[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

ギャルソンのワンピースを前にときめいた子持ち「40代おとな女子」の現実

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(C)安彦麻理絵

 先日、美容院に行ったついでに、久々に青山のコムデギャルソンに行ってみた。10年ぶりくらいになるだろうか……いや、もっとたつかもしれない、とにかく、とんとご無沙汰であった。昔はよく通い詰めたもんだった。20代前半。クレジットカードで散財。若かった……いや、そんなことはどうでもいい。

 久々のコムデギャルソン青山店。ツラツラとTシャツなどを眺めてたら、なんだかどこかで見た事のあるバァさんが、古株っぽいベテランそうな女性店員(40代後半~50代)と談笑している。白髪でボブのそのバァさん、よくよく見たら、イラストレーターの大橋歩さんだった。常連オーラ、ハンパない。で、そのベテラン風店員が「こないだ大貫妙子さんがいらした時に」なんて喋っている。大貫妙子も来るのか、ここに。そうか。店員の口から、サラっとそういう台詞が出てくるところが、まさに、ザ・本店。もしハタチそこそこの私が、こんな状況に出くわしてたら、きっとビビリまくってただろうなー。(いや、今でも正直ビビってるけど)

 どうやら「そういう人種の人達」ってゆうのは、「百貨店買い」ではなく、「本店買い」するものらしい。(店員とのさりげない談笑もハズせない)「……ああ、私も久しぶりに本店買いしたいよ!!」……昔取った杵柄、じゃないけれど、なんだかモーレツに、そんな思いが胸にこみあげてきて、店の中をグルグル探索する私……そして。それからほどなくして、紺色の素敵なワンピースを発見した。「これ!! このコよ!! アタシのこと、ここでじっと待ってたのね!!」突然の出会いに、思わず見つめ合う私たち……そして胸の奥底から「トキメキ汁」がジュワ~~っと溢れ出てきて、頭の中で、そのワンピースを着てる自分を激しく妄想。友達に「いいじゃないの、それ!!」「すごく似合ってるわよ!!」「とても42歳の子持ちには見えないわ!!」などと賞賛されてるとこを想像し、ウットリして……そしてハッと我に帰った。

 ……だから、どこに着てくんだよ、これ。

 保育園のお迎えに、わざわざこんなの着てくか? 仕事の打ち合わせだって近所のルノアールだし。外に飲みに行くなんて、月に1回もあればいいほう。家の中でこんなもの着てたら、子どものヨダレやら鼻水でグチャグチャにされるだけ。要するに、こんなの買っても着る機会がぜんぜんないってこと!! いきなり現実に引き戻された。なんとなく無言な気分。口元の口角が一気に下がるのが分かった。女42歳の下がった表情筋は、見るに耐えないものがある。

 「……試着くらいしてったらどう?」と、淋しそうな顔でワンピースがつぶやいた……
 けれど私は、何もしないでそのまま店を後にしたの……
 だってそんなことをしたら……一度でも体を許してしまったら……
 余計に別れがつらくなるだけだわ……ルルル……

 帰宅して、鏡で髪型をチェックしてたら長男がおもむろに、私の髪を無造作に触りだした。片側の方にやたらと髪を寄せ集めてる。「ちょっと、せっかくキレイにしてもらったのに、何すんだよ!!」「だってこうするとホラ!! 鬼太郎みたいだよ、マリエちゃん!!」無邪気に満面の笑みを浮かべる長男……鏡の中をのぞいてみるとそこには。42歳の老けた鬼太郎がうつっていた。



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