[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

Mr.かくし芸・マチャアキのテーブルクロス引きに見た、赤子の寝かしつけの原点

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(C)安彦麻理絵

 日差しは強いが、空気がカラっとしてる。昨日、外に出たら、目の前をトンボがプイ~っと飛んでったのでビックリした。もう、秋なのである。

 ところで、区のファミリーサポートで「0歳児のお世話可能」って人が見つかったので、今日から赤んぼの面倒を見てもらえることになった、助かった!! 仕事!! できる!! とは言え、平日フル稼働というわけではなく、火・水・金の週3日。昼の11時から夕方6時まで。お値段は1時間800円とか、そんな感じ。ウチに面倒を見にきてもらう、というシステムではなく、その人の家で、赤んぼのお世話をしてもらうのだ。別にホントにフツーの一戸建ての家である。そこに「ごめんくださ~い」と、赤んぼを預けに行くのである。0歳児を見てくれる人は少ないそうなので、だから今回は本当にラッキーだった。この貴重な、限られた時間内で、鬼のように集中して仕事に挑まねばならない。今までみたいに、ダラダラとパソコン眺めてるヒマなんてないのだ。「へぇ~、このパウダーファンデ、今、人気なんだ」なんて、@コスメ眺めてる場合ではない……それこそ、まるで『北斗の拳』のごとく、戦ってる時のケンシロウのようになって、一筆入魂しなければならないのだ(って、できるんだろうか、そこまでそんな風に……ああ、考えただけでも、ドっと疲れが……)。

 赤んぼ&子どもの世話をしてると、時折くじけそうになる。ていうか、この間、近所のスーパーに洗剤を買いに行く途中で、「……あぅぅぅぅ!!」と、突然くじけた。「つらい!! もう休みたい!!」……そして思いっきり泣きそうになった。小さい子どもの面倒を見るのって、まさに「修行」、そのものだと思う。それかもしくは体育会系・汗と涙の部活とか。まぁ、3歳児と1歳児は日中、保育園に行ってるので、それである程度こちらも体力を温存できていたが、しかし、ここに来てまたしても新生児の育児。なんとなくもう、最近は体力の限界を感じてる。

 24時間営業で、だっこ、ミルク、おむつ、寝かし付け……泣きぐずる赤子を寝かし付けるのは大変である。ダッコして、揺らしたり歌ってやったりなんだり、疲れてる時にはもう、どんどんどんどん赤子が重たく感じられきて、まるで子泣きじじいでも抱いてるかのような錯覚に陥る。そして、ようやく寝た、と思って布団の上に起こさないように、そ~っと置いて、やれやれと思ったのも束の間。

「…アウ…ゥウウウエエエ~ン~~~」

 ……置くと泣く。それの繰り返しである。まぁ、最初からガッツリよく寝てくれる赤子もいるみたいだが。とにかくこの「置くと泣く」を、日に何度も繰り返す。寝たと思って、静かに布団の上に置き、そして、赤んぼの体から腕を引き抜く時、いつも私は「堺正章のかくし芸・あの、テーブルクロス引き」を、思い出すのだ。上に乗ったグラスを、ひとつも倒すことなく一気にテーブルクロスを引き抜く、あの、マチャアキお得意のかくし芸……。

 寝かし付けた赤んぼの体から、起こさないように腕を引き抜く様は、まさにミスターかくし芸・堺正章のテーブルクロス引きそのもの。なりたくもないのに私は、泣きそうになりながら、日に何度となくマチャアキと化してるわけである。そして先日、ついに私は

「……一体わたし、いつまでこんな、マチャアキの真似事なんかしてるんだろう……」

 と、ガックリと、くじけた。42歳……考えてみれば、私の母が42歳の時、私はもう18歳くらいになっていた。そのせいか母は「あんた、そのトシでまだ赤ん坊の世話なんかしてんの!?」と言う。「よくやってられるわ」と、母があきれるのも無理はない。私だって、こんな若くもないのに、なんで新生児の世話なんかしてんだろう……と、目の前が霞んでくる時がある。

 そんなわけで今回。ありがたいことに、赤んぼの面倒を見てくれる人が見つかったわけである。そのおかげで私がマチャアキと化す回数は、グっと激減するはずなのである……。ああ、どうか、体力も回復して仕事に打ち込めますように。

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