[女性誌速攻レビュー]「HERS」2月号

毎号コンサバの扱いに迷う「HERS」、”頭にグラサン”問題はどうする?

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「HERS」2月号(光文社)

 先月号では「私が華でいることが(社会への)恩返し」……と言っていた「HERS」ですが、今月号も特集で「自分を可愛がる人が美しい」と、またまた自画自賛街道まっしぐらです。

 この特集のプロローグに、「HERS」でモデルも務める伊藤明子さんのインタビューが掲載されています。伊藤さんは、2011年は知人の死、自身の母の介護や体調不良など大変なことが続き、それをきっかけに「自分に対してちょっと甘くなった」から、いろんなことがやり過ごせるようになったそうです。ところが、どう甘くなったのかと思いきや、20年休んだことのなかった自分の手掛けるセレクトショップを週に1回休むことにしたとか、週に1回思いっきり走ってテニスをしているなど、恐ろしいほどタフ。伊藤さんの60代のテニス仲間はこう言っているそうです。「今が一番自由よ!」と。「世代間格差」という言葉を知っているのかと疑いたくなるほど、口ぶりが頼もしすぎます。

<トピック>
◎「自分を可愛がる」人が美しい!
◎オシャレ読者の冬のヒットアイテム着こなし比べ
◎関西読者の「えっ?冬なのに」スタイルがカッコいい

■美代子、性格はアバンギャルド

 プロローグに続く「『自分を可愛がる』人が美しい!」特集のトップページでは、女優・浅田美代子さんとスタイリストの栗原登志恵さんがワインで乾杯している写真が見開きで使われていて、見た目にも非常に景気がいいです。ふたりに共通しているのは、「根底にあるコンサバ感」と「決してスラリと身長が高いワケではない」ことだそうで、自分の体型や個性を知り、それを魅力的に見せるワザを知って実践することが、この特集の目指す「自分を可愛がる」ことのようです。

 この特集には、コンサバをいい意味で肯定しようという狙いもあるようです。浅田さんも「実は、ベーシックな服、コンサバな服のほうが遊べるものね」「日本だと、”コンサバ”っていう響きが今はどこか堅くて、授業参観の服みたいなイメージがあるけれど、そうじゃなくて」とコンサバのネガティブなイメージを払しょくしようというコメントが多めです。それどころか「自分を誤魔化すような服は着ません」という強い言葉さえ誌面に踊っています。では、「コンサバ」でない服は、自分を誤魔化す存在?

 先月号には、バブル時代のコンサバ感が拭えずにイタくなっている読者をトラッドな着こなしで今風に変える企画などもあり、毎号”コンサバ”をどう扱うかに手を焼いている感がある「HERS」。でも「コンサバ」は「HERS」読者の生きてきた証。だとするとコンサバ否定は自己否定にもつながる大問題です。だからこそ、今月号では「コンサバをポジティブにとらえること」を「自分を可愛がること」に無理やりつなげているんじゃないかと思いました。

■浜ちゃんと同じ魂を持っているんだね

 第一特集で回りくどい方法でコンサバを肯定していたのですが、「オシャレ読者の冬のヒットアイテム着こなし比べ」というページになると、案の定コンサバを肯定する=過去の栄光を肯定することと勘違いしているかのような読者の方もちらほら……。ポンチョや変形ニットカーディガン、ショートブーツなど、新たなアイテムを取り入れるのはいいことだと思うのですが、どんなに新しい着こなしをしていても、どうしてもサングラスをカチューシャ代わりにせずにはいられない人は多いようです。これは「過去の自分を可愛がりすぎでは」と思わずにはいられませんでした。というか、”カチューシャ代わりのグラサン魂”とどう向き合うかが、ファッション誌としての「HERS」の課題なのかも。

■凍傷にならぬよう、ご注意ください

 「関西読者の『えっ?冬なのに』スタイルがカッコいい」というページでは、外ではまだまだ冬将軍が猛威をふるっているというのに、”シーズンレスに見えるカジュアルがスタイリッシュだから”と言って、なんと読者の方々が冬のノースリーブに挑戦しています。

 「アウターを脱いだ時の周囲の視線がちょっとした快感なんです」というコメントを読んで、それは「うわっ、寒そう……」という驚きの視線なのではないかと思いながら誌面を眺めていたところ、読者のひとりの方が「暑がりじゃないんです、重いものが嫌いなんです」とよく分からないエクスキューズをしているのを見て、はっとしました。そういえば、別のページに「ホットフラッシュ」に悩まされている読者の方の悩み相談が載っていたっけ。確かに脱ぎ着できる服での温度調節は大事です。くれぐれも風邪だけはひかぬよう、アウターは厚めのものを着ていただきたいものです。
(芦沢芳子)

「HERS」

浜ちゃんがケミストリー風にグラサン掛けてた時は引いた……

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