角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第2回

借り入れゼロで保育園を設立! 内覧会で父親、母親の本音があらわに

2011/09/17 17:00
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広く、新しい園内で子どもたちも楽しく遊べます

 娘のために急に保育園を作ることになったわけですが、あるのは保育士と多少の現金だけ。逆にいえば、箱と園児がいれば保育園として成立するわけです。まずは箱を探しました。私は巫女としても活動していて、駒沢公園の周辺がいいエネルギーに満たされていると知っているので、数年前に家を買っていました。駒沢公園のすぐ近くにはインターナショナルの幼稚園はあるのですが、保育園は民家を改造したようなところしかなかったので、この場所にいい保育園があればいいなと常日ごろから思っていたんですよ。だから、駒沢の地に開園することにしたんです。場所はすぐに見つかりました。園名は村上春樹の『ノルウェイの森』からとって、「駒沢の森こども園」にしました。春樹は春樹でも、角川ではなく村上春樹文学が好きなんです、私(笑)。

 人生、トントン拍子で進むときは青信号、「行け!」という意味。なんの苦労もなく、開園前の内覧会に漕ぎ着けました。もちろん、金融機関等からの借り入れなんてありません。私のビジネスの考え方として、零細企業で初期費用を借りてやらないといけないのなら、失敗すると信じてる。仮に1つ目の保育園が成功していて、2つ目の園を造るときなら借りても問題ないと思いますが、先行き不明な最初の営業所は借りてはいけないのです。で、内覧会を8月20日、21日、27日、28日の4日間行いました。

 はっきりいってたいへんな4日間でしたね。シャッターを開けるなりどんどん人が来て、シャッターを閉めないと次々と入ってきてしまいました。保育士3人と私と婿の計5人で対応したのですが、待たせてしまうこともあり申し訳なく思いつつも、「この保育園は当たるかも」とみな確信していたのかもしれません。4日間で120家族に内覧会に来ていただいたのですが、その中にはちょっと変わった家族もいましたね。

■「鬼畜保育園」と軽い嫌がらせも……

 例えば、子どもを置いて近所のコンビニに行っちゃったお母さん。一瞬、「新手の赤ちゃんポストか?」と思いましたが、試されていた模様。子どもを泣かすことなくお母さんを待つことができたので、結果、その方は翌日に契約しました。また、うちの保育園は飲料水にアクアクララを使っていて、試飲を兼ねてお水を家族全員に提供していたのですが、「いらない!」となぜか突っぱねるお父さんにはびっくりしました。お母さんはやさしそうなのに、なぜ? たぶん、お父さんはいやいや来たのだと思います。本当は奥さんに仕事して欲しくないのかもしれないですね。保育園に預けることを快く思ってないのでしょう。

 いちばん難しい相手としては、「ブログ読んでます」「『探偵ファイルの連載』読んでます」などと開口一番に言う人たちでした。子どもは連れてくるものの、冷やかしなのか何が目的か分からないからです。よく聞くと「現在、区立の保育園に行ってて……」とおっしゃいます。常識から考えると区立から保育料の高い認可外保育園に転園する人はまずいません。うちは月間40時間からお預かりをしているので、例えば「どうしても空手のアクティビティを受けたいから週1で来たい」と言うならば話しは別ですけど。素性を知られているのは問題ないのですが、からかいで来られるのは勘弁です。

 そして、全員が共通して質問したことは、給食で使う食材の産地でした。「東北地方のものは使いません」、そう答えるとみなさん安心して契約して行きましたね。「がんばれ東北」と思っていても、「ただし、自分の子どもは除く」なんですよ。私も同じ親だから同感です。

 オープン前、娘がかつて通っていた保育園「キッ○○ーデン」から微弱の嫌がらせを受けました(笑)。キッ○○ーデンとは徒歩15分以上離れていますし、区も違います。なのに、娘が仲良しの子どもの親御さんに、私のブログをプリントしたものを渡し、「ご参考までに」と言っていたそうです。私が鬼畜なメンタルを持っているということを、転園しそうな親御さんに知らしめることによって、園の経営者にふさわしくないとでも言いたかったのでしょうか。鬼畜じゃないと自分の子どものために保育園なんか作りませんし、薄利な保育事業なんかに新規参入なんてしません。園がよければ子どもは辞めないので、自信があるなら焦る必要はないと思いますけど……。

 開園初日、自分の子どもだけしかいないかと思っていたら、契約が20人に達していました。ビジター契約も含んでいるので、すぐに利益には結びつかないのですが、とにかく娘ひとりじゃないことがうれしかったですね。現在も日々、見学と契約は増えているので、これからが楽しみです。保育事業は社会貢献をして利益が出る仕事なので、鬼畜な私でもやりがいを感じている次第であります!

角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では3歳の愛娘の子育てに奮闘中。

『はじめての保育園―働くママ&パパのための』

角川さん、フツーに「巫女として活躍していて」って!!

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最終更新:2011/09/17 17:00
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