[女性誌速攻レビュー]「STORY」11月号

「STORY」が変化! ギラギラ色が薄まり、「自然体」路線へ?

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「STORY」2011年11月号(光文社)

 巻頭の連載「手は女を語る」に、女優・小林聡美が登場です。「苦手なのは、大げさなことや騒々しい場所。好きなのは、みんなの機嫌が良くてのんびりと穏やかに流れる時間」など、映画『かもめ食堂』をはじめとする性善説に基づいた作品のイメージがすっかり板についています。

 しかし、いつからこっちの方向に行ってしまったのでしょうか。かつてドラマ『金八先生』(TBS系)で「ソバヤソバーヤ♪」と歌い踊り、映画『転校生』では半裸で走り回り、破壊的な演技ポテンシャルを持っていた小林聡美は、いつしか自然体の権化として、妙齢女子から崇められる存在に。

 そもそも女の言う”自然体”ほど”不自然”なものはなく、「STORY」はそのことを痛いほど知りながら、逆説的に「女の自然体」を表現してきた雑誌。海辺で食パンを頬張ることより、女同士のギラギラした争いや自己演出の方がよっぽど「自然である」と証明してきたわけで。「STORY」×小林聡美のなんとも言えない違和感を抱えながら、今月も特集を見てみましょう。

<トピックス>
◎大特集 甘さオフ!40代”無糖派層”が世を握る
◎”お地味”朝ごはんを輝かせる器
◎”FASHIONは天才、BEAUTYは凡人”さんの、スキンケア集中塾

■無糖派層で「STORY」がフツーにオシャレに

 小林聡美で感じた嫌な予感は、今月の大特集「甘さオフ!40代”無糖派層”が世を握る」へ見事に引き継がれておりました。リードで「多くの40代が『今まで可愛い!』と思っていた甘いものが急速に可愛いと思えなくなってきて、甘い『可愛さ』が薄まっているのです」と、40代のおしゃれ観に大きなパラダイムチェンジが生じていることを告げています。

 次ページでは、創刊から現在までのファッション史の変遷から、「ファッション糖度」はどう変わっていったかを年表にして紹介。なるほど、コンサバ全盛期だった創刊時(2002年)から徐々に「大人可愛い」が盛り上がり始め、2006年に甘さ頂点、マックスコーヒー状態に。「可愛い=若い」という概念が構築され、そこから、清原亜希の投入により「男前」がプチブームに。マックスコーヒーは微糖ブラックになり、現在の無糖派層へ……働く40代が増え、DKJ(団塊ジュニア)世代が「STORY」へと参入していったことが、その主な要因だと締めくくっております。

 この年表スゴイ。面白いです。その年の社会動向と特集記事と流行アイテムが見事にリンクしていて、作り手の多大な労力と愛を感じさせます。少し前までの「STORY」は、おもしろキャッチを”力技”で成立させるような見せ方をしていましたが、最近はどちらかというと緻密な、若干ヲタに近いようなリサーチと構成がキモ。まあ、その綿密な研究の結果が「無糖派層!」というのが、「STORY」っぽいところではありますが。

 しかし肝心の無糖派層のファッションというのが、いわゆる煮しめ系というか、グレーやカーキ、ベージュなど、土に近い色のオンパレードなんですね。スタイリストやメイクさんなどオシャレを生業としている方たちが現場で着てるあの感じです。目立たないけど、よく見るとシルエットとか重ね着とかセンスあるよね! という。そもそも「STORY」のオシャレにそんなクロウトの現場感は似合いません。目立ってナンボ、無理してナンボ、追いつめられて華が咲く~といった芸人気質はいずこへ……。いやはや、これも時代。「STORY」のファッションページが「普通にオシャレ」になってしまうのも、仕方ないのでしょうね……って、そもそも大体の読者は「普通にオシャレ」を求めてますしね。

■「ANEGO」=「お局」の法則

 そんな「お地味オシャレ」な40代が、これから目指すべき女性像に迫ったのが「実録 STORY世代に巻き起こる、”慕われANEGO”現象」。「あなたの周りにもいませんか、目立つつもりは全くないけど、周りのために人一倍頑張っちゃう、頼まれたら”喜んでYES”な女性。(中略)損得なしに慕われる、そんな40代が今、私たちの目指す姿なのではと思うのです」って、なかなかハードル高めの設定です。

 電通のクリエイティブディレクター、海外ブランドのPRマネージャー、元CAの専業主婦……肩書、美貌にスタイルもすべてを備えてらっしゃる6人の40代女性が登場。その上「お嬢さんが小さい頃は、保育園お迎え後もさらに職場へ連れて行き、ダウンコートをベッド代わりにして寝かしていたという逸話の持ち主」「信頼を得るために、仕事は1週間早く仕上げる」と仕事は完璧。さらに「『この間、会社に家の鍵を忘れて、家に入れなかったんですよ~』と失敗談を部下に暴露しちゃったり」と、お茶目なところも垣間見せ、「バスや電車の中で騒いでいたら、自分の子供はもちろん、人の子供でもビシっと注意します」などなど、人格的にも申し分ない。登場した方々の言動をまとめますと、こんな感じが40代の”慕われANEGO”だそうです。

 小さい子どもをいつでも追いかけられるようにと、ジミー・チューのフラットシューズが定番で、人と被るのがイヤと、ショーメの時計をバーンと買い、宅飲みの焼酎はバカラで。そう、絶対に、絶対に真似できない! 「神様か!!」とツッコミの一つも入れておきましょう。40代女性の「もうひと花咲かせたい」感が、「年下の男にモテる」とか「女同士のマウントの取り合い」から大幅に脱線し、「神様のような存在」に昇華してしまったのですね。女を忘れず気配りを忘れず、部下をかばい子どもを慈しみ……そんな私が「自然体」と言うのなら、筆者などは自然界から登録抹消です。

 そもそも「ANEGO」とか「ねーさん」とかって、「お局」の別称ではないですか。「お局」とはいわば「頼られたい」という病を持っている方々。頼られることが嫌いじゃない方々は、頼ってこない若手に対して手厳しいのが常です。

 今月の「STORY」には、「自然体」「自分らしく」「私なりの」などの所在なさげな言葉たちがたくさん出てきていました。それは他でもない40代女性の存在証明が非常にあやふやになっていることの裏返しなのだと思います。エステに行って「ハヤシ様の場合、○○コースと○○コースを組み合わせるのがよろしいかと思います」と言われ、途中までの工程はどちらのコースも同じだと言うのにしっかり合算した額を請求され、憤慨。しかし「女にとって、エステはソープ。ミエをはりたいもの」と開き直る林真理子先生のような(連載『出好き、ネコ好き、私好き』より)、ブレないババァに早くなりたいものですね。
(西澤千央)

「STORY」

小林さんの「自意識を出さないようにしよう」という自意識が見てて辛い

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