[女性誌速攻レビュー]「I LOVE mama」6月号

「I LOVE mama」がデコ弁を捨てて、料理の基本に戻った「AKC学園」

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「I LOVE mama」(インフォレスト)
2011年6月号

 いろいろな意味でどれを食べていいか分からない、「キャラ弁」や「デコ料理」ばかりがフューチャーされてきた「I LOVE mama」。しかし、ここにきて”基本に立ち返ろう”という動きが。食材の選び方、切り方、だしの取り方など、今月号には料理の基礎をあらためて学べるブックインブックが封入されています。これも震災の影響でしょうか、レビューでも取り上げた「ミッキーマウス形ぶり大根」などエッジの利いたメニューは影をひそめ、「生姜焼き」「さば味噌煮」「鶏のから揚げ」「肉じゃが」など茶色っぽいメニューが多数紹介されています。「節約と定番料理なんて、こんなのラブママじゃな~いっ!」と憤慨するファンの皆さま、どうぞご安心ください。この別冊付録のタイトルは「AKC学園~”ア”イラブママ的、”基”本中の基本の、”ク”ッキング」。謎の略称で読者を混乱させる本誌の心意気に、揺らぎはないようです。それでは中身を拝見します。

<トピックス>
◎ラブママPURE化計画発令中★春のデトックス大作戦
◎ふんわり×レトロの融合が美ママの新常識(はあと)ネクターFaceの作り方
◎こころから「ありがとう」伝えたい母の日

■清貧美ママの発想転換力

 春~夏の「I LOVE mama」におけるマスト企画はダイエット特集。はっきり申し上げますと、美ママたちにとって無知は罪にならず、デブは罪になります。「ノリと見た目」という評価軸しか与えられていない彼女たちにとって、スリムであるかどうかは人生を左右する最重要課題。「ちびコへの愛のバロメーター=キレイであること」という前提に、この雑誌は成り立っています。

 さて、今月号ではダイエットを「デトックス」と名前を変えて特集。冒頭の「体内毒素診断」を筆者も試してみたところ、「最近、疲れやすい」「花粉症で苦しんでいる」「二日酔いしやすくなった」と、YESが6つで「キケン度下水レベル」。「自己解毒レベルが衰えているのかも!」ですって。「ギョギョッ」とさかなクン風にびっくりしちゃうママがいるやもしれませんが、そもそも三十路過ぎたら半減しない毒で心も体も満たされるんだから、過度な心配はご無用ですよ。

 ダイエットや解毒レシピのページに続いて登場するのは「ムダなお金は徹底デトックス!目指すは清貧美ママです(はあと)」。これまたマネーデトックス診断を経て、「グルメリアンデトックス」「デジタリアンデトックス」「チエリアンデトックス」という3種類の節約方法を発案しています。

 「グルメリアンデトックス」では食材費を徹底カット。クズ野菜できんぴらごぼう、みかんの皮でレンジ掃除、飲み残しビールでガス台掃除などはもはやラブママ定番の技。「デジタリアンデトックス」はオークションやネットアンケートなど、ケータイでできる節約術。最も「I LOVE mama」らしいと思われるのが、最後の「チエリアンデトックス」。「ダンナとラブラブでいる→光熱費カット(一緒にお風呂)、洋服代カット(共に着回す)」「ばあばじいじに甘えちゃう→食費削減、貢物バンザイ」など、これぞまさに両者一得のウィンウィン思想。ラブママたちの驚異的な発想力および知恵力を見るにつけ、「日本はまだまだ頑張れる」と思いを新たにする次第です。

■愛の裏側にあるざんげと恐怖

 5月8日は母の日です。ラブママたちはちびコも好きですが、ばあばも大好き。子どもを産んだからこそ分かる母への愛をつづっているのが、「こころから”ありがとう”伝えたい母の日」です。ヤンチャな日々を回想しつつ、その愛に感謝をささげます。「無条件で応援してくれる世界でひとりだけの人」「忘れられない母の料理は優しさと涙の味がした」。

 読者から寄せられる母への思いは十人十色ですが、共通しているのが「反抗期(家出含む)→八つ当たり→耐える母→妊娠→周囲の反対→母だけが理解→ママ、ごめんね」という流れ。いやいや昭和のお母さん、耐えすぎですよ。勝手に学校をやめて、半年も連絡しないで、妊娠して帰ってきた娘に、どうしてそこまで寛容でいられるのか。合点がいかないのは、私が狭量だからでしょうか。結婚制度への信頼や女性の社会的拘束が今より根強かった、ばあば世代においての”当然”が、もはや全く機能しないのが現代。美ママたちが最も恐れていることは、自分がしてきたことを愛するちびコたちにもされるのではないか、ということなのかもしれません。キャッチの「この道はいつか来た道♪」も、読み方によっては未来の暗示にほかならず。編集部サイドの裏テーマがちらりとのぞいた瞬間でした。

 辞書によると「清貧」とは「私欲を捨てて行いが正しいために、貧しく生活が質素であること」。ちびコ愛のために質素な生活も甘んじる美ママたちは、現代の清貧思想を象徴しているのかも。私欲の放棄の裏側には、過去へのエクスキューズとともに、母になったことで社会的地位を喪失したという悲しい現実が隠れていることも見逃せません。
(西澤千央)

「I Love mama」

我欲・石原慎太郎にも「清貧」を求めます!!

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