サイゾーウーマンコラムひばりはまだ死んでいない、と錯覚させてくれる「美空ひばり座」の魅力 コラム [連載]そうだソルティー京都、行こう ひばりはまだ死んでいない、と錯覚させてくれる「美空ひばり座」の魅力 2011/08/06 17:00 スポットそうだソルティー京都、行こう 京都は、世界屈指の観光地。そして女の憧れの地である。美味いもん食って、寺社を見て、お洒落して、勉強する。何でもかんでも「京都でする」のが女の憧れなのだ。女性誌はこぞって京都特集を組み、ガイド本や京都観光エッセイがボロボロ出版されている。確かに京都には歴史がある。名産品がある。美味がある……そして誰も取り上げないけれど「しょっぱい京都」もある。 しかし京都のほんとうの魅力は、こういうソルティーなところにあるのだ。上品ぶっている女性誌では取り上げないほんとうの京都の姿を、しっかり焼き付けて欲しい。そうだソルティー京都、行こう。 【第8回 京都嵐山 美空ひばり座】 ふと気がつけば、平成も23年。「青い500円札」を知らなければ、テレビのチャンネルも電話番号も「回す」ではなく「押す」しか知らない平成生まれが、酒を飲んで大人になってる時代だ。昭和は遠くなったものである。 その昭和の大スター、美空ひばりの記念館が、どうしたわけか京都の嵐山にある。京都は国際的にも人気のある観光地だ。その中でも、市内の西端に位置する嵐山と、東端に位置する清水付近は、京都の中でも屈指の観光地――「観光地 of the 観光地」だ。見るべき世界遺産があり、寺も豊富、みやげ物屋もたんまりあって、ここらは「どこに行こうか」ではなく「どこに行かないか」、候補を削るのに苦労するような場所である。そんな嵐山の駅前に堂々と勝負に出たのが、「京都嵐山 美空ひばり座」なのである。 嵐山駅前の最高級地にたたずむひばり座。ちなみにこの後ろあたりに時雨館がありました ひばり座は、上品な劇場といった感じのたたずまいで、入り口では受付嬢が制服着て出迎えてくれる。こういう「偉人館」みたいなところって、しょっぱいであろう期待感が立ちこめて、めっぽう楽しみであった。入場料1,400円でどれほどのものが見られるのか。 受付嬢が出迎えてくれる 館内は撮影禁止であったため、ざっくり説明するにとどまってしまうのだが、いや正直、予想ほど「しょっぱくない」。3階から始まる展示は、昭和の文化・歴史に絡めてひばりを紹介していて、昭和を生きたことのある人間なら、「このラジカセ、家にあった!」とか「このおもちゃ、見たことある!」とかノスタルジックな懐かしさに胸震えることだろう。 しかし「ビバ! ひばり!」な展示には、やはりほころびがある。ここで見せてくれる映画は、最後がなんだかブツ切れ。ひばり誕生から彼女の人生を紹介する展示も、「いつ、何で亡くなったのか」まったく展示がないのである。「ひばりちゃんが死んだことなんて、悲しくて紹介できないのよ」ということなのだろうか。病気したところまでは展示があるのに、その先が霧に包まれた感じなのだ。実はまだ生きてるとか? 展示は、歩を進めるごとに「昭和文化の紹介」という大衆に迎合した姿勢が薄れて行き、ひばりオンリーな展示に変化していく。展示は、3階から1階へ向かって下りながら見ていくのだが、2階ですでに「音楽と映画のひばり」でいっぱいになり、昭和の歴史はかけらも登場しないのだ。うまい構成である。 さて、これまでの場所でもソルティー観光地の条件をいろいろ列挙してきたが、最近、新たな条件を発見した。行けば「しょっぱい事件が起こる」というものだ。 実はこの取材、経費をケチって「入場料と食事付きで半額の1,400円!」というクーポン、正月におせち事件で一躍有名になった、話題のネットサービスでチケットを買っていったのであった。一通り展示を見終わり、予約の時間にレストランへ。 でも説明員のおばちゃんがうどん食ってる以外は誰もいません 席について「ひばり御前」というお弁当を頼み、パシャリと記念撮影して、いただいた。たけのこご飯、湯豆腐、煮物……。どれも京風で上品な薄味だ。えっとこれは、ほうれん草とおからの和え物か……。もぐもぐ……。……。こ、これは……。 魅惑のひばり御前、湯豆腐付き ほうれん草の青臭い香りも、おからのホクホクとした豆の香りもまったくなく、ちょっぴり生ゴミ風味。口に入れたものを出すのもなんなので、一口くらい飲み込んじゃおうかとも思ったけど……、いや、ごめんできません! さっそく店員に知らせると、すぐにその小鉢は取り下げられ、今度はオクラの和え物が出てきた。しかし一度不信感を持ってしまうと、何を口に運んでも、「これは大丈夫かな」と不安でいっぱいで味がしない。このオクラがねばっているのは、果たしてオクラだからなのかなんなのか……。 何を食べてもおいしく感じないので、もうご馳走さまにしようと思い、おやつの三色団子を口に入れた。もぐもぐ……。……こ、これは……。 おからは痛みやすい食材だとしても、団子があの風味になるまで、いったい何日置いていたのやら(ちなみに取材はまだ寒風吹きすさぶ3月に行われた。震災など諸々の事情で今公開されるという、何の因果か分からないしょっぱさが付きまとう)。しょっぱい観光地の取材をしに行ったのに、酸っぱい体験をしてしまいました。 ちょっと平成の味を取り入れてみました、プリクラ ちなみに展示の話に戻るが、会場のここそこに等身大のひばり立て札があり、胸に立体のりんごがついている。これはなんだろうとずっと思っていたのだが、そこに手をかざすと、ひばりの声で解説が始まるのだそうだ。えっ? 受付嬢も展示の案内おばちゃんも、誰もそんな説明してくれなかったよ? その説明を聞いたのが最後の方だったので、最初から見てみたかったが、なぜかこの会館は一方通行で、3階から階下に降りてしまうと、もう前の階には戻れないのだった。混んでもないから自由に見せてくれてもいいと思うのですが。 まあ、もう少し混んでたら、すっぱいおかずが出ることもなくなりそうなので、なにはともあれ昭和を懐古する会館として、今後も頑張って欲しいものである。 和久井香菜子(わくい・かなこ) ライター・イラストレーター。女性向けのコラムやエッセイを得意とする一方で、ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、就職系やテニス雑誌、ビジネス本まで、幅広いジャンルで活躍中。 『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。 『不死鳥 美空ひばり in TOKYO DOME <完全盤> 翔ぶ!! 新しき空に向かって』 やっぱり生きてると思う。 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・まさにソルティーの見本! 百人一首の施設「時雨殿」の不思議ゲームの数々 ・「名前負け」「説明不足」、高濃度なソルティースポット・平安神宮を歩いた ・“残念な感じ”が積み重なり、楽しみ方が複雑な「源氏物語ミュージアム」 最終更新:2019/05/21 18:38 次の記事 「ブ男とは友達になる気はないんじゃないか」と表参道の人種を見ながら思った > Facebook Twitter プッシュ通知を受け取る クリックしてプッシュ通知を有効にする クリックしてプッシュ通知を停止する アクセスランキング コラム 明菜とマッチ、聖子の関係に触れない週刊誌 大谷翔平と代理人バレロ氏の心配な報道 メルカリで55万円のシャネルのバッグに降伏 ヤクザが能登半島地震で炊き出し! 山口組機関誌の内容がネット掲載、元極妻がモヤモヤしたワケ 皇室の“セックスマニュアル”? その内容は 殺害未遂の女医の告白 秋篠宮さまの“プロポーズ美談”は全部ウソ? 夫が愛人と変死した悲劇の皇女 「男の宿命的な性」への憎しみ 今年度「最も買ってよかったもの」 メルカリで31万ネックレスが27万に! 4万円の値引きに成功したワケ 学習院「常磐会」が行った「美智子さまいじめ」 実父の強姦が黙殺された「栃木実父殺し」から現在 132万のジュエリーの代わりに買ったもの 「美智子さまいじめ」の主犯 サラリーマンと結婚した皇女が金銭難で内職? 秋篠宮さま、大学時代に「7人の恋人」? 山口組は分裂9年も平行線、「トクリュウ」が勢力拡大? 元極妻が予想する「2024年のヤクザ情勢」 イオンで10万円を散財して買った服とは? Yahoo!フリマ、メルカリ・ラクマよりお得! 総合 『アンチヒーロー』第2話視聴率は? 閉店ラッシュ【イオン】系列ストア「アコレ」 旧ジャニーズ101人の契約形態まとめ 【焼肉チェーン】ランチ全6種食べてみた 【ジョブチューン】ローソンTOP10 「謎肉放題」ボロネーゼに使ったらおいしすぎ 【無印良品】おすすめベスト3 スト、Number_i「GOAT」披露も賛否 夫人の新ブランド商品がネットで総叩き 明菜とマッチ、聖子の関係に触れない週刊誌 劇場版『名探偵コナン』歴代最高の初動スタート プラマイ岩橋、告発騒動まとめ 【セリア】シャンプーブラシは無印良品と同じ 丸亀製麺、シェイクうどん実食 スノ目黒の“らしさ”あふれるステージ写真 『名探偵コナン』2世声優にスタッフが本音 今週の人気記事ランキング チャールズ国王、「死相が出てる」とネット騒然 アラフォー婚活、37歳小学校教師の告白 【レジ袋収納】プロのリピ買いグッズ カルチャーの人気記事 アラフォー婚活、37歳小学校教師の告白 アラフォー婚活、イケメン中卒38歳 アラフォー婚活、夜の相性最悪の35歳販売員 「じゃあ付き合って」って、何よ? ドラマ『夫を社会的に抹殺する 5つの方法』で話題のモラハラ夫、わきまえない妻の逆襲劇 カルチャー一覧へ サイ女の精神!過去の人気コラム 宇垣美里、実はメンタルが強くない? マイメロ理論とコーヒーぶちまけ事件に見る“敏感さ” 仁科友里「女のための有名人深読み週報」 Hey! Say! JUMP「ペトラ」のここがすごい! 伊野尾慧に脱帽のワケ コラム ダイソーのジッパー袋やポケットティッシュをくれるママ友、「いらない」の一言が言いだせない! コラム コラム一覧へ