[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」7月7日号

自慰とセックスの快感は別物? 「婦人公論」の真面目で明るいセックス対談

2011/06/29 22:00
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「婦人公論」7月7日号(中央公論
新社)

 最初にお詫びがあります。前回の「婦人公論」6月22日号のレビューで、江原啓之氏がいかに素晴らしい”スピリチュアルカウンセラー”かについてお伝えしましたが、江原氏は今年3月末をもってスピリチュアルカウンセラーの肩書きを「スピリチュアリスト、オペラ歌手」に変更し、「第三幕」を再出発されたのだそうです。すんません。間違ってました。で、今号の「婦人公論」には「私がスピリチュアル・カウンセラーを返上した理由」という独白が掲載されています。ご興味のある方はぜひお読みください。表参道に「ザ スピリチュアリズム・サンクチュアリ」という成金趣味の建物を建てた話や、「霊感商法にご用心」といったことがつらつら語られています。何を感じるかはあなた次第!

<トピック>
◎特集 お金があっても不幸な人、なくても幸せな人
◎マスターベーションで美しくなれる”光合成女子”のすすめ
◎周囲が恐れるゴミ屋敷 その住人に迫った

■「婦人公論」が大好きなオナニーの話だよ

 特集「お金があっても不幸な人、なくても幸せな人」の話は飛ばしまして、産婦人科医の宋美玄とクリエイティブ・ディレクターの湯山玲子による対談「マスターベーションで美しくなれる ”光合成女子”のすすめ」をご紹介したいと思います。簡単に説明すると、女性も性欲があるのは当然のことと自覚し、マスターベーションをしてコントロールした方が医学的にも血のめぐりがよくなり、精神的にもいい影響があるという内容です。

湯山 セックスで毎回イケます?
宋 そうですね、2回に1回くらい。
湯山 そりゃ、すごいな。そう考えると私の人生のエクスタシーは圧倒的にオナニーベース(笑)
***
宋 私は最近になってバイブデビューしてみたのですが、これ、別に面白くないって思いました。ほかにおすすめの方法、あります?
湯山 うつぶせになると自然とクリトリスが布団や床に当たるでしょ。それで脚を動かすだけでも、気持ちよくなってイクことができますよ。

 と、ナマでグイグイ奥にツッコんでくるような会話が繰り広げられています。中高年向けの女性誌としてはとても画期的です。乙女な読者は、モンモンとしていた心とアソコがパッと開けたような爽快感が味わえることでしょう。しかーし、熱心な「婦人公論」読者にとっては、性欲もマスターベーションも幾度となく繰り返されてきた見慣れたテーマであります。そのせいか、一見すると過激なプレイでありながら、今一歩のところで絶頂感が得られない、そんな欲求不満感が残ります。

 対談のひとつのテーマとして語られている、女には性欲があり、それを公にするということのタブー。これは、熟女のエロ本「婦人公論」においては、ほぼ克服されています。しかし、女が自慰行為をするというタブー。これは確かに克服されていない。なぜならそれは、”女なのに自慰をすること”が恥ずかしいからではなく、”自分はセックスする相手がいないので、ジャニーズのグラビアを見ながら喘ぐような寂しい女であり、パートナーがいる女よりも女として劣っているのだ”という事実を認めることが恥ずかしいからです。対談で湯山氏は「私はセックス嫌いではないのですが、オナニーのエクスタシーのほうが、自分にとってより豊饒だなあ、と思いますよ。オナニーはセックスの代替品ではなく、別個の快感」「何のためにセックスするかというと、(中略)ババアになってみて、快感にもだえる男の顔というのがイイ、ということがわかってきた」と発言しています。宋氏は「私はセックスのほうが好き。(中略)今のパートナーとは、暗黙の了解で快感にたどりつけます」と答えています。ふたりとも暗にパートナーがいるということを匂わせていて余裕が感じられる! そこに大打撃!

 湯山氏は、「性欲をコントロールすることで余裕が持てる」とおっしゃっています。余裕が先か、オナニーが先かっちゅう話ですね。オナニーをして余裕ができたら、若い男が寄ってくるんだろうか。わかりません。とにかく余裕あるお二人のあけっぴろげ対談に置いてけぼり感を感じずにはいられませんでした。日々夫への憎しみと婚外恋愛への憧れを募らせている「婦人公論」読者のためにも、今度はもっと後ろ向きで陰気で生々しい女のマスターベーション考をどなたかに語っていただきたいです。敗北感に満ちた快感の向こうには何があるのでしょうか。

 ちなみに、今号の連載ルポ「快楽2」では、「あそこにさあ、今出しちゃった精液がだぶだぶ残っているのにさ、また始めるから、くちゅくちゅ音がするのよ」と、40代の女性が20歳近く年下の男性と一晩で4回セックスした話を語っています。こんな話とあんな話が同じ号で掲載されている雑誌、それが「婦人公論」です。

■ゴミ屋敷に住む人の心の闇を語る

 ルポ「周囲が怖れるゴミ屋敷 その住人に迫った」が興味深かったのでご紹介します。テレビで見るだけでもかなり異様なゴミ屋敷。なぜゴミを集め続けるのか、その住人と精神科医の春日武彦氏にインタビューしたレポートです。春日氏によれば、ゴミ屋敷の住人は認知症や統合失調症など精神を患っているケースのほか、元大学教授や医者などインテリ層が転じてしまったケースが多いそう。絶望や諦め、歪んだプライド、自己正当化……読むと誰でもゴミ屋敷の主に転じる可能性がありそうな分析で、空恐ろしくなりました。隣人がゴミ屋敷になってしまった場合の対処法もありますので、小特集「ご近所トラブル110番」と合わせて一読をおすすめします。

 今号は蓮舫の夫で目黒区議選に惨敗した村田信之氏のインタビューも掲載されています。「○○の夫」と呼ばれる男性の正直な気持ちが語られています。もう江原先生による霊感商法批判とかはいらないんで、こういった意味あるインタビューやルポの掲載を期待しています!
(亀井百合子)

「婦人公論」

好きなオトコのガマン顔、ナンバー1は唇を噛む、です!

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最終更新:2011/07/05 15:51
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