2012年女子カルチャー前線!【後編】

ティーンズ文化も根絶やし状態! カルチャー不毛地帯で強いのは”地方”!?

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Photo by localjapantimes from Flickr

(前編はこちら)

■”欧米人”になりたがる女子に可能性はない

――外国といえば、米原さんは、中国版のTwitterである「Weibo」で39万人にフォローされていますが、大陸でも日本のファッションの影響を感じますか?

米原康正氏(以下、米原) 僕はストリート系とか、109系が盛んだった2003年くらいから中華圏に行き始めたんだけど、日本のファッションの影響はその頃がピークだった。それ以降の日本では、加速的に外資ブランドが中心になって、中国人もだんだん日本が面白くないのが分かってきた。「要は日本人って、”欧米人”になりたかったのね」って。日本を飛び越えて、外資ブランドに手をつければ終わる話になっちゃった。日本と中国では、女の子のあり方が根本的に違うんだ。とにかく日本の女の子って”自分が外人じゃない”ってことに強烈なコンプレックスを持っているよね。雑誌の特集でも、”外人風メイク”とか、”ハーフモデルになりたい”とかが多いでしょ? 大人たちが、消費をさせるために、コンプレックスをあおった結果だよ。中国だけじゃなく、ほかのどんな国もそんなあおり方は絶対にしない。こんなにも、自分たちにプライドが持てない国って日本くらいだし、これをおかしい思わないこと自体、僕からすると、気が狂ってるよ(笑)。そこを、王道系の青文字の子たちは、少なくとも、外人志向ではなく、”今の自分たちをどういう風に見せるか”っていうモチベーションでやっている気がする。守っていくべきだと思うね。

――ガーリーを全面に出した青文字系雑誌「Sweet」は、昨年4~6月の公称発行部数が36万部と、ファッション誌の中では一番売れつづけています。それに代わるネクストブレイクは、近々あると思いますか?

米原 最初は「Sweet」も20代前半の女の子たちで盛り上がったわけじゃない。それから、3、4年がたち、その子たちも25歳を超えた。今の「Sweet」は、少しだけ古い、昔の雑誌というイメージがあるよね。どの号をみても、新しい号なのか古い号なのか分からない。モノを創るって視点から見ると、停滞が続いてる。きゃりーみたいな王道の青文字系の格好って10代にしかできない、「ティーンズ文化」だと思うんだ。だけど、20代の人たちが今後行きつく先が全然読めない。初めてかも、こんなに先が読めないのは……。

――なるほど……。こんな時代だからこそ、赤文字系、青文字系の区別なく、注目している人はいますか?

米原 いないね。確かに、きゃりーを応援してはいるんだけど、彼女がカリスマになって終わるんじゃなく、彼女みたいな世界観をもった女の子たちが、今後増えていくことが重要なんだ。コギャルが中高を卒業して、社会人になって”ギャル文化”を作ったように、今、きゃりーを好きな女の子たちが、あと2、3年後に何かを生み出すことが大切。

■新しいカルチャーが生まれるとしたら、それは地方!?

――米原さんは、中学生向けのファッション誌「nicola」(新潮社)で、15年ほど、”ニコラ兄さん”としてアドバイスをされていますが、そこから、今後の女子カルチャーの種みたいなものは見えてきませんか?

米原 見えてこないね。もし、僕が今の若い子だったら、つまらないだろうと思うよ。何かになりたいからモノを創作するんじゃなくて、「周囲にこう見られたければ、こんな格好をしましょう」と、大人たちが先回りして商品として提示しているから。「性格変えるためにギャルになる!」って感じで、ファッションの系統が、人格や行動を含めた形でパッケージング化され、消費へと導かれている。そこに反抗するには、全てに興味を持たないってことが一番の得策だね。だって、バカみたいだもん。自分のお姉さんたちの世代がどんだけ不必要な消費を繰り返しているか……。毎週のように、みんな2、3回洗濯したら終わっちゃうようなペラペラな服をありがたがって買ってるわけじゃん?

――それを一世代下として見たときに、「果たしてかっこいいことなのか」と疑問を持つと?

米原 そう。1970年代に若者の間で、無気力、無関心、無責任、無感動の”四無主義”が流行したことがあった。それは、消費運動や政治運動に明け暮れて、結局何も生み出さなかった全共闘世代を見て疲弊した、一コ下の世代の人々の反応だったりしたわけだけど。今の若い子の状況は、それに似てるんじゃないかって……。

――カルチャーが育たないって、寂しい状況ですね。新カルチャーの芽生えを期待したいのですが。

米原 赤文字系、青文字系のくくりなんて、地方に行けばどっちでもいい話でさ。大切なのは、創られていない、リアリティーのある”自分たちの色”なわけ。そういう点で、いま僕が注目しているのが、「SOUL SISTER」(ミリオン出版)っていう雑誌。これ、”悪羅悪羅系”と呼ばれる男の人がたくさん出てくる「SOUL Japan」って雑誌の”姐ギャル版”なんだけど。基本的には、地方に在住で、バツイチ。トラックの運転士や左官なんかしてバリバリ働きながら一人で子ども3人育てて、夜は仲間とバイクで走ってるような、ヤンキーの女の子たちが主役なんだ。あれこれ複雑になりすぎた世の中にあって、「ここに座ってりゃいいんでしょ? 私一人で座ってるわよ」という潔さと分かりやすさがある。ほら、これが実物だよ。

――「男一瞬、ダチ一生」ていう見出し一つとっても、まさにヤンキーの世界ですね! 東京に住んでる女子も多くは地方出身だから、地方のこういう生き方の提案も心に刺さる気がします。

米原 そうなのよ。この雑誌では、彼女たちが今一番だと思うことをあれこれつまみ食いして、ガンガン、カルチャーとして持ってきている。ファッションはジャージだったりするんだけど、「ジャージをファッションと言い切ってもいいじゃん?」みたいな。あと、今、地方の女の子って、実際すごくカワイイの。編集長にその理由を尋ねたら、地方ではフィリピンを中心とした外国人とのハーフが増えた結果らしいんだけど、そういう、地方では当たり前になりつつある世界観がきちんと落とし込まれてる。こんな風に、きちんとしたバックボーンから生まれる、地に足のついたカルチャーが、世の中で注目されてこないとダメな気がするね。女子カルチャーは、あまりに商業ベースに乗っ取られている。モノが売れないと、それが文化として認められないっていうのは、やっぱりオカシイよ!
(文=城リユア)

『SOUL SISTER Vol.4』

鳶職の女性がえらくかっこ良いんですわ

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