[TVツッコミ道場]

ドラマの中に別に世界を作る……綾野剛の強すぎる存在感

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『月刊MEN 綾野剛』(ポニーキャニ
オン)

 今回ツッコませていただくのは、4月18日に放送開始された新ドラマ『クレオパトラな女たち』(日本テレビ系)。初回視聴率が10%を切るという厳しいスタートとなったが、そんな中、一部で大注目だったのは、出演者のひとり・綾野剛の存在だろう。

 綾野剛といえば、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』のたった2週間の出演で、ヒロインの心も女性視聴者たちの心も奪っていった、ヒロインの不倫相手・テーラー職人の「周防龍一」だ。子どもから、恋を長年忘れていたおばさま・おばあさままでが夢中になったほどの大人気だっただけに、その彼がレギュラー出演する作品とあれば、注目が集まるのは当然だろう。

 だが、『クレオパトラ~』を見て驚いたのは、彼が出演するシーンのみが別のカラーになるということ。ドラマのメイン舞台となる美容クリニックのシーンが普通のトーンで撮られているのに対し、綾野剛が登場するシーンのみ間接照明のようなやわらかな光で画面がスイートな色になる。

 パッと見、「あれ? チャンネル変わった?」と錯覚するほど、そこだけが別のドラマなのだ。極端な言い方をすれば、加藤茶のコント「ちょっとだけよ~♪」の音楽と照明に切り替わったような唐突さだ。

 そもそもの設定が、佐藤隆太演じる女嫌いの主人公・岸峯太郎に「片思いをしている同居人」役だからなのだろうけれど、このスイートさ・周囲から完全に浮いている異質な「空気」は、そこだけまるで同性愛を真正面から描いた伝説のドラマ『同窓会』(日本テレビ系)を見ているよう。

 ヒロインならぬ佐藤隆太を見つめるあたたかな「視線」と、静かに微笑む佇まい・存在は、やっぱり「周防さん」。だが、その「特別な雰囲気」には、もしかしたら現場をおかしな気持ちにさせてしまう何かがあるのではないだろうか。

 というのも、『カーネーション』での「周防さん」ブームは、緻密かつ繊細なストーリーを描く脚本家・渡辺あや氏にとって想定外の過熱ぶりだったよう。綾野がNHK『スタジオパークからこんにちは』(3月8日放送分)に出演した際、渡辺氏はこんなコメントを寄せていたのだった。

「周防さんのあまりの存在感の強さに、おそらくは現場全体も夢中になってしまったと思われ、彼の出演回に限っては、私が脚本に組んでおいたはずの構成のバランスが見事にふっとんでしまっているのが辛いやら怖いやらでした」

 今回の『クレオパトラ~』は、彼のそんな「存在感の強さ」を利用し、意図的に本筋とは別の「もうひとつの世界」を作ろうとしているのだろうけれど、ヘタしたらこのドラマの本筋が食われてしまう可能性もある。あるいは、「もうひとつの世界」のほうになじめず、離れてしまう視聴者もいそう。

 まして初回1ケタ視聴率という厳しいスタートだけに今後どちらに転ぶのか、どちらにしても穏やかでない展開が待っていそうだ。
(田幸和歌子)

『月刊MEN 綾野剛』

綾野剛に興味がない女を罵倒する風潮をどうにかしてください

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