[女性誌速攻レビュー]「MORE」11月号

「振り返るのは、バックミラーを見るときだけ」木村拓哉のインタビューに悶絶

2011/09/30 16:00
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「MORE」2011年11月号(集英社)

 「MORE」をレビューするにあたり、みなさんはファッションにはきっと興味が無いだろうと、毎号勝手にスルーを決め込んでおりますが、「『NEWSなニット』を指名買い!」に食指を動かされるページがありましたのでご紹介します。篠田麻里子と戸田恵梨香がご指名ニットを紹介しつつ語り合う「麻里子&恵梨香の『We(はあと)ニット』ガールズトーク」。ある現場で一緒になってから意気投合したというふたりが、「アタイらこんなに仲良し」を読者の方にアピールしています。

 「時間ができそうな時にわりと突然誘うんだけど、来てくれるんだもん。まっつん、めちゃめちゃ忙しいのに(戸田)」「自分こそ(笑)。なのに、この前はライブにも来てくれてありがとう!」と、のっけからマウントの取り合いに。女性タレントさんの仲良し対談あるあるとして「変なあだ名で呼ぶ」というのがありますが、「麻里子=まっつん」も、なかなか。そういえばこのふたりはどちらも「○○○様」キャラですね。そういう点で気が合うのかもしれないですね。話が別方向に行ってしまったので、この辺りで今月のラインナップを。

<トピックス>
◎レディなワンピをおひとついかが?
◎劇的脚やせブーツ167
◎特別付録 ヘアコテ最強BOOK

■キムタクはやっぱりキムタク

 男女問わず「うっとり」の魔法をかけてしまう、恐怖の「MORE」インタビューページ。しかし、そんなトラップすらヒラリと飛び越え別次元へと誘う、どエライ方・SMAP木村拓哉が登場です。

「スペシャルインタビュー 木村拓哉 動き続けるSMAP20周年、『Myojo』のフォトエッセイ『解放区』16年目、『MEN’S NON-NO』での単独表紙30回目。それでも木村拓哉は、足を止め、後ろを振り返らない。なぜ彼は前に進み続けることができるのか?」そんなカッコいいリードの横に、1ページ丸々使ったキムタク兄さんのご尊顔……。

 もはや「キムタクbot」がお送りしているのではないかと思われるほど、濃密な「俺」トークが繰り広げられます。目の前にランダムな「”動詞”のカード」を置きながらのインタビューで、「俺が一番気になっているのは<生きる>と<演じる>というカード。この2枚を組み合わせて<生き演じる>もしくは<演じ生きる>ことをいつもしたい」など、どこの小童が言えましょうか。蛍光ペンでアンダーラインを引きましょう。まだまだ続く、カードトーク。

<続ける>→「後ろを振り返るのも、車の運転中にバックミラーを見る時くらいしかない」
<撮る>→「とんでもないことをやってる高揚感が、僕にシャッターを押させたんだと思う」
<伝える>→「『リンゴってうまいですよね』だけじゃなくて、『ナイフで切った時も食べる意欲がわくけど、無理して片手の握力だけで割った時の断面を見ると、無性によだれが出てくるし、思いっきりかじりつきたくなりますよね?』っていうレベルまで伝えたい」

 みなさん、「……ちょっと言ってる意味が分からない」と落ち込む必要はありませんよ。一般人を完全に置いてきぼりにするこの「俺」感、これぞまさにスターの証。不惑を前にしてもキムタク兄さんにはブレも隙もないのです。

■ところで「成功」って何?

 キムタク兄さんの名言に身も心も震えたら、続いて麻里子様も大変お世話になっている、AKB48の総合プロデューサー・秋元康氏の「”成功する”女子のルール」に耳を傾けましょう。「常に遊び心を持ったチャーミングな方です。たとえばメンバーとごはんに行った時も、子ども用の椅子に座ったり(笑)」という麻里子様からのコメントに、「それ取り巻きの方々にはグッとくるだろうけど、俯瞰で見たら神々の遊びレベルで危ない」と言いたい気持ちはどうぞこらえて中身へ。

 秋元先生いわく、「MORE」世代は「片目を閉じた状態」なんだとか。「すべてが半分透けて見えているから、迷ってしまうのです」。この否定からの入り、宗教の勧誘などで見かけるパターンです。それからは読者に考える隙を与えない、見事なまでの勧誘トークが続きます。

「物ごとを客観視した時点で本気ではないし、今以上の大きな成功は生まれない」
「セルフプロデュースなんて、誰にもできない! だまされたと思って、人の意見に身を任せてみる」
「嫌われる勇気を持って自分を出さなければ、逆に好かれることもないんです」
「運があると信じて、待つ。成功する女子の絶対条件」

 この後に「じゃあこの壺と印鑑を……」って言われたら、筆者は確実に買ってしまいますよ。さすが、芸能界を口八丁手八丁で生き抜いてこられた猛者は違います。

 秋元先生は漠然と「成功」「成功」を繰り返していますが、「MORE」娘における「成功」って一体なんでしょうか? 結婚ですか? それとも出世? そこがはっきりしないまま、「成功したいなら俺(の意見)に身をゆだねろ」って言われても……。それこそ、人生に迷っている「MORE」娘に「客観視するな」とか「人の意見に従え」とか「嫌われろ」とか、先生は割と酷なことおっしゃいます。その「突き放し」も、勧誘、じゃなかった人心掌握の技なのでしょうが。誰か、迷える「MORE」娘に「生きてるだけで、成功だよ。みつを」って言ってあげてください。誰かって、完全にみつをさんですけど……。

 そんなわけで、今月号は四方八方から名言が飛び交っていて、どれをデスクトップに貼りつけようか迷ってしまうほどの充実ぶりでした。秋元先生に成功の極意を学んだ次のページには「乗り遅れるな! 恋愛戦線、異常あり!!」「モテテクを盗め 合コン入門塾」「気になるアイツは本命の器? 頼りGUYチェックリスト」「『私、彼と結婚できるの?』と思ったらすべき10のこと」がズラッと。「MORE」娘にとっての「成功」はやはり「結婚」みたいです。秋元先生は「(結婚したいなら)作戦に躍起にならず、楽しい時間を過ごすことが近道です」とおっしゃってましたが、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもの。おじさんの無責任な発言に心惑わされず、己の信じた道をまっすぐに進んで欲しいと、切に願う11月号でございました。
(西澤千央)

「MORE」

「こういう男を許せるか」という踏み絵だから、キムタク兄さんは。

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最終更新:2013/03/25 21:46
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