[女性誌速攻レビュー]「Gina」 vol.4

イイ女感ムンムンなのに! 「強めギャルはモテない」と断言する「Gina」

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Gina vol.4(ぶんか社)

 今回、女性誌レビューに、ギャルファッション誌「Gina」(ぶんか社)が初登場です。10代後半~20代前半向けのギャル雑誌「JELLY」のお姉さん的ポジションの同誌。昨年10月に創刊され、vol.1、2は各書店で売り切れが続出、ギャル雑誌の大型新人と言えるでしょう。4号目となる今号の表紙には、「25歳から新しいカジュアルを提案します!」というキャッチコピーが踊ります。

 「Gina」が提唱する25歳像……そのキーワードとなるのは、“攻め”。そして“辛口”。軽く睨みを利かした藤井リナの表紙はビッチ感ムンムンだし、第1特集「私たちの毎日コーデは シンプルbut辛口!!」には、ケイト・モス、ミランダ・カーといった海外セレブが大乱舞、もちろん強めギャルの必須アイテム・塩沢トキ風デカグラサンも各所に登場しています。いやはや、心地よいくらいの「ドヤ感」なんですよ。「Gina」読者が、25歳に対して、「そろそろ落ち着けとか言われるけど、そんなん無視。コンサバとかクソ。いつまでも遊んでいたい! かっこよく生きたい!」と、中指を立てている様がありありと目に浮かびます。しかし、実は「Gina」の面白さは、別のところにあると思うんです。“攻め”“辛口”とともに、同誌に連発される“エッジィ”というワードが、気になる! この“ィ”のかわい子ぶった感じ、もっというと、ダサい感じが、引っかかります。その正体とはなんなのか、「Gina」をじっくり読んでみましょう!

<トピック>
◎加藤千恵 「いろごと」
◎大人の女のTシャツはイバれてナンボ! ドヤT大集合!
◎ヒッピーLover 星あやの Let’s 女子旅!

■強め大人ギャル×文化系女子のコラボ!?

 表紙に引き続き、グラビアページにも藤井リナが登場。全身に対して布の面積が約3割という、肌見せ命のギャルファッションを惜しげもなく披露しています。この調子で特集が始まるのかと身構えると、突如、文化系女子歌人・加藤千恵の短編小説「いろごと」が……。「ハッピーアイスクリーム」(中公文庫)という、およそ強めギャルとは相いれないタイトルの歌集でデビューした彼女が、なぜ……? 恐る恐る読んでみると、

「モノトーン好きのちょっぴり頑なな25歳女子が、美容師に恋をする。友達のアドバイスでピンク色のパンプスを購入するも、美容師から『今月で店を辞める』と告げられ、ショックを受ける。しかし、ピンクのパンプスを『珍しいですね。可愛い』と褒めてくれるのだった――」

 という、センチメンタルなストーリー&文体。かつて西麻布のバーで、オリラジの藤森にいきなりパンツを見せつけたという伝説を持つ藤井リナだったら、店に入った瞬間その美容師にしなだれかかり、「私のパンツ、見せたげよっか?」ぐらい言いそうじゃない!?

 “自分を持ってるいい女”がテーマっぽい雑誌なのに、23ページ目で早速男に振られるという構成に、強めギャルの不安定さを垣間見たような気になります。と、いうか、ふと冷静に考えてみると、強めギャルの子って、実は真面目な子が多いのでは。かっこよくありたいという自意識が強すぎて、男の前でもとんでもないミニスカートに高いヒールを合わせ、きつめのアイライナーで目を囲み、ビッチっぽくふるまう。かわいこぶれず、突っ張ってしまうがゆえに、結局男に引かれる場合が多いと思うんです。でも、やっぱり、腐っても女ですから。かわいくなれない自分自身に、イライラしてしまうこともあるはず。
 
 って、これ、こじらせてる文化系女子と同じメンタリティじゃないですか! 「かわいくなんてなりたくない」と「かわいくなりたい」の間で揺れ動いている、めんどくさい感じがまさに。大人ギャルの心の扉をぶち破いてみたら、文化系女子の沼っぽい臭いが立ち込めていたんです。そう考えると、一見変化球のようにも見える加藤千恵の起用も、納得せざるを得ないのかもしれません。

■どこにでもしゃしゃってくるキティの厚顔さ

 さて、次に「ドヤT大集合」を見ていきましょう! ドヤTもなんですが、モデルのドヤ顔も、なかなかの見もの。モデルが口を半開きにしているショットが目立ちます。しかも、だいたいみんなビビッドなカラーの口紅を塗っているため、なんだか、エロくもあり、滑稽でもあるんですよね、これが。

 紹介されているTシャツは、どれも1点でサマになる派手なものばかり。まるで嘔吐する寸前のようなレディ・ガガがプリントされたTシャツ、「ROCK STAR BUCKS」というスタバのパロディTシャツ、着方を間違えると大阪のおばちゃんになる豹柄Tシャツなどなど。“イバれるTシャツ”と銘打っていますが、いじられやすさでも、なかなかポイントの高いラインナップです。

 ところで、こんなところでも異様な存在感を示しているのが、世界で一番有名な猫・キティ。キティ×キットソン×ユニクロのトリプルコラボTシャツが紹介されています。どんなに突っ張っていても、年を取っていても、女はみんなキティが大好きという風潮は、「Gina」も例外ではないよう。散々“攻め”“辛口”“エッジィ”とか言っときながら、キティはセーフみたいです。しかし、かわいいという代名詞を免罪符のようにして、どこにでもしゃしゃってきますよね、この猫は。無意識のうちに、そんなキティ(=かわいいの代名詞)を受け入れてしまっている強め大人ギャルは、実はむちゃくちゃかわいいのではと感じてしまうのでした。

■「Gina」っ娘の旅行先は、磯の香りがするあの場所

 25歳といえば、少しまとまったお金が貯まってくるお年頃。日々の仕事のストレスを旅行で発散する人も多いのではないでしょうか。

 強め大人ギャルは、どこに旅行に行くとカッコイイのか? 世界の最先端をゆく街・ニューヨーク? 情熱の国・スペイン? はたまたどこか小さな南の島を貸切にでもしちゃう? いいえ! 「Gina」はその答えとして、伊勢志摩を提案しています。(どーん!)

 なぜ伊勢志摩なのかを考えると、途方に暮れそうなので、ひとまず置いておくとして、この伊勢志摩ページ、6ページも続きます。まずは、「空気も木々も違う。ここはきっと日本一ピュアな場所」というコピーとともに、伊勢神宮が取り上げられているんですが、違和感が半端ない! さっきまで海外文化への憧れを爆発させていたのに、いきなり伊勢うどんの紹介って一体……。モデルの星あやも、鳥居をバックにどんな表情を作っていいかわからなかったようで、笑っているような泣いているような、ものすごく呆けた顔をしています。

 続く、志摩ページでは、同地を「海外リゾートと見まがう場所」と強力アピール。大王埼灯台、志摩スペイン村、鳥羽水族館などを、異国っぽく撮影しています。実際に、何度か志摩を訪れたことがある筆者から見ると、カメラマン、いい腕してるなぁ……といった印象です。

 宿泊施設のページでは、さらにラグジュアリーな雰囲気の写真が並びます。リゾートワンピースを着て、プールサイドを歩いたり、カフェテリアでお茶をしたり、エステを受けたりなど、「女子なら絶対に来るべき“憧れ”が詰まった場所(はぁと)」として、紹介されています。が、どんなにラグジュアリーでも、海外のリゾートじゃないもんなぁという思いは拭えず、これ、海外だったらすんなり読めたのに、と。ないものねだりですが。

 「Gina」編集部も、なにかしら思うところがあったようで、伊勢を「Ise」に、志摩を「Shima」にという、小賢しい表記を使っていましたよ。

 それにしても、伊勢志摩を旅行する庶民っぽさは、もしかしたら、現代の25歳を象徴しているのかも。「そんなにお金があるわけじゃない。でも、ちょっとずつ節約して、お金を貯めよう。それで、国内でいいから、友達と旅行でもしたいなぁ」そんな思いを叶えてくれる場所が、伊勢志摩だったんじゃないでしょうか。表っ面は、“攻め”“辛口”“エッジィ”な「Gina」っ娘の、隠しきれない慎ましさがあふれ出す企画でした。ギャル雑誌で、ヒートアップどころか、ハートウォーミングするとは、思ってもみませんでした。

 ちなみに、最終ページには、「負け美女」(マガジンハウス)の犬山紙子のエッセイ「悲しき負け美女の口癖」が掲載されています。なんでも、「Gina」の掲げるファッションは、負け美女が大好きなファッションだそうです……。最後の最後で、「『Gina』読んでも、モテないよ」って、「Gina」編集部が認めちゃったようなものじゃないですか。なんだか、すっきりしました。次号以降、どうやって、その「モテない感じ」を料理していくか、楽しみにしようと思います!
(豊島ユイ)

『Gina(ジーナ) 4 (JELLY 2012年06月号増刊)』

モテない系雑誌のニューカマー!

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