「タレント本という名の経典」

セミヌードに不倫疑惑、失敗も成長に変える49歳の冨田リカ的生き方とは?

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『幸福の基準』(講談社)

――タレント本。それは教祖というべきタレントと信者(=ファン)をつなぐ”経典”。その中にはどんな教えが書かれ、ファンは何に心酔していくのか。そこから、現代の縮図が見えてくる……。

 『幸福の基準 後悔しない生き方が選んだ50の扉』(講談社)は、女性誌「STORY」(光文社)からデビューした読者モデル冨田リカ(49)のエッセイである。40代女性を対象にしたファッション誌の読者モデルといっても、彼女の場合、ただ単に「年の割にキレイ」というだけではない。外見以上に「生き方」が見せどころとなっている。ファンのコミュニティサイトには、こんなメッセージが並ぶ。

「リカさんの真っ直ぐでハンサムな生き方と可愛すぎるルックス、素敵だと思います」
「何事にも前向きな生き方に共感」
「ファッションも素敵ですが、リカさんの生き方に感動!」
「リカさんは生き方や見た目すべて素敵ですよね!」
「自分が40歳になった時、あんなに素敵に輝いていられたらいいな~と憧れています☆」

 こんなにも共感され感動され賞賛される生き方とは、どんな生き方なのだろうか。本書の経歴の部分を抜粋してみよう。1962年神奈川県生まれ。私大の附属小学校からエスカレータ式で短大幼児教育科まで学ぶ。短大時代は門限に厳しい父親の目を盗み、母親を味方につけてディスコで遊んだ。卒業後は、幼稚園教諭として就職。職場は自分を鍛えるための「修行」の場と捉え、5年間勤めた後、「ここはもう、自己成長というテーマの実現の場ではない」と感じて辞める。繊維会社やお受験の塾などで働き、29歳で最初の結婚。一児をもうけるが2年で離婚し、子どもを手放す。その後、幼児教育の道へ進み、36歳で前夫と再婚。自由が丘で買い物中に、TBSの情報番組「ジャスト」の「マダムに会いたい」というコーナーでスカウトされたことがきっかけで、41歳でモデルデビュー。48歳のとき「美STORY」(光文社)でセミヌードを披露し、同時期に「家事で追われるばかりの日々を送っていると、イマジネーションがなえてしまう」と離婚。半年後にショーケンこと萩原健一と再々婚。

 ざっとプロフィールだけを見ると、たった5年で退職するわ、2度の結婚とも長続きしないわ、生まれたばかりの子どもを手放すわ、あげく、本書では「前夫との結婚生活は、いろんな意味で新しい自分を発見できた。(中略)40代に存分に自分の『成長力』を試すことができたこと。いまでも前夫には本当に心から感謝している」と、まるで前夫は自分の踏み台のような言い草までしていて、とんでもなくわがままでトラブルメーカーのように見えてしまう。

 そんな生き方がなぜ、「ハンサムな生き方」「前向きな生き方」といわれ、憧れの対象となるのか。彼女自身は、「私たちの世代は、結婚して子育てをしてというレールがあらかじめ引かれていたから、結局、居場所を見つけられずに、もしくは家庭を居場所として身体だけは置いて、魂はどこかに浮遊しているように思う」「だから、自分の居場所を積極的に開拓して自分の可能性を見つけようとする私のことを、同世代の女性たちが支持してくれたのだろう」と分析する。さらに、「人間の成長力は永遠だ。人生の後半は決して折り返しではない」「生きる魅力とは、動きを止めないで夢中で何かをすることだと私は信じている」とも語っている。

 つまり、これまで職を転々としたり結婚を何度もしたりしたことも、それによって他人にご迷惑をおかけしたことも、すべて「成長」「自分磨き」「自分の可能性探し」。このポジティブさ(=厚かましさ)は、通常の人はなかなか持てるものではない。生き方に失敗したと感じている女性、迷っている女性がいちばんほしいもの、それは自己肯定感。だから、それが何よりも強いリカさんに憧れてしまう、ということなのだ。

 ところが、そんな彼女に変化がみられる。本書で、「50代は自分が表に出るのではなく、自分は少し下がって陰でサポートするような生き方に切り換えたいなと考えていた」と語っているのである。まだ50歳手前だが、確かに最近はかつてほどの露出はない。てっきりショーケンとの再婚に伴う不倫疑惑が影響して干された、または活動を自粛したと思っていたのだが、本人によればこの”50代は陰の女”計画は、読者モデルをスタートしたときから考えていて、ショーケンと出会ったこととは関係ないそうだ。うーん、これだけ自分、自分、自分と主張して生きてきた人がこの変わりよう。ファンは困ってしまうのではないだろうか。

 思えば、2010年に報じられたショーケンとの”不倫疑惑”はファンにとって衝撃的だったに違いない。憧れのリカさんが、情報番組や週刊誌で「誰コレ?」的な扱いを受け、「彼女は恋愛体質」「カリスマ主婦は魔性の女」と半ば嘲笑気味に報じられたばかりでなく、「1回目の離婚も原因は彼女にあり、元夫に親権を取られた」「ショーケンの前に別の男性とも不倫していた」などと真偽のほどは分からないが、さまざまな暴露をされたのだ。しかも、同時期にセミヌードを発表したものだから、完全に世間からはネタ的な人という位置づけになってしまった。

 あの騒動で離れていったファンもいるだろう。しかし、失敗は成功の母。逆にあの騒動があったからこそ、バッシングされても負けない「真っ直ぐな生き方」「前向きな生き方」というイメージがより強固になり、憧れの思いを新たにしたファンもいるはずだ。そしてそのハンサムウーマンの残像があるうちに、「50代」という年齢にかこつけて”陰の女”へ転身し、ほとぼりがおさまるのを待つ……。敗北も「私の生き方」に変えてしまうリカさんマジックである。

 「おわりに」にこんな文章があった。「ありのままの自分に誇りを持ち、成長の可能性を信じて生きる。この私にとっては自然なふるまいが、ときに誤解を生むことがある。(中略)でも私の視線は、ずっと『いま』と『未来』にあった」。徹頭徹尾、オレオレ礼賛。究極の自己肯定本である。”陰の女”を卒業したくなれば、それが51歳だろうが52歳だろうがなんだかんだと言い訳をつけて、「これが私の生き方」とすればよい。どう生きようとファンは信じている。「これが、リカさんの生き方」だと。

 結婚、出産、離婚。女性にとって悩み多き現代、みんなが「ありのままの自分」を肯定してもらいたがっている。宗教家でもなくカウンセラーでもなく芸能人でもなく、あるいは親でもなく友だちでもない”私たちの等身大”の読者モデルに言ってもらいたい、「それがあなたの生き方」。全国の応援してもらいたガールへ向けて、もうひと騒動、ふた騒動、よりパワーアップしていただきたいものである。
(亀井百合子)

『幸福の基準』

幸福の基準=私次第、ってこと?

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