[連載]そうだソルティー京都、行こう

安倍晴明に憧れる女を滅多打ちにする、晴明神社の仕掛けの数々

 京都は、世界屈指の観光地。そして女の憧れの地である。美味いもん食って、寺社を見て、お洒落して、勉強する。何でもかんでも「京都でする」のが女の憧れなのだ。女性誌はこぞって京都特集を組み、ガイド本や京都観光エッセイがボロボロ出版されている。確かに京都には歴史がある。名産品がある。美味がある……そして誰も取り上げないけれど「しょっぱい京都」もある。

 しかし京都のほんとうの魅力は、こういうソルティーなところにあるのだ。上品ぶっている女性誌では取り上げないほんとうの京都の姿を、しっかり焼き付けて欲しい。そうだソルティー京都、行こう。

【第9回 晴明神社】

 数年前、間違いなく日本中の女性たち(主に腐女子)を虜にした男がいた。才能にあふれ、悪を許さず冷静沈着、情に厚くてミステリアス。欠点を探すのが一苦労というナイスガイだ。その名は、平安時代随一の陰陽師、安倍晴明。

 このブームは、夢枕獏の小説、そしてそれを原作としたマンガ『陰陽師』(岡野玲子、白泉社)から爆発した。テンポがよく中世の怪しいムードたっぷりの原作に、これまた怪しいムードたっぷりの岡野玲子の絵がばっちりマッチして、たいそうムーディな世界が出来上がっていた。東山紀之によく似たしょう油顔の安倍晴明に、いったいどれくらいの女たちの脳みそはボーッとなったことだろうか。

 その後、陰陽師ブームにあやかって、怪しいイケメン安倍晴明少女マンガがボロボロと発売された。そうして、イケメン晴明サマに魂を抜かれた女たちがこぞって向かったのが、この晴明神社だ。

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隣にうっすらいやな予感をさせるお土産屋さんがあるけど、気にしない。

 今一度確認しておきたいが、女たちの間で巻き起こったのは、「イケメン晴明サマ」をお慕いするブームである。

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安倍晴明が使役していたという式神。......こんなん
じゃない。と思った女子は多数

 もともとは安倍晴明が住んでいた屋敷の跡地を神社にしたということで、由緒正しい。しかし安倍晴明ブームがやってきてにわかに資金が潤沢に回るようになったためか、境内はどこをとっても新ピカである。

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飲んでも大丈夫そうなすごく清潔感あふれる晴明井

 あの、深夜に魑魅魍魎が跋扈するような胸躍る雰囲気が味わえないのは、仕方ない。……いや、そんなことはどうでもいいという気分にすらなる。なんでかって、境内には「イケメン晴明サマ」をこれでもかと否定し続ける意匠ばかりが、イヤになるほど続くからだ。中世に思いを馳せて、イケメン晴明サマを求めてきた少女たちを、どれだけしょんぼりさせてきたことだろう。

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晴明サマの銅像。え......っ?

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晴明サマになれる覗きボード

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ここまで来るともう泣くしかない。水木しげる先生には
申し訳ないけど、ここではあまり見たくなかった

 晴明神社は、胸ときめかせてやって来た少女たちに、かたくなに「ホントはあんな顔してないから!」とメッタ切り。どうしてもう少し、このブームの立役者たちを尊重してくれないのか。

 応仁の乱で焼け落ちてしまったあと、長い年月の間には、晴明サマのご威光も薄れ、辛酸を舐めた時代もあったはずだ。それが今、例えよこしまな思いを抱く女たちが大挙して訪れたとしても、少しくらい大目に見てくれたっていいと思う。彼女たちは懸命に、世に晴明サマの名を知らしめ、お賽銭を投げたはずだ。

 だけど絶大な能力を持つ日本を代表する陰陽師サマに、軽薄なブームは許しませんよ、ということか、な?

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でもお守りはカワイイ

和久井香菜子(わくい・かなこ)
ライター・イラストレーター。女性向けのコラムやエッセイを得意とする一方で、ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、就職系やテニス雑誌、ビジネス本まで、幅広いジャンルで活躍中。 『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。

『陰陽師 (2)』

すぐ美化しちゃうんだから、希望を持たせないで!

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