[女性誌速攻レビュー]「Domani」4月号

女性誌の禁句「美人じゃない」を使っても、出オチ感が否めない「Domani」

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「Domani」4月号(小学館)

 今月から新連載がスタートしました。モデルのSHIHOプレゼンツ”私の日々語り”、タイトルは「mothermoon」。タイトルもベタですが、リードもスゴイです。「SHIHO―女として、妻として、母として…”私たち、いつだって、あなたの生き方が大好きです!”」。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いと申しますが、その反対で「SHIHOが好きなら生き方まで大好き」ということでしょうか。「ヨガを初めてから、そして子供を授かってからというもの、ますます体の感覚に敏感になってきた私がいます」という書き出しで始まり、終始「育児を通じて自分が高められる」というママタレントのキラーフレーズを連発。「娘と出会って知った、心から溢れる愛を周りにいてくれるすべての人にも向けて、育み育まれ、一生懸命生きていきたい」と締めくくっておられました。ご神託ですか。

 SHIHOといえば、シレっとカリスマモデルを語り、ギラっとした夫と結婚したくらいの認識が一般的。「35歳、『仕事』も『女』も、これからがもっと楽しい!」という「Domani」にあって、SHIHOはまさにドンピシャの世代(1976年生まれ)であり、これくらいのウットリは必要悪なのかもしれません。ただ「聞いて……育児ってね、神様からのご褒美なの」という話を、読者層である三十路をとうに超えた女たちが聞いて喜ぶのかっていう疑問が付いて回るのです。

<トピックス>
◎2012年・春の”きちんといい女系”vs”こなれたいい女”系はこうなる!
◎”美人じゃないけど、努力とセンスだけでここまでできる!”BOOK
◎川越達也の男時間

■中身は「an・an」って感じ?

 「寅カジ」や「華麗なる貧乏」など、いわゆる出オチ手法で注目を集める「Domani」ですが、今回も「これは……どういう意味?」とアラサー女の目を点にする問題企画が登場です。それが「”美人じゃないけど、努力とセンスだけでここまでできる!”BOOK」。「美人も、そうじゃない人も、人生たった一度きり! そこんとこ、神様は公平です!」というキャッチも、フォローしてるつもりが全くフォローになっていません。神様も困るってもんですよ。

 「とりあえず今の自分を最大限までもっていく35の秘密教えます」として挙げられた35個の「美人っぽく見える法則」。「とりあえず」と「っぽい」がコラボし、居酒屋ですぐに出てくる枝豆やチャンジャくらいのお手軽感が。肝心の35カ条は「とりあえず髪がきれい!」「小顔に見せる天才である」「奇跡の一枚を持っている」など”ファッション&ビューティーテク”系、「偶然力がある」「すべてがやわらかい」「超ポジティブ」など”努力だけではどうにもならんだろ”系、「メモ魔である」「”さ行”にたけている」「感謝の言葉を忘れない」など”ビジネス実用書あるある”系などに分類されます。体型別お悩みファッション指南、デキる女の仕事術、スピリチュアル恋愛相談の3者をぐちゃぐちゃにかき混ぜた感じ。単発だと大して目新しさのない企画ですが、「美人じゃなくても美人っぽく見える」という切り口で再考すると、なんだか”斬新っぽく”見えるから不思議です。

 読者を「美人じゃない」と断言し、「でも35にもなればそこそこの知恵と銭持ってるだろう」と焚きつけ、「美人っぽくなれ」と迫る。「生き方上手」「ハッピーオーラ」「いい女」など、加齢をほのめかす言葉はいくらでもあるのに、あえて直接的表現に打って出たところは、さすが世紀の出オチ雑誌の本領発揮です。たとえ美人っぽい法則が「花を枯らさない」「ニットに毛玉がない」とかズッコける内容だったとしても。

■川越=「Domani」という新事実

 続きましては「Domani」の隠れた人気連載「川越達也の男時間」を見てみましょう。今回のゲストは元プロサッカー選手の宮本恒靖。自分大好きオーラがほとばしるお二人、絶妙な人選です。

 昨年末に現役引退を表明した宮本氏。今後は欧州へスポーツビジネス&コーチング技術を学びに行くのだとか。そんな宮本氏をあの手この手で褒めたたえる川越さん。「パパはサッカー選手だった」と、自分の子どもが理解できる年になるまで(現役を)続けたかったと話す宮本氏に「そのシーンを宮本さんの子どもとして味わいたい!」。それからも「早く宮本さんの試合解説聞きたいなぁ。声もいいし、お話も上手だし」「お話していて本当に人格者だなと思うんですけど弱点はどこに!?」「答えもカッコイイなぁ!」など、怒涛の宮本アゲ。しかし、これら宮本礼賛の中にさり気なく「オレ自慢」を絡めてくるから、気を抜けません。

 独自のリーダー論を語りながら、代表キャプテン当時は精神的強さに欠けていたと反省する宮本氏に対し「常に冷静で取り乱す印象が全然ないよね。僕なんて経営者なのに、つい取り乱しちゃうんだよなぁ」とチャラく乗っかり、結果深イイ話を薄めます。ポジションごとの性格的特徴を解説している時は「イタリアンのシェフもフォワード系かも(笑)」と無理やり同じ土俵で相撲を取ろうとします。指導者についての話になれば「料理界は若い人の感性がすごいんですよ。僕なんて『教えて』ってお願いするくらい」と、柔軟なオレをアピールです。さすがのクール宮本も「宮本アゲと見せかけたKWGEアゲ」に気付いたのでしょう。「いやーなんだろう、宮本さんのこの雰囲気の安定感! もう先輩みたい。僕も宮本さんみたいになりたい!」と無邪気にはしゃぐ川越氏に「じゃ、もし留学許可がおりなかったら働かせてください(笑)」と、精一杯の嫌みをかましていました。

 「美人じゃない」という禁断の一句をあえて用いながら、行きつく先がまさかの「毛玉のありなし」だったり、それほど需要があると思えないSHIHOの母親哲学を「生き方が大好き!」と讃えたり。その正体が掴めそうで掴めない、ミステリアスな出オチマガジン「Domani」。ただ今回、「Domani」の精神性を解き明かすヒントを、川越達也という人そのものに見た気がします。彼が親しみやすさをアピールすればするほど、開いていくゲストとの距離感。素人向けレシピに焼肉のタレや電子レンジを多用する際にも、同じような印象を感じるんですよ。料理に対するハードルの低さを演出しているようで、実は「(素人への)上から目線」を際立たせてしまうんです。「タレとレンジがなかったら、君たちに料理は無理だよね?」と言われている気分になるというか。「Domani」のやり方は、これに似ています。「美人じゃなくても」とハードルを下げ、「男はさ行で褒めろ」などのお手軽ネタを散りばめても、なぜか読者との一体感が生まれない。それどころか、作り手側の「上から目線」が透けてしまう。もちろん、そんな意図はないとは思いますが。雑誌って、面白くて、そしてちょっぴり怖いものです。
(西澤千央)

「Domani」

「Domani」はもはや心配の域に達してきた……

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