[女性誌速攻レビュー]「Domani」5月号

女性誌のサブリミナル効果が結実した、「Domani」の“働くいい女”像

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「Domani」5月号(小学館)

 今月号の「Domani」、同誌カバーモデルの知花くららの30歳誕生日特集にページが割かれています。今まで散々「35歳・夏は“気持ちいい”私!」「35歳・モテ期説は本当だった!?」という特集を組んでメインターゲットの「35歳」を煽ってきたのに、知花は20代だったの? と白目ひんむいた人も多いことでしょう。でもよくよく思い出してください。いまはもう休刊した「NIKITA」(主婦と生活社)はあれだけ30歳以上の艶女(アデージョ)推しだったにも関わらず、カバーモデルは10代の外国人モデルでした。「年齢に縛られない美しさを」「エイジレスな私」を謳う女性誌こそが、「若さ至上主義」の権化であるということを感じさせられます。渡辺えりや瀬戸内寂聴を表紙にする「婦人公論」がいかに誠実か! まあ、そうはいってもファッション誌とライフスタイル誌の違い。ファッション誌における「若さ・顔面至上主義」の鎧は固いッス。

<トピック>
◎「女」「妻」「母」3人の35歳
◎「知花くらら、30歳になりました」
◎春は、大人かわいい“まあるい髪”でいこう!

写経で1日を締める潔さ

 今月号の大特集は「――結婚、してますか? 子供、いますか? 『女』『妻』『母』3人の35歳」です。この手の特集は「ライフステージごとに向けたファッションを紹介する」という大義名分のもとに、ひそかに女同士の対立軸を深める仕掛けが施されていることが多いのですが、今回の特集から見えて来たものはまったく別物でした。

 まずは「“同じ一日24時間も、こんなに違うんです!”を、張り付き追っかけレポート! 『女』vs『妻』vs『母』のリアル24時間・実況中継」を見てみましょう。リードには「“働くいい女”の生態を探ります!」との文字。

 未婚の方の職業はアロマセラピスト。自宅から徒歩数分のサロンが仕事場で、仲良しのお姉さんと経営しているためか仕事における不満はナシ。午後4時には義兄の歯科クリニックでホワイトニングできちゃう、優雅な平日です。休日はこれまた姉宅に遊びに行き、姉夫婦と高級ホテルでブランチ、ネイルケアや溶岩浴、美顔ケアに勤しんでいるとか。

 子どもなしの「妻」は、不動産関連会社に勤め、朝から業務終了までは至って現実的なスケジュール。仕事終わりに「Domani」読者モデルのみなさんと飲みに行き、帰宅後は夫の食事を作り、アイロンがけ、そして写経で一日がフィニッシュ! 休日は夫とインテリアショップをめぐり、両家の親と会食、ランニング、夫婦の共通の趣味であるDJで超充実の1日が幕を閉じます。

 そして3歳の子どもを持つ「母」は、何といっても肩書がまぶしい! 「会社役員」ですもの。5時半に起きて、6時には朝食&お弁当の準備&夕食の下ごしらえ。その傍らで、子どもに「朝に学習することを習慣化」させるために机に向かわせているそうです。プレ幼稚園に通わせている息子を送り出した10時に出勤するものの、17時には買い物&掃除が出来る環境のよう。夕食の写真も手作りの完璧な料理が並びます。休日は、「自分を高めるための読書の時間」を経て、子どもを夫に預けて女ともだちとランチ。その後も、子どもと外で遊んだり、家族そろってのティータイム&外食、翌日以降の作り置き、そして自宅のエアロバイクでエクササイズとまさに分刻みのスケジュール。

 本当にお三方とも素敵な日常だと思いますが、あまりに現実味がない誌面に「『女』『妻』『母』3人の35歳」の代表がこれでいいのか、と疑問に感じます。確かに「Domani」の読者は働いていることがベース(不文律ですが正社員が前提だと思われる)なので経済的に生活にゆとりがあるでしょうし、誌面的にも絵になるし、ファッション誌ゆえにネガティブな面にわざわざ迫りたくないという思いもあるかもしれません。お三方がこの生活を支えるために努力されているかことは重々承知ですが、これをあたかもスタンダードのように伝える手法に異議があります。

 特に「妻」「母」は少なくとも夫や子どもといった「別人格の日常」まで受け入れざるを得ない立場。それでいて、紹介した三人を「働くいい女」認定すると、そこからこぼれる「働く悪い女」がどれほどいるか。手の込んだ弁当を作りたくても簡単なもので済まさざるを得ない環境が「悪」なのか、夫のシャツをアイロン出来ずクリーニングに出すことが「ダメ」なのか、エクササイズの時間を取れずにだらしないボディーラインになることが「終わり」なのか。こうしたファッション誌の長年にわたるサブリミナル効果で、「いい妻・いい母親」キャンペーンを張らなきゃいけない女性がどれほどいるか。「たかがファッション誌のワンコーナー」と思っている人ほど、それに無自覚なのがいかんとも悔しい限りです。

夫婦生活=業務ってこと?

 もうひとつ、大特集から紹介していきます。「Domani」の読者モデル組織・「Domaniメイツ」のメンバーを「女」「妻」「母」に分けて、生の声を掲載していましたが、その中に気になる発言が。それは既婚子なしの「妻」チームの方の発言。

「結婚生活では、自分を向上させる趣味や勉強に時間とお金を使っていますが、夫の温かい支援やフィードバックがもらえるので、より励みやすい環境を作ってもらっています」

 立派な発言なのですが、結婚生活を語るときに「フィードバック」というビジネス用語が出てくることにビックリしてしまったのです。

 思えば、上記お三方の「分刻みの充実した日常」というのも、「an・an」(マガジンハウス)や「日経ウーマン」(日経BP社)で繰り返し特集されていた、「忙しい女の時間の使い方」「手帳活用法」のモデルケースを具現化した生活のように思えてきました。1日24時間を目いっぱい使って輝かなきゃ、自分を高めなきゃ。立ち止まることは悪、ボーっとしたり、何もない時間を作るなんてもってのほか! 夫や子どもの存在が「私」を強くすると信じて、彼らの支援やフィードバックも有効に生かさなきゃ! まるで自己啓発本に乗っ取られた生活です。「Domani」読者の生真面目さ、そしてこの生真面目さに気付かない危うさに、一抹の不安を覚えてしまいました。

 ライフステージ別の女の対立を煽ることさえしなかったものの、それよりもはるかに怖いサブリミナル効果や生真面目な読者の危険性を浮き彫りにすることになった今月号の「Domani」。とはいえ、編集部が一生懸命捻りだしたであろう「笑いどころ」もありましたので、晒します。

 着回しコーデ企画にますだおかだ岡田圭右が登場(この時点で「意外な人選でしょ?」感あり)。モデルとふたりでテニスに行く設定で、「こんなに晴れてうれしい。早くテニス場に行こうよ~」の返しが、「ワォ!」。……はい、笑うところですよ~。ここで笑わなかったら、もう他にないですから! これを紹介した筆者がスベったみたいな雰囲気になってきたので、ここいらで退散させていだきます。
(小島かほり)

「Domani」

羽鳥アナも出てた謎のキャスティング

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