2012年女子カルチャー前線!【前編】

カルチャーにオッサンと消費はいらない!きゃりーぱみゅぱみゅが体現した文化のあり方

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「つけまつける」/ワーナーミュージ
ック・ジャパン

 2012年、女子カルチャーはどこへ向かうのだろう? 原宿のカリスマ・きゃりーぱみゅぱみゅへの注目度を考えると、今後も時代は「青文字系」優勢というイメージだ。「egg」(大洋図書)や「smart girls」(宝島社)の創刊に携わり、日本の女子カルチャーを最前線で見つめ続けている編集者兼フォトグラファーの米原康正氏に、現在の女子カルチャーのあり方から、今後期待される女子像について話をきいた。

■赤文字は明らかに「発信」ではなく「消費」のアイコン

――ズバリ、今後も勢いがあるのは「青文字系」でしょうか?

米原康正氏(以下、米原) まず、「勢いがある、ない」っていう判断は、大人から見て、単に女の子たちが「モノを買う、買わない」という “経済活動”が基準である場合が多いということに、敏感になったほうがいい。もともとギャル文化って、「こういうことしたい、こういう服着たい」っていう女の子サイドの発信から始まったのに、いつの間にか、「こういう服で、こういう顔を作れば、ギャルたちは物を買う」っていう、消費の対象に変わっていった。ブームは消費ではなく文化であるべきなのに……。明らかに、ギャルが”発信サイド”から、”消費のアイコン”に書き換えられたのが「赤文字系」。そこをちゃんと大人が反省しないとさ、青文字系も危ないよ!

――青文字系の申し子・きゃりーぱみゅぱみゅ(以下、きゃりー)が世間で注目を集めています。彼女を含め、今後「青文字系」も消費されていくかもしれないということですか?

米原 ギリギリのラインだね。今、きゃりーがこれだけ人気がある状況って、必然だと思うんだ。オッサン受けする女がもてはやされる”アイドル文化”はすでに死にかけていたのに、AKB48の活躍で一気に復活したでしょ。これって、女の子サイドからすると、「いいかげん、勘弁してくれませんか?」って感じの現象だと思う。「また20年前に戻ったのかい? 結局、男に媚びる女が勝つのかよ」っていうさ。そんなタイミングで現れたきゃりーは、女の子にしかその価値を判断できない、まさに女の子サイドが求めていた存在なんだ。オッサンたちからすると、きゃりーの魅力なんて、全然分からないもん。理解できない分、オッサン好みにできないから、よかったりするんだけど。でも、そのうち、「これ、売れてるらしいね」ってことに集約させて、理解することを放棄し、「カルチャー」を「消費」に書き換える作業を必ずしてくると思う。

――何も知らない大人たちが、ワッと集中してきて、女の子から搾取していくと……。

米原 きゃりーに影響されて、地方に派手めな原宿ファッションをしている子が増えている現状は、僕が「egg」を創った時に、コギャルっていう極右の存在に、女の子たちがワーっと引っ張られた状態に似てはいる。でも、当時、コギャルが全国区になるまで3、4年かかったのに、きゃりーの存在は1年もたたないうちに、これだけ大きくなった。もちろん、ネット社会になったことも大きな要因。それでも、モノを創る作業が、商品を売る作業に変わっていくサイクルが早すぎる! カルチャーになる以前の、一瞬元気が出始めた頃にはもう、雑誌は商品カタログみたいになってしまっているしね。

――昨年7月には、赤文字系の『東京ガールズコレクション』(以下、TGC)とは対照的な、青文字系のファッションイベント『HARAJUKU KAWAii!!!!(ハラジュク カワイイ!!!!)』が初開催されました。12月に開催された 第2回には、米原さんも、トークショーに参加されるなど関わっていらっしゃいましたが、感じたことはありましたか?

米原 このイベントにガッツリからんだから言えるんだけど、今のところ、運営サイドは、TGCがメガ・メジャー化した反省も踏まえつつ、カルチャーを育てること、モノ創りをすることを、かなり意識してやっている感じがしたね。昨年の暮れに大阪と東京で開催した同イベントには、ギャル雑誌に出てくるモデルは一切出さず、純粋に、「KERA」(インデックス・コミュニケーションズ)や「Zipper」(祥伝社)などのストリート系のモデルだけを集めているところなんか、青文字カルチャーへの理解があった。今は、きゃりーという存在に引き寄せられるように、彼女の世界観に合うクリエイターたちが集まってきて、イベントをやっている状況。運営サイドには、この姿勢を崩さず、せっかく生まれた文化を守り続けてほしい。

――赤文字系イベントの「TGC」は、今後、メガ・メジャーなイベントとして定着していくでしょうか?

米原 TGCは、ミュージシャンあり、芸人あり、ファッションありで、田舎の女の子が1日楽しめるディズニーランド的な要素としては、今後も残ると思うんだ。でもそれが、大人たちが望むような、女の子たちがモノをいっぱい買ってくれるようなイベントであり続けるかというと、うまくいかない気がするな。でも、客はずっといると思うよ。

――ところで、青文字系の雑誌にも、「KERA」や「Zipper」のストリート系、「Popteen」(角川春樹事務所)や「小悪魔ageha」(インフォレスト)などのギャル系、「Sweet」(宝島社)や「SPRiNG」(宝島社)などのガーリー系などがあり、ひとくくりにできないくらい複雑ですよね?

米原 青文字系って、赤文字系には入りきらない、”大人たちがコントロールできない”カルチャーをまとめてそう呼んでいるだけだからね。個人的には、青文字系の王道雑誌っていうと、やっぱり90年代の「CUTiE」(宝島社)の流れを組む「Zipper」や「KERA」だと思うのよ。例えば、「NYLON」(トランスメディア)は赤文字か青文字かで区切ったら、「青」なんだけど、ベタな欧米文化が好きな東京の玄人たちがワイワイ騒いでるだけで、そのストリートに根ざしてなさは完全に「赤」。実際、地方の子に、希子ちゃん(水原希子)みたいな女の子がいるのかっていったら、「?」だもん。もちろん、僕は希子ちゃんは好きなんだけど……、アメリカの目を通したガーリーな文化を表現するための”作られた魅力”のような気がして、僕はちょっと違うんじゃないかと思う。その点、きゃりーを支持してる青文字系の王道の子たちは、「原宿kawaii」の価値観もそうだけど、わりとベタな日本文化を好きなイメージがあるね。せっかく日本に生まれたんだから、外国に憧れるだけじゃなく、日本独自の世界観を大切にしていってほしいね。

(後編につづく)

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きゃりーぱみゅぱみゅ、全力でYES! 

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