『ZUCCA×ZUCA』刊行記念インタビュー

能動的に夢にだまされたい! タカラヅカへの愛を叫ぶ『ZUCCA×ZUCA』

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(C)はるな檸檬/講談社

 宝塚歌劇団(ヅカ)のためなら学業も仕事も、時には恋も投げ出す!? 当然のようにヅカを中心とした生活を送る”ヅカヲタ”たちの、バカバカしくもどこか愛しい毎日を描いたコミック『ZUCCA×ZUCA』(講談社)。ジャンルが違っても、何かを偏愛する”ヲタク女”の生態を描き出したストーリーの数々に共感を覚える人も多いのではないだろうか。自身もヅカヲタであるという作者・はるな檸檬さんに、何かにハマる人の喜びと悲しみについてうかがった。

――はるなさんが宝塚にハマるまでの人生の”萌え歴史”みたいなものを、教えてください。

はるな檸檬(以下、はるな) 
基本的にミーハーなので、好きなモノがありすぎて自分でも正直覚えてないくらいなんですよ。中学生の時はCHARAさんや真心ブラザーズさんが好きでしたし、大学生の時はキリンジ(堀込高樹と堀込泰行の兄弟ユニット)のファンクラブに入っていました。そのころは本気で、堀込家の嫁になろうと思っていて(笑)。ずっと音楽が好きでしたから、好きな対象も主にミュージシャンでしたね。

――顔ぶれを見ると、宝塚に直結する感じではないんですね。

はるな でも小学生のころから少女マンガが大好きでしたよ。だから宝塚の王道である、理想的な男の人&それに憧れる目に星が入った女の子という世界観にハマってしまったのかも。

――巻末には宝塚にハマったきっかけとして、2007年に退団された花組のトップ男役・春野寿美礼(はるのすみれ)さんについて描かれていましたね。

はるな 2007年の夏の終わりにDVDを見て、オチてしまって……。春野さんが好きで好きで、すぐ兵庫県の宝塚大劇場に遠征しました。その時、春野さんはすでに年末での退団が決まっていたんですよ。だから、その間にヅカヲタとしてやれることは全部やろうと、退団までの期間を駆け抜けた感じでした。退団=男役からの卒業なので、「今しかない、じゃないと女に戻っちゃう!」って。春野さんは歌もすごく上手で華もある方なんですけど、当時の花組のすべてを背負って立つようなカリスマ的な存在で、セリフの一つ一つにまで人を魅きつける力があったんですよ。それこそ、ステージに本人が登場しただけで涙が出ちゃうような……。今まで好きになった人の中でも別格で、神様みたいな存在です。

――そこが着火点になったんですね。『ZUCCA×ZUCA』には、観劇やお茶会(タカラジェンヌのファンミーティング)で毎日忙しすぎて「1日60時間ほしい……」と嘆いてみたり、地方に遠征しすぎて彼氏に浮気を疑われたりと、ヅカに限らない”ヲタあるある”が随所にちりばめられてますよね。

はるな ただでさえ偏見が多い世界なので、自虐は描きたくなかったんです。実体験はもちろんですけど、友達と宝塚のことをしゃべっている時に出てきた、何気ない一言がきっかけでネタになることも。結局みんなやってることは一緒だし、その人と私が「バカだなぁ、でも面白いよね!」と思った時点で、その行動について湧き上がる感情は普遍的だと思うんです。「そんなに!?」って呆れるくらい宝塚への愛が突き抜けてる人もいますし。何かに熱心な人って面白いし、愛しいし、見ていて幸せな気持ちになれるんですよ。実際にマンガを読んだ方からは「ヅカのことはよく知らないけど、面白かった」という声が多かったですし、ジャニーズファンの方やテニミュ(ミュージカル『テニスの王子様』)ファンの方からも「すごくわかります!」ってメールをいただきました。

――芸能人を愛する女性の大半は対象が男性ですが、女性が女性に憧れるという宝塚の世界は独特ですよね。

はるな 私が宝塚を好きなポイントはそこなんです! 男役っていうフォーマットに惚れているというか……。男役スターへの感情って、絶対に成就しない片思いなんですよ。頭のどこかで男役も女性だと分かってはいるのですが、能動的に夢にだまされるんです。ファンタジーをファンタジーとして楽しめる宝塚のシステムが素晴らしいと思います。その時間はすごく美しく記憶に残せると思うんですよね。相手が異性で中途半端にリアルっぽいと、その感情が現実と区別がつかなくなって、嫉妬や独占したいという”欲”に変わってきちゃうんですよ。

――ヅカにハマった人は、生活や恋愛はどう変化するんですか?

はるな ライフスタイルが宝塚中心になるので、劇場がある日比谷に近い会社だとか、出待ちに行けるように定時に帰れるだとか、ヅカヲタ基準で仕事を選ぶようになってきますよね。恋愛もホントに二の次。それで、彼氏やダンナさんも宝塚に巻き込みたくてみんな必死なんですよ。地道に『タカラヅカ・スカイ・ステージ』(CSの宝塚専門チャンネル)を毎日チラチラ見せて、洗脳しようとしたり(笑)。

――読んでる限りではヅカヲタの人は毎日が楽しそうに見えますけど、ハマりすぎることへのマイナス面はありますか?

はるな 現実の恋愛があまり必要じゃなくなったことでしょうか。周りの人には悲しいと言われるんですけど、私は、あまり悲しいと思ってなくて……それが、悲しいんでしょうけど(笑)。あと、お金はないかな? それでも毎日やりたいことをやりたいだけやってるっていう充実感があるから、将来振り返っても後悔しない自信はありますね。結婚や出産が幸せっていう世間的な価値観に縛られなくていい、という幸せもあります。いつかは出産したいんですけど、できれば女の子を産んで、将来は宝塚に入れたいです!

――(笑)。宝塚をよく知らない、まだあまり興味がないという人たちでも『ZUCCA×ZUCA』の世界観は楽しめますよね。

はるな 私は、ハマれるものがなくて暇という時期が人生で一度もなかった人間なんですが、趣味や楽しいことを探してる人も多いと思うんです。そういう方にこの本を読んで「バカバカしいけど、楽しそうな人たちがいるんだな」って思っていただけたら。もちろん「だったら宝塚を見ませんか?」って囲い込みたい気持ちはやまやまなんですけど(笑)、何かに夢中になる喜びって、ヅカじゃなくても一緒だと思うんですよね。その人にとって、毎日を楽しくしてくれる何かを見つけてもらえたらいいんじゃないかと思います。

はるな檸檬(はるな・れもん)
宮崎県出身。マンガ家・東村アキコ氏のアシスタントを務め、いつのまにやら宝塚歌劇団の熱狂的なファンとなる。「ZUCCA×ZUCA」(http://morningmanga.com/blog/zuccazuca)は月曜~金曜に配信中。

『ZUCCA×ZUCA』

サイ女はしょっちゅう、ジャニーズの人事会議をしています

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