[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

“悲しみ”というぬるま湯には”恐怖”が効く! 女が好きな「恋の話」と「コワイ話」

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(C)安彦麻理絵

 先日の月曜日、17日の昼にペソが死んでしまった。15歳。雑種。犬。メス。最期は、私と夫で看取った。まぁ、大往生といえばそうなのだが、なかなかそんなふうに考えられない。ああしてやればよかった、とか、そんな後悔ばかり。翌日午後に、動物霊園の人が車で遺体を引き取りに来た。火葬されたら、灰になって戻ってくる。

 その時、最後のお別れに友人漫画家の大久保ニュー姐が駆け付けてくれた。夫と3人で弔い酒、そして弔いピザにタバスコをダバがけで食べました。「ペソって、全然飼い主の言うことなんて聞きやしない、ワガママな犬だったよ」なんてしんみり語ってたらニュー姐に「飼い主のアンタが、ダンナの首しめるような女だもの、どっちも似たり寄ったりじゃないの」と、言われました。ニュー姐とバカ話してたおかげで、なんとか普通にしていられました。

 あー、なんだかうまく文章が書けないなぁ。

 でも、あんまり悲壮感に浸りすぎてると、とにかくもう、顔が。口角下がりまくって、ほんとに救いようのない老け顔になっちまってる。これが、十九・二十の若い娘なら、「君の心にポッカリあいた穴を、ボクが埋めてあげるよ」なんて、そんな都合のいい男がひょっこり現れるんだろうけど、これが、四十過ぎた、口角下がりまくりの中年女だと、ちょっとねぇ。ボーゼンとして、目線定まってないし。恐くて誰も近寄ってこないってば。

 てなわけで、こういう「悲しくて仕方のない時」には、一体どうしたらいいのか……実はこんな時こそ「ホラー・怪談」の出番なのである。

 以前、友人の女が、付き合ってる男のことでうまくいかなくなり首をくくろうとしたことがあった。慌てて彼女の家に駆け付けた私。始めのうちは、そんな彼女の苦しい胸の内が話題の中心だったが、気が付けばなぜか「そういえば、友だちからこないだ、こんなコワイ話を聞いた」という怪談トークになっている。

友人「だから夜、井の頭公園歩いてたら、向こうから、こんな頭のでっかい男が!」
私「ちょっとやめて、何それ!!」(絶叫)

 そんなトークを展開してたら、気が付けば友人はケロっとした顔に戻っていて「いや~、ほんとに心配かけてすまなかった~」なんて言ってるのであった。そして別の友人が、長年同棲してた男と別れた時もそうだった。彼女の家に見舞いに行って、その苦しい胸の内を酒を飲みながら聞いていたのだが、しかしまたしても。気が付けばなぜか話題が「怪談」。

友人「……だからその時のカセットテープが!」
私「何それ、やめてぇぇぇ!!」(絶叫)

 案の定、そんなトークを繰り広げてたら、いつのまにやら友人は「サバの味噌煮、食べるんなら作るよ~」とか言い出している。すごいことである。「悲しみ」ってある意味、いつまでも浸ってられる「ぬるま湯」みたいなもんだけど、「恐怖」って、なんかシャブみたいなもんか? シャキーン、である。いきなり目が覚める、みたいな。「悲しみ」を、無理矢理首ねっこひっつかんで方向転換させるのに、「怪談」は効果絶大。それとまぁ、女は「恋の話」と「コワイ話」が大好きなんだよな。そんなわけなんで、ちょっとコワイ映画でも見て、悲しみから方向転換でもしてみよう。『呪怨2』のDVDでも借りてこよう。

 ああ、でも、動物を飼うって、ほんとに「己のふがいなさ」を実感させられるというか……しばらくはもう飼えないな、と思う。

 ところで「動物」といえば『痛快!ビッグダディ』(テレビ朝日系)である。もの凄いこじつけだが。実は「ビッグダディ物語・第2夜」、録画してたのにちゃんと見てない。ていうか、見る気がなくなってしまった。というのも、ラストの部分だけチラっと見たのだが、なにやら「ハッピーエンド風」だったのである。前回は「すわ、離婚か!?」と思われるようなラストだったのに、今回は「家族全員でピース!!」みたいな映像で幕を閉じていた。どうなることやらと思われた移住も、どうにかなって、ダディ、新たに整骨院開いてるし。

 正直、「な~んだ、そうなの?」と、気が抜けてしまった私である。こんな展開、ぜんぜんビッグダディじゃない。「別れた前の嫁がまた押し掛けてきて、また妊娠」とか、そのくらいやってもらわないと納得できない。不幸なんだか何なんだかわけが分からない、それがビッグダディの醍醐味。てな事を夫に愚痴ったら「ひどいよ。」と言われた。私も「自分、ひどいな。」と思った。

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