イケメンビジネスの行方(後編)

二極化する演劇ビジネス、起爆剤となるのは「城田優」的なイケメン俳優!

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NAKED BOYZのプロデューサーを務め
るカニリカ氏

(前編はこちら)

 ドラマや雑誌の勢いが横ばいや縮小傾向にあるイケメンビジネスの中で、熱狂的な固定客を摑んでいるように見えるのが『ミュージカル テニスの王子様 (以下テニミュ)』などの舞台だ。放送作家であり、”日本最大の”イケメン俳優集団・NAKED BOYZを企画・演出・プロデュースするカニリカ氏に話を聞いた。

「東日本大震災以降はショービジネス市場も自粛傾向が強まったためか、イケメン舞台に限らず、完売しない作品が増えています。そんな中でもチケットが完売したのが『忍たま乱太郎』と『聖闘士星矢』の舞台版。近年は舞台もアニメやマンガ原作の作品が増えていますが、これはすなわちオリジナルの脚本を書ける人が少ないということです。昨今のドラマもそうですが、舞台も原作のストーリーをなぞる形のものばかりだと、お客さまの舞台やストーリーを見る目が育たないんですよ。いまの日本の舞台は蜷川幸雄さんや三谷幸喜さん、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんがやっているようないわゆる芸術・娯楽作品と、こういった腐女子向け作品の二極化が進んでいて、この双方向の交流がないので、全体として観劇人口も増えていないんです」

 カニリカ氏がNAKED BOYZを立ち上げたきっかけも、こういったショービジネスの構造に疑問を持ち、風穴を開けたいと思ったからだという。

「テニミュに出た俳優は、一気に仕事のオファーが増えます。でもそれを全てこなしていると、俳優ともタレントともつかない消費されるだけの存在になってしまう。ライダーや戦隊モノに出た人は、オンエア中は街に出れば子どもから大人にまで顔が知られているのに、年月が経つと仕事が激減して、精神的に追い込まれる人も多いと聞きます。ここで一発屋的な扱いに甘んじるのではなく、年齢を重ねて多少容姿が衰えても、生き残れる俳優を育てていく場が必要なんじゃないかと」

 そんな考えのもとに立ち上げられたNAKED BOYZの舞台は、イケメンを見に足を運ぶ女性の心理を考え、作りこまれたものになっている。

「女性は群像美に弱いですから、イケメンを少人数キャスティングするのではなく、集団で出すという形にしました。内容は熱狂的なファンが多い原作モノのように世界観が濃すぎない、初めてのお客さんでもわかるような演出を心がけていますね。最新作ではそれぞれの俳優の魅力を知ってもらうためにあえてオムニバス形式にして、全員に必ず見せ場があるように作っています」

 国内のイケメンビジネスが飽和状態になり、コンテンツに関しても試行錯誤する中、新たに参入してきたのがK-POPのスターたちだ。驚異的な速さで人気を獲得した彼らを支持するファンの中には、かつての戦隊ファンも多いという。

「昔は、女性が男性の裸を語るのはどうだろうという風潮があったと思うんです。でも『an・an』(マガジンハウス)のSEX特集やイケメンのヌードグラビアが出るようになって、女性が男性のヌードを愛でるのも珍しいことではなくなった。男性の性的アピールが解禁された、という土壌ができあがった所に、背が高くてマッチョな肉体美を売りにしている韓国アーティストがやって来た。ファンミーティングなどでファンとハグをしたりして、距離の取り方も非常に近い。それはリピーターも増えますよね」

 新たな”外敵”も現れた日本のイケメンビジネス、市場を拡大するための打開策はあるのだろうか。

「城田優さんのような俳優がたくさん出てくればいいと思うんですよ。彼はテニミュ出身ですが、昨年東宝ミュージカルの『エリザベート』にも出演しました。腐女子に好まれる作品と芸術作品にも出られる彼のような存在が起爆剤になると思うんです。ほかには、舞台版の異種格闘技のようなものも面白いと思いますね。5月にジャニーズ事務所と吉本興業、ハロー!プロジェクトの3社で『喜劇「ハムレット」& 悲劇?「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」』というシェイクスピア作品をやったんですよ。シェイクスピアって舞台の入口としてはハードルが高いですけど、これならアイドルや芸人さんを見たくて行ってもいいわけです。こういった試みで、観劇人口自体が増えるんじゃないかという期待もあります」

 また、今後注目の市場としてはイケメンの”声”を使ったコンテンツが挙げられるという。

「NAKED BOYZも参加予定ですが、スマートフォンでアプリをダウンロードすると、その芸能人から不定期に電話がかかってくる『ドリームコール』はユニークですよね。『今何してるの?』とかセリフが入っていて疑似会話ができるというものですが、素人バージョンも含めると140万人の会員がいるそうです。最近はイケメンの声優さんも増えていますから、この手の市場もどんどん拡大していくんじゃないでしょうか」

 イケメンをめぐるさまざまなビジネスが増殖する中、こうした新たなコンテンツや市場も生まれつつある。飽和状態ともいわれる”国産”のイケメンたちが、今後どう巻き返しを図るのか、見守っていきたい。

カニリカ
放送作家・脚本家・演出家。FMラジオ番組製作やライター業を経て、『ナイナイサイズ!』『スッキリ!!』(いずれも日本テレビ系)などの構成作家に。その後、ドラマや舞台の脚本・演出を手掛ける。『ネオロマンス・ステージ 金色のコルダ』(脚本・演出)、『執事ホテル』(作・演出・プロデュース)など。有望新人からブレイク間近の若手俳優まで集めた”日本最大のイケメン集団”NAKED BOYZをプロデュース。

NAKED BOYZ ACT II『BADMAN』
女を騙す男、残酷な男、非情な男……世の中にいるたくさんの種類の「悪い男」をテーマに、ダンスパフォーマンスとともに展開されるショート・ストーリーズ。NAKED BOYZメンバーが懺悔し、観客から「最も悪いと思う男」を選んでもらう、「本日のワーストマン」を発表するコーナーも。企画・演出・プロデュース:カニリカ 出演:松岡佑季、前内孝文、坂口りょう、三上俊ほか

■日時
7月29日、19時~
7月30日、13時~、17時~
7月31日、13時~、17時~

■場所:新宿FACE

■チケット:S席6,000円/立ち見3,500円、1ドリンク別途500円

『ネイキッドボーイズ・ムービー』

フレッシュイケメンの宝庫

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