「好意も、それ以外も、感情をそのまま垂れ流す」ところ、「人たらし」だという指摘も耳にする。そんな世間の声をひとまず脇に置いておき、番組を見てみる。

 感心したのは、立ち寄った店などで美人を見かけると、ちゃっかり肩を組んでみせたりする「予想通り」のお人柄。でも、一緒にいるおばさんやおばあさんにも「ついで」と言って肩を組むのを忘れないのは、意外だった。野鳥を見かけると「ガアコ」とか、性別もわからないのに女(?)の名前をつけて呼びかけたりするところも、さすがだ。

 ……と、途中までは「火野正平と女」という軸にのみ着目していたのだが、次第に気になってきたのは、この人の物事に対する“距離感”だ。

 視聴者から寄せられた「こころの風景」を訪ねながら、相棒のチャリオ(自転車は男の名前だ)と日本を縦断する日々。だが、火野正平は視聴者に向けたレポートをするでもなく、ただひたすらゼイゼイ息をはずませながらキツイ上り坂をのぼっていったり、下り坂には鼻歌を歌う。

 さらに、毎日視聴者の「こころの風景」の手紙を読み上げるけれど、それについて火野正平はいちいちコメントをしない。

 5月15日放送分では福島県を訪れ、美空ひばりの歌碑に到着した。だが、そこでも、とってつけたような感想や優等生なコメントは一切なく、ただ一言。

「歌碑あったよ。いまもちゃんとあるよ」

 思えば、一人一人の「こころの風景」には、ただそこを訪ねただけの赤の他人がコメントすることなんて、無粋なのかもしれない。その風景を求めてひたすらチャリをこぎ、汗をかき、息を荒くし、寒さに震え、その果てに辿り着くだけ。そうした風景・思い出への「寄り添い方」には、何の言葉もないのに、不覚にも少し感動をおぼえてしまう。

 それがモテの理由なのかどうかは分からないし、勝手気ままなおじさんであることは確かだけれど、他の散歩番組にはないしみじみした味わいが、「こころ旅」にはある。
(田幸和歌子)

『NHK にっぽん縦断こころ旅』

塩谷瞬についてコメントしないところも好感!

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