[連載]アナタ、今夜こそ抱いてください

毎日発情の全裸妻より恥ずかしがる妻がいい? 真夏がくれたひとつの解

「結婚してすぐ、ダンナが転職したのね。それから毎日疲れた疲れたって、全然セックスしてくれないんだよね」

 チナツさん(仮名・36歳)に会ってまず目に飛び込むのは、Gカップを誇る爆乳。谷間が見えそうなトップスはいつも胸元だけが伸びきり、ほっそりしたアンダーバストの辺りの布は余り気味だ。男性を惑わすBODYとミステリアスフェイスは、女蜥蜴といったところ。OL時代は同僚との”オフィス内立ちバック情事”もたしなみ、通いつめたパチスロ店で出会った”お玉たち”とも、いつだってフルスロットルで愉しんだ。8歳年下の夫と付き合い始めてからは「ダンナポンイツ(一本)」の聖性活を送ってきたが、結婚して10カ月、そろそろアッチのお虫がウズいてきたという。

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チナツ「誘うのは私からばっかり。月30回誘っても、最後まで挿れてくれるのは3回くらい」

――”最後まで”じゃなければ、もう少し多いですか?

チナツ「10回くらいかな? ダンナの手の上に乗るから、一応イジってはもらえる」

――乗る? 

チナツ「ダンナはいつもソファの下に地べたに座ってるから、床にある手の上に腰を下ろすの」

――どういう体勢で乗るんですか?

チナツ「お尻だけ突き出して乗せる時もあるし、腕にまたがる感じで乳首をダンナの顔につけたり」

――ロデオなポーズ……。自分から乳首ポロリするんですか!?

チナツ「あたし、家では全裸だから」

――えっ!

チナツ「ダンナはしょうがなくっていう感じでちょっと指動かしてくれるけど、1分くらいで『ハイ、終わり』って言われて、シッシッってされちゃう」
 
 毎日フルコースでデリシャスしたいのに、現実はたった1分間の”ロデマン”。チナツさんの溜まり具合は相当なもので、ここのところ毎日、オフィス時代にバリ3の関係だった元同僚の番号をスマホに表示させては、「発信」をタップしそうになるとか。しかし、仕事だけでなく家事のほぼ全ても担ってくれる可愛いダンナを思うと悪くてできず、結局はその指で自らのクリちゃんをタップしていると聞く。チナツさんは主張する。「ダンナはあたしが性欲強いって知ってるのにヤッてくれない。話が違う。このままじゃ浮気するのも仕方が無い」と。

 私は思う。自宅でテレビ番組を拝聴しくつろいでいる時。自分の手の上にご本尊とオイナリ様を意味ありげに置かれたら。その際、上半身の2つの的も愛撫せよと迫られたら……。そのまま手を上下に動かしてあげたとしても、続けるのは50秒が限界だと予測する。その50秒はねぎらいであり、人権保護(自分の)であり、相手に対する最大の愛情である。それを、チナツさんに伝えた。

チナツ「だって、我慢できないもん。ヤッてくれればいいだけじゃん」

――人の裸は、隠してるからエロいんですよ。自分のが大きいと分かってる人が堂々と見せてくるズルムケ棒よりも、小さくて包茎なことを恥ずかしがって隠してる人のペニ棒のほうが、どっちかと言えば見たいですよ。

チナツ「え~。ズルムケ巨根がいいよ」

――おっぴろげすぎるとソソられないんですよ。着エロって、めちゃくちゃ細いヒモとか泡だけど、大事な部分だけは隠してるじゃないですか。服を着たら、ダンナさんもヤル気になると思いますよ。

チナツ「え~、家で服着るとか無理」

――とにかく何かしらで、局部を隠してみて下さい。 

チナツ「……じゃあ、乳首に何か貼ってみようかな」

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乳首に絆創膏を貼ってみたチナツさん

 チナツさんは隠し事をしないタイプ。放屁はもちろん「いいのが出た」時は、流さずに夫をトイレまで誘導し、「見せてあげる」という。夫は嫌がるどころか喜んで誉めてくれる、ハタから見たら常軌を逸しているほどのラブラブな夫婦だ。不満なのは、セックスの回数が少ないことだけ。全裸か、セックスか――。二者択一と思われたチナツさんの行く末は、酷暑によってその結果が表れた。

チナツ「部屋が暑くって、汗が出て気持ち悪いから、ユニクロとかで売ってるすぐ乾く素材の肌着を着て、下はパンツを履くようになったんだけど……」

――そうですか!

チナツ「暑いから、ロデオもする気がなくなっちゃって、ダンナにくっつかなくなったのがよかったのかな? 先月は、週4回くらいのペースでダンナから誘ってきて、昨日もヤッたよ」

――それはよかったですね!

チナツ「あんなに『疲れた』って毎日言ってたくせに、今は前より暑いんだから疲れてるはずなのにさ、今までなんだったのって感じ」

――肌着で乳首立たせて、食い込んでメコスジが割れたパンツでも見せておけば、何もしなくても勝手に勃起するってことですね!

チナツ「でも、やっぱり夫とのセックスっていいよね。これからも、できるだけたくさんヤリたい」

 オスはメスを選びたがり、メスはオスに選ばれたがる。オスはメスから選ばれ続けていると、その「選びたい心理」がかき消され、ヤル気を失っていくものなのかもしれない。オスの心理を揺さぶられたことで、旦那さんは久しぶりに鋭角にそそり勃ち続ける己のコンバットを、おさめることが難しいようだ。しかしチナツさんには、夫の性欲をコントロールしている自覚はない。

チナツ「秋になったら、またあのヤリタイ季節が始まるのかな? つらいわ~」

 その時が来たら、分からない。チナツさんは元同僚のテレフォンナンバーを、まだ消してはいない。

田房永子(たぶさ・えいこ)
1978年、東京生まれ。漫画家、ライター。01年「マンガF」にて漫画家デビュー。05年 エロ本の漫画業開始。ハプニングバーなどの過激スポットへ潜入したルポ漫画を描きながら、男性の望む「女のエロ」を描き、違和感が蓄積。08年からノンフィクションレポートシリーズ「むだにびっくり」を自主制作・出版。
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