[女性誌速攻レビュー]「VERY」9月号

「夫以上の理解者!」、「VERY」読者におけるママ友との距離感が危険

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「VERY」11年9月号/光文社

 実は先月号の「VERY」を読んだときに、ちょっとした違和感を覚えていたのです。表紙の写真選びも”らしく”ないし、企画の内容や展開の仕方も地味すぎると。そしてその違和感は、今月号に結晶化されていました。4本の新連載がスタートしています。でも正直、「なんだかな~」といった印象。今後の「VERY」はどこへ向かうのか、無い頭を使って必死に読み解いてみたいと思います。

<トピック>
◎コンサバは個性です
◎新連載 ボクの好きな人。
◎ママ友ワールドは、地獄じゃない!

■滝沢眞規子というモンスター

 今月号の大特集は「コンサバは個性です」。堂珍敦子さんが出産から本格的に復帰され、VERYモデルが揃い踏みといった感じです。堂珍さんが「学校コンサバ」、クリス・ウェブ・佳子さんが「デートコンサバ」、滝沢眞規子さんが「お母さんコンサバ」をテーマに、自身でスタイリングしています。外国人のパートナーを持ち、日本の湿度高めの感性とおさらばしたクリスさんが、ヴィクトリア・ベッカムやジーン・シュリンプトンをお手本と公言するなど、”ネタ”を提供してくださってますが、筆者の目に留まったのは「お母さんコンサバ」という温かみのある言葉でいろんなことを煙に巻いてる滝沢さんのコーディネート。

 「子どもたちの目線を大事に キレイ色を使った 『お母さんらしい』スタイルを」というスタンスらしいのですが、アイテム選びなどから、なんとな~く自己顕示欲が漂ってきます。例えば「子どもに触れる手元こそエレガントな時計で」といって選ぶのは、ヴァンクリーフ&アーぺルの高級時計。本当に子ども目線なら、G-SHOCKでいいわけですよ。一緒に水遊びもできますからね。でも、「滝沢さんはタートルやツインニットも色で遊んで、脱無難を狙います」というキャッチが続き、「VERY」を読み解く上でのキーワード「脱無難」が顔を出します。母であることを選んでいるように見せて、「無難」からは脱したい。「悪目立ちしたくないけど、普通じゃイヤ」という「VERY」のスタンスを、滝沢さんはこれまでの「VERY」モデルにないほど、柔らかな笑顔で表現しているのです。どこにも険のない笑顔なのに、ローリスク、ハイリターンを狙い続ける――。「VERY」魂を具現化したのが、「VERY」一番人気モデルの滝沢さんという存在なのかもしれません。

■なんでいまさらリリーさん?

 冒頭でご案内したとおり、今月号は新連載が4本。一般読者の何気ない週末を切り取った「日曜日の風景」、リリー・フランキーがホストを務める対談「ボクの好きな人。」、ウェルビーイングコンサルタントのChico SHIGETAさんによる「家族も好きなローフード」、3年半ぶりに復活となる「受験バカ一代」です。

 特に気になったのは、前半2本。「日曜日の風景」はキレイな写真と、よくわからないポエムの組み合わせという”魔の「Domani」風”といった感じなんですが、子どもたちの写真のおかげでまろやか風味に。というか正直、無味無臭といった内容でした。この連載を見て思ったことは、「30代で渋谷区にこんな家を建てられるって、どんな商売してんの?」という下衆の勘ぐりだけでした。

 「ボクの好きな人。」1回目の対談相手は、「VERY」の表紙モデル・井川遥。リリー氏が「はる(編註:井川のこと)が綺麗になったのは、結婚したからだけじゃないと言いたくてね。(略)『もう少し大人になったら綺麗になるよ』と、オレはずっと言い含めてきたわけじゃないですか」とか、はいはいどーでもいいですよ的な会話を4ページに渡って繰り広げています。狙いとしてはライトダウンした空間で 大人の男が大人の女を口説くような対談というアダルトテイストにしたかったように思いますが、平成も23年にしてまだこういったものって需要があるんでしょうか。しかも会話も、「オレは前からはるに目をつけていた」と、中年オヤジに認められてこそ一人前の女だという流れ。はあ、うんざり。何一つ新しい試みも、新しいテーマもないのに新連載を始めたのでしょう。「VERY」がやるべきものというより、「女性誌に掲載されていて問題ない連載を走らせた」という感じが否めませんでした。そんなの「VERY」じゃないよ!

■真打ち登場!

 子育てママ視聴率100%とも言われた、前クールのドラマ『名前をなくした女神』(フジテレビ系)。ママ友の表層的な関係やけん制のし合いを執拗に描いた同作は、お受験ママをメインターゲットに据える「VERY」とは切っても切り離せない世界。同作によってダークな面が露わになったママ友の世界のイメージアップを図りたいのか、「ママ友ワールドは、地獄じゃない!」という企画が登場です。

 4組のママ友が登場して、出会いから互いの存在意義などを語っています。子どもを出産した病院で出会った、幼稚園・保育園で出会ったというパターンは納得しても、同じマンション(しかも2軒隣)というのは、今後の長い付き合いを思うとギョッとせざるを得ませんでした。そしてそれぞれに「これだけは守る! ママ友の掟」を聞いているのですが、その答えが生々しい。「○○ちゃんのママではなく、ママの名前で呼ぶようにする」「一緒に産んだ病院だから文句は言わない」「旦那様の話題はふられない限り自分からはしない」「いくらもらっているかなど給料の話は聞かない」。たしかに、筆者の周囲にいる子育てママに聞いたところ、「旦那の話や、新車を買ったなど経済状況が分かるような話はタブー」ということ。これらの話を統合すると、「あくまで子どもを媒介とした、相づちを打ってくれる相手」という正しい距離感を保っていると安心しかけたところ、ページをめくって戦慄が走りました。「あなたにとってママ友ってどんな存在?」という問いかけに、

「ある意味、夫以上の理解者だと思っています」
「同じくらいの時期に子供を授かって、こうして出会えたのも運命!?」
「遠くに住む自分の母よりも身近な存在」

 という答えが! ちょっとちょっと、距離感がバカになってるよ! 人間関係のもつれなんて、相手との距離感が原因。そこを履き違えると、「私と○○さんは唯一無二の仲だと思っていたのに」→「私の方が○○さんより、いい夫とかわいい子どもがいるんだから」→「なんで○○さんの子どもがあの幼稚園に合格するの?」と一気に、『名前をなくした女神』ワールドにワープしちゃうぞ。こうして図らずも、「VERY」と『名前をなくした女神』が双子だということを証明してしまった企画。みなさん、これを読んで他人との距離感を見つめ直してください。

 というわけで、最後のママ友企画以外はらしさが皆無だった今月号。「STORY」「HERS」などの姉妹誌と併せてみると、この現象は光文社女性誌が読者に世代交代を促しているように思えるのです。「STORY」が「40代」という言葉に引き裂かれているのは既報の通りですが、「VERY」もそれを図るためにあえてテイストを変えてきたのかなと。「母さん、夏の終わりに豹になる」という特集を笑ってくれる読者は、「コンサバは個性です」なんてありきたりの特集じゃ満足できないですもんね。筆者はもともとの「VERY」が大好物なので、これがただの推測で終わることを願ってやまないのですが、来月号の予告を見ても、やはり「VERY」の変貌を認めざるを得ません。
(小島かほり)

「VERY」

一番怖いのは、某掲示板の「VERY」スレだけどね!

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