[官能小説レビュー]

“フツーの女”が一番エロい? 欲望に目覚めた女を描く『もっと淫らに』

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『もっと淫らに』(鷹澤フブキ、河出
書房新社)

■今回の官能小説
『もっと淫らに』鷹澤フブキ

 男性から見ればミニスカートを履いていたりノースリーブを着ていたりと、露出度の高いオンナ=エロいと思われがちだけれど、実は「フツーの女」がもっともエロいのではないだろうか? なぜかというと、フツーの女は「普通である」という事実に満足していないから。きっかけさえあれば堰を切ったように貪欲になる。もちろん、セックスに対しても。

 親近感溢れる女性描写の名手・鷹澤フブキさんの『もっと淫らに』の主人公の綾奈は、どこにでもいる普通の27歳の女性。SNSで知り合った彼とは最近マンネリ気味で、エッチな下着を付けて誘惑し、ようやくセックスへと辿り着く始末。けれどいざひと仕事終えれば背中を向けて寝る彼……有り余る性欲と淋しさを解消するため、彼の背中を眺めながらオナニーをして眠る日々が続いていた。

 そんな綾奈と中学時代からの友人である亜由美と芙美子。タイプの違う三人は、やはり付き合う男性のタイプも真逆だ。亜由美は家庭のある男性と付き合っていて、芙美子は年下の美容師見習い・純也と付き合っている。

 ある日、芙美子の頼みで純也の同僚の練習台を引き受けることになった綾奈。初々しい年下の男の子・雄大の指先を頭皮で感じているうちに、次第と鼓動が早くなってしまう。意識すまいと緊張しながら、芙美子カップルと雄大、綾奈で飲みに行くことに。テーブルを挟んだ対面にいる親友に悟られないよう、隣に座る雄大とこっそりいちゃつく綾奈。終電を逃してしまったことから雄大のマンションに泊まることになり、ついに綾奈からキスを交わしてしまう。初々しい雄大の反応に数年前までの自分を重ね合わせ、普段したことのない体位をし、普段からは想像もつかないほど積極的に雄大を導いていく。

 もうひとりの親友、亜由美に呼び出された日、彼女はひどく荒れていた。不倫相手の彼・憲一の愚痴を聞いていると、ひょんなことから憲一の個人オフィスまで行くことになる。玄関先で出迎える憲一と濃厚なキスをする亜由美、そしてふたりは寝室へと消えてしまう。憲一に渡されたタクシー代を握りしめながら、寝室の扉をすこしだけ開け、サディスティックに求められている親友の情事を覗き見してしまう。

 あくる日「先日のお詫びに」と憲一に呼び出された綾奈は、ふたりのセックスを覗き見していたことを引き合いにされ、憲一に部屋へと連れ込まれてしまう。言葉で責められ、すべての部位を弄ばれ、初めて感じる快感を全身で受け止めつつ、何度も絶頂へと達してしまう――。

 女にだって、性欲はある。たとえ本命の彼氏がいたとしても、身体はもちろん心までも100%受け止めてもらえなければ、女の性欲は解消されない。美人は、プライドの高さが邪魔して己の性欲を男にぶつけないかもしれない。心底セックスが好きな女は、綾奈のような心と身体のもどかしさなど知ることもなく、セックスライフに明け暮れているだろう。「フツーの女」は、一度セックスの喜びを感じると、驚くほど欲張りになってしまう。やはり、「フツーの女」が一番エロいのかもしれない。

『もっと淫らに』

目覚め方がハンパじゃない!

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