[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」5月7日号

野田聖子、「60歳までにもうひとり産みたかった」と「婦人公論」で発言

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「婦人公論」(中央公論新社)5月
7日号

 「婦人公論」5月7日号は、本当に濃厚でした! まず、特集からしてズドーンと重い。「今から防ぐ、20年後の大問題 子どもに老後を奪われない」です。タイトルだけ聞くと老人向け特集のようですが、これ、パラサイトについての特集なんです。“親70歳、子が40歳・無職・実家暮らし”といった話。重いでしょう、暗いでしょう。それが他人事でないところがまた恐ろしい。自分がそうなるかもしれないし、自分のきょうだいがそうなるかもしれない、また自分の子どもが将来そうなる可能性も大いにある。今の日本では決してレアケースではなく、誰の身にも降り掛かりうる深刻な問題です。そのほかの記事もコッテリしてますよ~。たとえるならグッチ裕三がマヨネーズをブチョーと入れ、ジャーダさんがチーズをドバドバッと投入し、仕上げに速水もこみちがオリーブオイルをドヒャーとかけたみたいな、そんな感じ。さっそく中身を見てみましょう。

<トピック>
◎特集「今から防ぐ、20年後の大問題 子どもに老後を奪われない」
◎上野千鶴子のニッポンが変わる、女が変える
◎野田聖子「闘病中の息子を、なぜテレビに映したか」

■卵子提供の病院を紹介してくれたのは向井亜紀さんだそうです

 ご紹介が前後してすみませんが、特集を飛ばして、個人的にいちばん衝撃的だった記事から紹介させていただきます。野田聖子インタビュー「闘病中の息子を、なぜテレビに映したか」です。野田氏は、米国で卵子提供を受け、2011年1月、50歳で出産。妊娠中から複数の障害を持っていることがわかっていた息子は、出生後手術を繰り返して現在も闘病中です。そのドキュメンタリー『私は母になりたかった~野田聖子 愛するわが子との411日~』(フジテレビ系)を今年1月に放送し、「子どもの人権を無視している」「親のエゴ」との批判を多数受けたそう。

 野田氏は自分が撮られることに関して、“すっぴんを晒すことがキツいから”、“叩かれることが目に見えているから”という2つの理由で最初は嫌だったと語ります。一方、息子が撮られることに関しては、「躊躇はなく、彼の人権を蹂躙するともまったく考えませんでした」「あるがままの姿を撮っているだけで、たまたま彼には障害を持っているというファクトがついているだけのこと。むしろ手術という山をいくつも乗り越えていく、こんなカッコいい子はいないんだから、ちゃんと映像を残しておこうという気持ちでした」と矛盾するようなことを語っていました。自分はすっぴんが嫌なのに、あるがままがカッコいいだなんて……。

 出産後、出血が止まらず子宮を摘出しましたが、それに関しては「悔しかった」。その理由は、

「『子宮さえ健康な状態ならば、60歳まで産めます』と言われていたので、身体の弱い真輝(=息子の名前)のためにきょうだいがいれば心強いだろうと思って、もう一人産みたいと真剣に考えていました」

 と唖然とするような発言をしていました。「60歳まで産めます」って……マジですか!? ナーバスな問題ですし、人によって考え方はさまざまあるとは思うのですが、みなさんはどう思いますでしょうか。野田氏の発言は、どれもこれも図らずも生殖医療に関する問題を含んでいますので、男性も女性もみなさんぜひご一読をお願いします。

■将来はもっと深刻な状況になるかも

 さて、特集「子どもに老後を奪われない」に戻ります。最初のページで「あなたの家族を親子共倒れの悲劇が襲う」と題し、ノンフィクション作家の森まゆみ、「パラサイト・シングル」の命名者で社会学者の山田昌弘、精神科医の和田秀樹が鼎談をしています。山田氏によると、2010年のデータで、35歳から44歳の人口のうちの16%、約7人に1人が未婚で親と同居。うち1割が無職、2割が非正規。15~20年前のパラサイト・シングルのほとんどは正社員だったけれども、今はフリーターや非正規雇用者が増え、収入は激減。親が全面的に養っている構図になっているそうです。また、今の若者たちは結婚願望はあるけれども、女性が望む年収に見合う男性が少なく、結婚して生活水準が下がるくらいなら親と一緒に住んでいたほうがまし、と考える「女性パラサイト」と、収入が低くて結婚できない「男性パラサイト」がいると分析しています。何から何まで、「へえ~」と考えさせられる内容でした。

 ともすると、子育ての悩みは目先の問題にとらわれがち。たとえば、サイゾーウーマンの主な読者層である30代前半の方ですと、「結婚したら仕事はどうする?」「出産後も仕事を続けられる?」「ママ友とのつき合い方は?」といった悩みが多いでしょう。前述の野田聖子の話題も注目のテーマだと思います。もちろんそれも考えるべき課題ではありますが、そこで悩んでもがいて一生懸命育てた子どもが、30年後中年パラサイトになってるということもあり得るんですよね……。そんな思ってもみない落とし穴があることに気づかせてくれる、数百円の手軽なパイセン、それが女性誌。「年齢に合わないから」と敬遠せずに、年上をターゲットにした「婦人公論」のような雑誌も読んでみるとたいへん勉強になります。

■オバチャンパワー全開っす

 上野千鶴子が、さまざまな分野で活躍する女性と対談する新連載「ニッポンが変わる、女が変える」が始まりました。第一回は作家の高村薫。原発問題や橋下徹行政などをテーマに語り合っています。「科学技術は人類を前に進めてくれる素晴らしいものと信じて育ち、1970年の万博の時も『未来はこうなるんだなぁ』と思った」という1953年生まれの高村薫に対して、48年生まれの上野は「70年の万博というのは、敗北のシンボル」「私はむしろ反科学というか、近代がもたらすものの闇の部分からスタートした」と語ります。上野が一切遠慮がないので対談記事としてとてもスリリング。

高村「私は小説しか書けないから生業にしていますけど、書いたものが何か社会的な意味を持つとか、社会的な影響を及ぼすなど考えない。そんなことを考えるのは小説家ではない」
上野「(略)高村さんは自分の作品を、社会に対する紙つぶてだと思っておられないのですか。まさか。本音でしょうか」
高村「まったく本音です。これが何か意味を持つなんて考え出した途端、小説ではなくなります」
上野「私は、波の立たない水面にわざわざ石を投げに行くようなことを好んでやりました」
高村「そういう感じがいたします。私とは全然違うんだといつも思います」

上野「高村さんは3・11以降に希望を語っておられるでしょう。へえ~と、ちょっとびっくりしました」
高村「それは、仏教に出合ったからですね。(略)地震で死んだ人と死んでいない人の不平等を受け入れる唯一の方法として、仏教の縁起という考え方を発見した。私はその時から、生まれて初めて生きていることを肯定的にとらえることができるようになったのです」
上野「私は社会学者であることを選んだ時、一つ自分に課したことがあります。祈りと超越を禁じたのです」
高村「私が発見したのは、信仰という超越ではなく、あくまで仏教の思考原理です」
上野「というか、宗教を禁じ手にしたのです」
高村「確かに、宗教を持ち出したらズルでしょうというところはありますが」
上野「ご自分で言ってくださってありがとう(笑)」

 と、まるで漫才の掛け合いのよう。漫才にしてはかなりイヤミでヒヤヒヤさせられますが。掲載されている写真を見たら、背格好も雰囲気もよく似ていて漫才コンビのようでした。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)のように声のデカい政治家が騒ぐのとも違い、twitterでオッサン文化人がねちっこく揚げ足取りをしているのとも違い、オバチャンふたりによるガチンコ井戸端トークというのは他ではあまり見たことがないので新鮮です。今回の高村薫は拮抗していたので応酬が痛快でしたが、相手によっては上野千鶴子にやりこめられることになりそう。それも楽しみです。

 ほかには、ゴールデンウィーク企画「ボランティアで、被災地も私も生まれ変わる」、渡辺淳一とドラ・トーザンの対談「日本女性よ、“事実婚革命”を起こそう!」、俳優の寺田農に裏切られ告発した尾台あけみさんによる「10年の事実婚を否定した、寺田農さんへ 恥をさらしてまで訴える理由、わかりますか」、健康ページ「尿モレなんて怖くない!」などなど、全方位にわたって濃い企画が盛られています。ゴールデンウィーク、彼氏もお金もなくてヒマだけがあるロンリーチャップリンなあなたは「婦人公論」をじっくり読むヒマがあって幸せ者ですよ。
(亀井百合子)

「婦人公論」

飛び付いたのが「尿モレなんて怖くない!」という残念な自分

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