[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」12月7日号

断捨離ブームに待った! 「婦人公論」で脳性まひ者が語る整理術

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「婦人公論」(中央公論新社)12月
7日号

 「雑誌が売れない」と言われるようになって久しく、いつしか「特定の雑誌を毎号購読する」という習慣がなくなってしまいました。買うときは、本屋でパラパラして「この雑誌のこの号はおもしろそうだな」と感じたら買って、興味のある記事だけピンポイントで読む。しかし、この「女性誌速攻レビュー」を担当するようになってから、興味がある・なしにかかわらず「婦人公論」を毎号くまなく読むことになりました。

 今号の「婦人公論」の特集は、「スッキリ捨てて、運を呼び込む!」です。正直な話、担当でなければ絶対に読まないジャンルです。「スッキリ」も「捨てて」も「運」にも何も引っかかるものがありません。さんざん言い古された話だし、だいたい内容の想像がつく……そう思いませんか。でも、そうじゃなかったんです。驚きました。新しく世界が開けました。これぞ雑誌の醍醐味、毎号読んでいるからこその僥倖。雑誌っておもしろいなとつくづく感じた次第です。

<トピック>
◎特集 スッキリ捨てて、運を呼び込む!
◎野呂美加×山本太郎 仕事があっても命がなきゃ意味がないと思いませんか?
◎蜷川幸雄×蜷川宏子 結婚45年 機嫌よく暮らすコツと才能を伸ばす子育て

■「断捨離」だけが方法じゃない

 「スッキリ捨てて、運を呼び込む!」といった特集にはいつも違和感を覚えていました。まず、捨てることがそんなにいいことなのか疑問だし、そもそも片付けられない人は片付けに興味がないのでこんな特集は読まないからです。なんだかなーと思いつつページをめくっていたら飛び込んできたのが、インタビュー「脳性まひの私が編み出した暮らしを快適にする『収納法』」。収納法うんぬんの前に、脳性まひの方の暮らしや生き方が知りたいと思い読み始めました。

 大畑楽歩(らぶ)さんは、生後すぐ先天性の病気がみつかり手術を受けました。術後、付けていた呼吸器に痰が絡み心肺停止状態に。心臓マッサージによって蘇生しましたが、脳性まひという障害を持つことになりました。外出時には電動車イス、手はやや不自由、言語障害もあるそうです。子どものころから「お嫁さん」に憧れ、主婦雑誌を熟読していましたが、周囲の人は障害を抱えては結婚できるわけがないと考えていたようです。

 と、ここまでの生い立ちだけで十分読みごたえがあります。が、本題はこれから。大畑さんは念願かなって22歳で結婚し、主婦になりました。それから整理収納法にのめりこんでいきますが、すぐに行き詰まります。なぜなら、主婦雑誌やノウハウ本などに書かれている整理の基本は、モノを捨てて”シンプルライフ”を心がけることだからです。

「身体障害者の場合、ハンディを埋めるためには、さまざまな便利グッズを使いやすい位置にスタンバイさせておかなければ、生活自体がままならないのです。そのうえ、何をするにも広いゆったりとしたスペースを要するため、『最小限の空間に最大限のモノを置く』という整理収納の基本鉄則に真っ向から背くカタチになってしまうのです」

 なるほど、大畑さんの整理法はこれまで語られてきたものとは根本から違うわけですね。その考え方も新鮮ですし、障害者の暮らしやすい家というと、「手すりをつけて床を平らにすればいい」くらいしか思い至らなかった自分の無知ぶりが恥ずかしくなりました。大畑さんは、「近頃の『断捨離』ブームも手伝ってか、所有物が多くなってしまいがちな障害者や高齢者に、『どうせ私にはムリだから……』と、整理をすることすら拒ませ、卑屈な気持ちにさせてしまう傾向にあるのが、私は歯がゆくてなりません」と語ります。ほんとその通り! 一人ひとり生活は違います。整理も収納もその人の生き方によってさまざまあるはず。画一的になんでも捨てりゃいいってもんじゃないのです。当たり前のことではありますが、この手の特集を読んで、こんなに溜飲が下がる思いをしたのは初めてでした。

 特集の最後は「読者体験手記 汚部屋でかいた忘れられない赤っ恥」。2本ともおもしろいのですが、特に「イケメン刑事の足元に血のついたスキャンティが……! 殺人事件が招いた悲劇」は傑作です。血のついたスキャンティって……やばいっス!

■おまいら原発利権まみれのやつらと同じ

 シリーズ企画「原発を考える」では、脱原発を訴える山本太郎が「NPO法人チェルノブイリへのかけはし」代表の野呂美加さんと対談しています。タイトルは「仕事があっても命がなきゃ意味がないと思いませんか?」です。山本は所属事務所を辞めて「仕事は以前の10分の1くらいに減りました」とのこと。知り合いに頼んでテレビ局などに営業をかけても、「ちょっと今、山本は出せないでしょう」という反応が返ってくるそう。極楽とんぼの山本と間違えてんじゃないの? 個人の主義主張によって「出せない」とは、怖いところです、テレビ業界。

「芸能界で声をあげるのは難しいことなんですよ。僕の後に続いてくれる人がいないのはさみしいけど、みんな自分の生活を守りたいでしょうから、仕方ありません」
「アクションを起こさないということは、こんな大事故を起こしても、まだ原子力発電事業の利権にしがみつき、甘い汁を吸おうとしている人たちと同じだと思うんです。だから、仕事が減っても、行動しないわけにはいかなかった」

 と語ります。初めは話題性が先行して「あちゃー」なイメージだった山本ですが、ここまでブレない様子を見るとその主張に賛否両論はあれど、筋の通し方は「すごい」としか言いようがありません。たまにテレビで見かけると、ホッとしますもん。口で反原発を唱えるだけでなく、南相馬市へ行って避難者と話し合うなど精力的に活動もしているようです。表に見えないところでも、真剣に、懸命に生きている。そんな山本の姿がよく伝わってきた対談でした。

 今号はほかに、「蜷川幸雄×蜷川宏子 結婚45年 機嫌よく暮らすコツと才能を伸ばす子育て」、「三浦友和 31年間、衝突しない夫婦円満の秘訣は」「追悼 北杜夫さん 躁うつの波をともに越えた妻子が語る ”へんてこりん”を愛したパパとの別れ」、「坂中明子 全身マヒのピアノ教師」など、対談やインタビュー、ルポが充実していました。どの記事も、「話題のあの人が独占告白!」みたいな派手派手しさはないので、もしかしたら書店でパラパラ見ただけでは買おうと思わないかもしれません。でも、いざ読んでみると「読んでよかった」と思わせる、心に染み入るものがありました。「婦人公論」を読んでいると、結構な確率でこういうめぐり合わせがあります。雑誌そのもののクオリティの高さに加えて、毎号読むという読み手のアクションがあってこその出会いなのでしょう。雑誌との付き合い方について考えさせられる号でした。
(亀井百合子)

「婦人公論」

その前に、「殺人事件」ってさらっと書きすぎ!

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