[女性誌速攻レビュー]「MORE」3月号

「婚活できたらマジョリティでいられた」歪んだ自己顕示欲を持つ「MORE」娘

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「MORE」3月号(集英社)

 今月号の表紙を飾るのは女優の柴咲コウです。実物を見ないと分かりにくいのですが、左半分黒髪、右半分が金髪という”ひとりオレオ”風奇抜ヘアで登場したコウさん。姐御肌が高じて地元の友達との旅行に際し全員の旅行代金を持ってしまうというエピソードを披露しつつ、「何かをしてあげているなんて意識はみじんもないし、何かをしてもらいたいとも思わない」「”だれかのために”って、めぐりめぐって、”自分のために”なることだと思う」と語ります。見た目はオレオですが、心はマザーテレサ。また恋愛において大切なのは「変化する相手をきちんと観察して尊敬し続けること」だそうで、インタビュアーの「彼の部屋を掃除したり、手料理を作ることよりも大切と」という問いに「それって自己満足。彼へのマーキングでしょ(笑)」とバッサリ。先月号で提唱していた「結婚するには料理・掃除・貯蓄といった基本的な”妻としての即戦力”を磨いておくこと」を一刀両断されたにもかかわらず、何事もなかったかのようにシレっと受け流していた「MORE」。今月もノッケから本領発揮です!

<トピックス>
◎「アガる↑↑春靴」ノンストップ300
◎HUMAN&LIVING 向井理
◎”おひとりさま”という生き方

■向井理さんを妄想から解放してあげて!

 向井理、サッカーの内田篤人選手、TOKIOの松岡昌宏、小栗旬など、今月はイケメンインタビューが目白押し。今回は、どことなく似ているふたり、向井理と内田篤人のインタビューをピックアップ。爽やかで繊細、どちらも「MORE」の大好物です。

 向井理インタビュー、キャッチは「ウワサの真相、ズバリ聞いちゃいました!」。もちろん主演ドラマ『ハングリー!』(フジテレビ系)の番宣であり、向井さんにぶつけられるウワサというのも「向井理は食いしん坊である」とか「子供の頃から料理に興味を持っていた」など、ウワサというよりは『徹子の部屋』(テレビ朝日系)における徹子直筆の取材メモ。

 ”料理好きでドS”という役柄をとにかく広げたいらしく、「もし彼女の料理がイマイチだったらどうする?」という質問に「そういう時はやっぱり”マズイ”と言わずに食べますよ。ただ”もっとこうしたほうがいいんじゃないかな?” とアドバイスしながら、レモンを搾るなり、塩を足すなりするとは思いますけどね(笑)」と、身も凍るような回答をしておりました。マズイって言われるより引くわ~。「基本、負けず嫌い。ハングリー精神は常にあります」という言葉と、目が笑っていないおなじみの向井理スマイル。向井さん、アラサー女が好きそうなものをてんこ盛りにし過ぎて、若干味付けがおかしくなってるような……。

 一方で、子犬のような愛らしさとピッチでの華麗なプレーとのギャップでアラサー女子をきゅんきゅん言わせるウッチーこと内田篤人。まずは「オレ、ひねくれてますからね。照れ隠し? いや、本気で思っています。いいヤツじゃないです。たとえば取材も得意じゃないから、本音を言わなくていいかな、キレイなことを言っておけばいいかな、とか思ってますから」と、”不器用なオレで、ごめん”ドリブルで中央突破。

 女性ファンからイケメンと呼ばれることにどう思うかという質問には、「イヤというよりははずかしい。(中略)そもそも、自分の見た目もどうでもいいから。たとえば、髪も中学以来スタイリング剤も使ったことがない。今日なんて練習後にシャワーを浴びたまんま。セットはおろか、ドライヤーすらかけてませんからね(笑)」と、”素材の良さに無頓着”攻撃で三十路女のガラ空きゴールにシュートを叩きこみます。読者が、ウッチーのサッカートークの内容よりも「自分の好きなことを一生懸命に語る男子萌え(※ただしイケメンに限る)」している様子が目に浮かぶようです。

 両者とも「MORE」のイケメン三カ条(「不器用で負けず嫌い」「女に媚びない」「仕事にアツい」)を表現しながら、向井理さんのトゥーマッチぶりだけが悪目立ちしてしまった格好に。はからずとも、女性誌におけるイケメンタレントの”消費”が露呈してしまったインタビューページでした。

■”おひとりさま”願望の裏にあるもの

 「MORE」が、向井理やウッチーに三十路女の理想を盛り盛りにしてきたしわ寄せでしょうか、今月号の読みものページにはいつにもましてダークな企画が。「”おひとりさま”という生き方」では、「私、一生”おひとりさま”かもしれません」な女性たちがその苦しい胸のうちを明かしています。

 「彼がいても、いなくても、未婚女子の多くが『もしかしたら、このまま……?』と考える”おひとりさま”という人生。ひとりで生きる選択肢について、あなたはどう思う?」ということで、20代後半の未婚女性に聞いたアンケートによると、彼ナシの93%がひとりで生きる可能性に思いを馳せているのだとか。また”おひとりさま”の幸福度と彼ありor 既婚女性の幸福度を比べ、58%の人が「同じくらい」と考えている一方で、将来”おひとりさま”で生きるのを怖いと感じている女性が81%。揺れ動く乙女心が垣間見えます。

 次に登場するのが「おひとりさま」を覚悟しつつある3人の女性。25歳の事務職さんは、学生時代に付き合った彼が忘れられないケース。「あんなに心を許せる関係を、これからまた築く自信がない」とのこと。しかし、子どもは欲しいので精子バンクについて書かれたサイトを閲覧することもあるのだそう。26歳高校教師の女性は「気心の知れた女友達と過ごす時間が何より楽しい」というタイプ。「女友達も『このまま結婚しないでつるんでいくのも楽しいよね』と言ってくれているし、そんな老後もいいかな」と、友達同士で老後の貯蓄や保険話に花を咲かせているそうです。27歳銀行員さんは、以前付き合っていたエリート会社員の彼から「母子家庭っていう私の境遇や、外見、『エリートの自分に比べて、お前は派遣の身分だ』と言われたことも」。それ以来、恋愛に生活を乱されることにウンザリ。現在は心おきなくおひとりさま生活の準備に勤しんでいるのだとか。

 興味深かったのはみなさんがまだ20代ということ。まだ人生がどうにでも転がるであろう時期に、端から結婚や恋愛を「ないもの」として考えるのはなぜなのでしょう。「恋愛に没頭し、婚活に励む同世代が、相手のために尽くしたり、結婚に向けて節約したりする姿には尊敬すらしちゃいます。私にも”結婚”という言葉をなんの疑問も持たずに人生に組み込む思考回路と、その実現のために努力するエネルギーが備わっていたらよかったのにな。そしたら、マジョリティでいられたのに」とは、とある登場女性の発言。これ、女性特有の「自虐の定理」ってやつですよね。婚活に励む同世代を「尊敬する」と言いながら、実は何の疑問も持たずに結婚する思考回路をどこか蔑んでしまう。マジョリティになれないという嘆きは、マイノリティである自分への誇りと同義……。おひとりさまがまだ現実味を帯びない20代だからこその発想であり、そんなこと、30代で言っちゃったら本気の人たちからフルボッコくうからね!

 ”おひとりさま”の覚悟を決めると言いながら、子どもは欲しかったり女友達を求めたり。ガチなひとりはイヤ、というのが本音でしょうか。先月は「妻としての即戦力つけて結婚」そして今月は「おひとりさまかもしれない」。この揺らぎ、もはや正露丸CMのメトロノームレベルです。もういっそのこと、思いつく限りの知り合い男性であみだくじ作って当たった男にプロポーズするとか、どうですかね? 案外、熟考に熟考を重ねた結果とそう変わらないのかもしれません。
(西澤千央)

「MORE」

「結婚しない」と言い合う女の友情が成り立つのは29歳まで!

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