[官能小説レビュー]

性の秘密を共有する女性同士の関係を描いた『二人のひとりあそび』

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『蜜の競艶』/河出書房新社

■今回の官能小説
『二人のひとりあそび』森奈津子(女流官能アンソロジー『蜜の競艶』/河出書房新社より)

 エロにおいて男と女でもっともかけ離れたスタンスに位置しているものが「オナニー」ではないだろうか。それがあってるかは別として、世の中的に男のオナニーは必需行為という位置づけに対して、女のオナニーは嗜好行為と位置づけられているから。

 幼いころから開けっぴろげに話題にできる男とは違い、女は仲良くなればなるほど封印するネタのひとつかもしれない。それはたぶん、「自慰」という文字どおり、オナニーをする女=モテない女というレッテルを貼られてしまいがちだから。では、女同士のNGワードを打ち明けた先には、いったいどんな関係性が生まれるのだろう?

 女流官能アンソロジー『蜜の競艶』に収録されている「二人のひとりあそび」。作者の森奈津子さんがお得意のポップな文体で、女子大生のオナニーに対しての悩みをさらりと描いている。

 主人公の菜恵は、19歳の女子大生。そして、処女。男性経験はないものの、別に性的なことが嫌いなわけじゃない。毎晩のように自分自身の手で心地いい部位を探り、刺激し、到達する。明日に提出期限を控えたレポートに向かっている途中でも肉体の疼きを感じ、慣れた段取りで自ら刺激を与えて到達する。菜恵は処女だけれど、感度だけは自らの開発によって成熟していた。

 バイト先の同僚に教えてもらった、女性限定掲示板。初体験、セックスの相性、性器の特徴、変態プレイ……決して口外できないオンナのナイショ話が繰り広げられているその掲示板は、知人を介してパスワードを教えてもらうしかない秘密の空間。菜恵は、そこで気になる書き込みを見つける。26歳OL衣紗子の、オナニーについての情報交換希望の書き込みだ。菜恵は、さっそく衣紗子にメールを出してみる。セックスの経験はないけれどオナニーは小学校六年生のころから体験していたこと。毎日のようにオナニーをしていること。男の子に興味はないこと。実は、ときどき孤独を感じること……普段付き合いのある友人には口が裂けても打ち明けられない悩みを赤裸々につづる。

 翌朝の衣紗子の返信から、誰にも話せなかったふたりの打ち明け話が始まった。オナニーを始めた幼いころの体験談や、成人向けマンガなどのオナニー描写への疑問など。そして、ふたりは直接会うことになる。

 待ち合わせの喫茶店で初対面をするふたり。豊かなバストに細いウエストの持ち主で知的美人な衣紗子に、かわいらしいルックスの菜恵。ふたりはお互いを褒めあい「オナニーをしている女性=ブス」だと想像していたと白状し、笑い合う。話に花が咲くけれど、話題が話題だけに人目が気になるふたり。衣紗子は、菜恵を自宅に誘い、オナニーを見ないかと誘った。

 衣紗子の自宅マンションに招かれ、ベッドに腰掛けてショーツを脱ぎ捨てる衣紗子を眺める菜恵。衣紗子は両脚をおおきく広げ、花弁の間に指を滑り込ませる。胸を揉みしだき、湿った声をあげる衣紗子をじっと観察する菜恵。彼女の視線を感じてさらに興奮する衣紗子……彼女に導かれるように、菜恵は衣紗子の豊満な胸を揉み、快楽へと導く。

 衣紗子が到達したあとは、菜恵がオナニーを見せる番。処女ゆえに躊躇していた菜恵を、衣紗子がいやらしく導く。自分の手か、衣紗子の手だかも分からないぐらいにあちこちの先端を攻められ、菜恵も、快感へと到達する。

 互いが互いを快楽へと導き、到達し合ったふたり。そこには特定の存在や理由が直結するわけではなく、刺激は刺激として、ピュアに存在している。女同士でオナニーを共有する先にあるのは、友情とか性別を越える、まったく別の「何か」なのかもしれない。

『蜜の競艶』

この作品を「レズビアン」と評するのは安易ですぞ

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