[女性誌速攻レビュー]「家庭画報」5月号

夢が溢れる「家庭画報」、始祖が中臣鎌足という近衛家登場!


「家庭画報」2012年5月号(世界文化
社)

 いまさらながらのご案内で恐縮ですが、「家庭画報」のHPには誌名の前に「夢と美を楽しむ」というキャッチコピーがついています。「家庭画報」の世界を現実として楽しめる人はごくわずかかもしれませんが、「夢」として楽しむのなら、誰にでもその機会は平等に与えられているのです。それを裏付けるように、今月の読み物ページには愛読者からのお手紙が掲載されていました。

「『夢は力に変わる』。『家庭画報』愛読四五年以上。農家の嫁歴も四五年になりました」
「長男の嫁として、けして楽ではなかったけれど、主人の書物と一緒に書店から届く『家庭画報』が疲れた私にいつも夢や希望を運んでくれました」
「見た目には農家のバアチャンですが、心はいつも『家庭画報』とともにありたいと願っています。地産の野菜で、和の心で、おもてなしの心で、きものを愛で、四季を五感で楽しみながら、夢を力に変えてくれた『家庭画報』に感謝します」

 45年もの間読者に夢を与え続けてきた、というのは本当にすごいことだと思います。読者が絶えず入れ替わり、その時代の読者の悩みに合わせたショッキングな企画で耳目を集め、一過性の売り上げでその場をしのぐ。そんな昨今の雑誌市場の中で、読者と共有する強靭な世界観を持って迎え撃っている「家庭画報」の強さを読み解いていきたいと思います。

<トピック>
◎近衛家――賀茂人形の愛らしさ
◎バラ愛好家・難波光江さんの花摘み庭へようこそ!
◎今、注目の新ロンドンを歩く

■中1の一学期に習う単語が目白押し!

 今月はまず「近衛家――賀茂人形の愛らしさ」から見ていきましょう。今からリードを読みあげますので、みなさん正座してお聞きください。

「始祖に大化改新の立役者・中臣鎌足を持つ近衛家。藤原姓を賜り、代々摂政・関白を務めました。鎌倉時代には五摂家の筆頭となり、朝廷の公事に携わり続け、当代近衛忠輝氏で三十一代目を数えます」

 歴史の教科書でアンダーライン引いた単語がいっぱい! でもこれだけではありません。当代一家の経歴がまた「恐れ多い」! 当主・忠輝の実兄は細川護煕氏というから、肥後熊本藩主の肥後細川家育ちということ。

「26歳で亡き母の実家に養子に入ったものの、家風もしきたりもわからず、何をどう継いだらいいのか悩みました。生まれた大名家と違って、公家の近衛家には家臣団がいるわけでもありませんでしたから、代々の先祖が残した厖大な日記や書などから時代を超えた近衛家の人間らしい生き様を読みとり、次代に引きついていきたいと思っています」

 だ、だ、大名家と公家の違いで悩む? 家臣団? 悩みが想定のはるか上を飛んでおり、読み手として吸収できずにいます。そもそも相談されていませんけど、何も気の利いたことすら言えません。すみません。

 当代当主の奥さまは三笠宮崇仁親王の長女・甯子さま、お二人の間の長男が忠大氏で、その奥様が旧宮家・久邇家の久邇朝建氏のご息女・桂子さまです。はー、漢字変換しづらいわ~。

 今回は近衛家の宝物庫である、陽明文庫所蔵の賀茂人形とご一家の紹介です。人形の方はその時代の風俗が垣間見れて、アートに疎い筆者でも楽しめたと同時に、この企画自体がすごく「家庭画報」らしいと感じたのです。はっきり言って、自分の生活にすぐに役立つ情報はありません。でも、近衛家という伝統を守っている名家があること、宮家との縁もあることなど良家ソサエティーでしか出回らなそうな情報を「知ることができること」に「家庭画報」の価値もあるし、読者もそれを望んでいるのだと思います。誰がどこに嫁いだ、なんて本当はご近所のうわさレベルの話を、「宮家」「歴史の重み」というスパイスを使って、「家庭画報」風に調理する手腕もさすが!

 「家庭画報」を読んでいると、気付かされることがあります。それは、「忙しい日常の中で、いかに余計な情報をそぎ落としているか」ということ。近衛家のみなさまと筆者の日常なんて交わる箇所もなく平行線もいいところですが、「伝統の重み」というもののあり方、それを支えてきた人々に思いを巡らすことはできます。役に立たない“余計なこと”でも、知ることは自分を豊かにすること。それが引いては余裕を持つことにつながるんだと改めて気付かされました。

■バラっちゅうもんは恐ろしきものですよ

 続いて「家庭画報」らしいページは、「バラ愛好家・難波光江さんの花摘み庭へようこそ!~ガーデンローズの花あしらい~」です。庭というのも、ステイタスを顕示するアイテムのひとつ。広さはもちろん、センスや時間が必要とされ、経済的余力が滲み出る娯楽だからです。日本庭園やイングリッシュガーデンなど好みはそれぞれですが、バラというのも実に奥深い世界。このページでも交配されてさまざまな形や色になっているバラの写真がずらり。「花摘み庭に欠かせない 可憐な小花図鑑17選」には「花屋さんでは変えないナチュラルな美しさ」と、チョコレートコスモスやダイアンサスも紹介されています。「花苗で出回ることが少ないため、毎年タネから育てています」と、これまた強烈な優越感を放つコメントがありましたが、美しい花々がうまく中和させてくれます。花ひとつでも所有者のポジショニングが分かるっていうんだから、げに恐ろしき世界ですよ。

 そして今月号の特集「行楽の『昼膳』」も豪華でした。行楽シーズンを前に、絶景レストランや軽井沢・京都といった各地の優雅なランチを紹介していましたが、お値段は4,000円前後から1万5,000円まで。ちょっと高いような気がしますが、「昼に1万5,000円てことは、夜は酒も飲むから4万円ほど。そう考えると昼は安いのかも」と消去法的に楽しむのもアリ、「夢と美を楽しむ」という文言をお借りして、写真をおかずに白米をかきこむのもアリだと思いました。

 ほかにも今月号は、「今、注目の『新ロンドン』を歩く」という旅ページも充実しており、楽しみ方は多種多様。非現実的な世界にツッコんだり、夢と妄想を膨らませたり、いつかこの世界を手に入れてやると意気込んだり。どんな欲望にも応えてくれる「家庭画報」という懐の大きい雑誌でした。ま、雑誌自体が1,100円とお高めですから、使い倒しましょう!
(小島かほり)

「家庭画報」

色校何度出してるの? っていうぐらい素敵な写真がいっぱい

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