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初代は刺殺され、四代目は男色家! スキャンダルで見る”團十郎十二代”

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『悲劇の名門 團十郎十二代』(文
藝春秋)

「死ぬかと思いました」

 昨年11月、歌舞伎役者・市川海老蔵が西麻布の飲食店で伊藤リオン被告に暴行を受けた事件は、まだまだ記憶に新しいことだろう。左目を真っ赤にさせて、しかられた小犬のような表情でうなだれる海老蔵の会見を見たとき、こっけいに思うと同時に、その柔らかく、はっきりとした語り口に感心したものだ。

 市川海老蔵は、米倉涼子など”海老女(エビージョ)”と呼ばれる女性たちとの熱愛に、隠し子騒動、小林麻央との結婚など、話題に事欠かない梨園のプリンスだが、先の暴行事件の波紋はあまりに大きく、現在もまだ活動自粛をしている。『悲劇の名門 團十郎十二代』(文藝春秋)は、「クラシックジャーナル」編集長で、歌舞伎に関する本を多数著している中川右介氏が、「市川團十郎」の歴史について解説した新書だ。初代から、当代の十二代目(現・海老蔵の父)まで、團十郎十二代がいかに数奇な人生を歩み、スキャンダラスな事件を起こしてきたかが子細に記されており、歌舞伎の歴史が丸ごと分かる内容となっている。

 ご存じの通り、市川團十郎は、現在の歌舞伎の源流と言える野郎歌舞伎を創始した人物で、歌舞伎界の大名跡である。市川海老蔵は現在、團十郎を継ぐ者が名乗る名跡となっている。その名は単に大きな名というだけにとどまらず、市川流の家元で、市川一門の宗家であり、江戸歌舞伎の代表とも言える存在だ。大スターだけに、常に庶民の好奇の対象であった。

 初代團十郎は人気絶頂時に舞台上で刺殺され、二代目はよく名を継いだものの、その妾が弟子と駆け落ちする大騒動を起こす。四代目は男色にふけり、若衆による美少年売春宿の経営を援助。五代目は「おれさえ出れば見物嬉しがるという心がよし」と傲慢な家訓を遺し、七代目は幕府と対立し江戸追放。八代目は若くして謎の自殺を遂げる、など歴代あまたの仰天逸話が伝えられている。特に初代の「舞台上で刺殺」はすさまじく、そのスター性を思わせるエピソードだ。

 300年続いた伝統と團十郎の大看板を背負うということは並大抵の重圧ではないのだろう。歴代の團十郎がそうであったように、海老蔵は間違いなく團十郎の”やんちゃ気質”を受け継いだ人物だと言える。この『悲劇の名門 團十郎十二代』は、芸事はもちろん、そういったスキャンダラスな面からも歌舞伎を楽しめる良書だ。海老蔵が酒乱で女癖が悪いのも、ある意味しかたがないのかもしれない……!?
(文=平野りょう)

・中川右介(なかがわ・ゆうすけ)
1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。「クラシック・ジャーナル」編集長、出版社「アルファベータ」代表取締役。海外の出版社と提携し、芸術家や文学者の評伝の翻訳本を出版する傍ら、自らもクラシック、歌舞伎を中心に精力的に執筆活動を行う。主著に『巨匠たちのラストコンサート』(文春新書)、『坂東玉三郎』『十一代目團十郎と六代目歌右衛門』『カラヤンとフルトヴェングラー』『昭和45年11月25日――三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃』(以上、幻冬舎新書)、『歌舞伎座物語』(PHP研究所)など。

『悲劇の名門 團十郎十二代』

13代目は灰皿にテキーラを注ぐ……

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