[女性誌速攻レビュー]「STORY」5月号

今まで「STORY」が避けてきたババァ問題の扉を、泉ピン子がこじ開けた!

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「STORY」(光文社)2011年5月号

 今月の「STORY」は特別定価880円(通常価格800円)。80円分は義援金として被災地に寄付されます。実は今年の1月号でも同じシステムを用いて、読者にチャリティーを呼び掛けていた「STORY」。さすが、動きが早い。その時は、実売約11万4,000冊で900万円、それにチャリティーオークションやら編集部からの寄付やらを足してぴったり1,000万、ユニセフ経由でマダガスカルの学校支援に寄付されたようです。驚いたのが、撮影料10万円をそのまま寄付したカメラマンさん。義援金の金額を云々言うのは野暮ですが、同業他種として頭が下がります。今の私に出来ることは、「STORY」の素晴らしさをサイゾーウーマンのユーザーの方々に知って頂くことと肝に銘じ、仕事に邁進致します。「STORY」的には全く望んでいないかもしれませんが。

<トピックス>
◎大特集「オシャレ普段着」がいちばん使える!
◎実例「卒ママ」ステージで、最初に選ぶ服
◎迷ったら、ピン子に訊け!

■卒ママ、故郷に帰る

 大特集の「オシャレ普段着」は、最近の「STORY」を席巻し続けている「ユル、ヌケ、楽ちん」カジュアルの総集編といったところ。先月号に突如現れた「DKJ」(団塊ジュニア)世代へのすり寄りが加速度を増している様子。「STORY」は今、カジュアル重視のDKJとギラギラバブル世代が同居する”ねじれ国会”状態。「白シャツ、デニム、ジャケットなどの定番アイテムを、キラキラしたミュールやシャネルのショルダーバッグと合わせて格上げ」というお約束が、苦肉の折衝案として提示されています。

 さらに注目なのは、「実例『卒ママ』ステージで、最初に選ぶ服」。「子供が学校に入ったら、もういちど『自分』取り戻すお年頃です」というキャッチが、春を待ちわびた女ごころを盛り上げます。子どもの入学や卒業を機に、新たなスタートを切りたい奥様たちがわんさか登場。バブル時代のイケイケから、結婚・出産を機に動きやすい定番服へ移行、そして子どもに手が離れたらあらためて「女服」へ戻る……なんて壮大な計画。サケの遡上と同じ原理。

 「卒ママ」たちがこぞって讃える憧れ服は「白」(理由:子どもがヨダレを垂らすから着られなかった)、「レース」(子どもがひっかけて裂ける可能性大)、「セクシーワンピ」(ママ友がどん引きしかねない)、「ミニタイト」(子どもが怯える)。

 「これからはもっと自分を大切に……私を『主役』にしてくれる服が着たい」というママたちの気持ちは、言いかえれば「女の当確ラインから脱落したくない」ということ。流れに鱗を剥がされながら川を上るサケと、ミニタイトスカートを履いて街を闊歩する卒ママが重なって、筆者、思わず目頭を押さえました。ファイト!

■「STORY」にも渡鬼登場

 お待たせ致しました。「STORY」に泉ピン子師匠が登場です。「STORY」に登場する有名人って、アナウンサーとか女優とか「キレイ枠」とされるタイプが多く、「ババァ枠」もあることはあるんですが、70代、80代の仙人みたいに欲の無いおばあちゃんがほとんど。ですのでピン子師匠のような、庶民テイストかつ現役オーラ満載の正統派ババァは「読者に夢を与えない」と編集会議でボツになるんだと勝手に解釈していました。

 「STORY」でのピン子師匠は、かつて『テレビ三面記事 ウィークエンダー』(日本テレビ系)でバリバリやっていた頃を彷彿とさせるような、やりたい放題感が何とも爽快。「63歳には思えない、瑞々しさ」と言葉を選ぶライターの口を「何言ってんのよ。普通のオバサンよ。膝は痛いし、腰は痛いしさ」と、ババァの伝家の宝刀”関節痛”で塞ぎます。「チキンラーメンを1/4ずつ、お醤油入れてお汁多くして、朝晩食べていた」どん底の日々から、「シャネルを普段着として着たい」という夢を得て、ウィークエンダーのレポーター、そして女優の道へ。成功を勝ち取ってからも、夫の浮気、若手女優へのイジメ報道、事務所の借金肩代わりと、『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)を地でいく波乱万丈の人生です。

 そんな叩き上げの権化、ピン子師匠が「STORY」読者のお悩みに答えるというんだから、穏やかじゃありません。「ママ友とランチしていても、なんだか物足りないんです」とかぼんやりした質問したら、どつきまわされるよ! しかし、そんな心配は杞憂でした。読者からのお悩みが、意外にも「婦人公論」(中央公論新社)的香ばしさ。

「単身赴任中の夫の部屋で女性の写真を見つけ、浮気発覚(48歳)」
「夫は会社員。カードローンの借金を作ってしまいました(48歳)」
「夫とは恋愛感情がなくなり、ただの家族(43歳)」
「姑は鬼のように強く、散々苛められました(47歳)」

 「STORY」ではほとんど見ることの無い、所帯の匂いのする悩みに、実体験を込めながら優しくも厳しく語るピン子師匠。「STORY」が頑なに閉ざしていた”ババァへの扉”を、ついにこじ開けてしまったピン子師匠。”どん底見てこそ人生、深まるんだよ。あんたたちも頑張りな!”というメッセージを残し、立ち去っていったのでした……。

 今月は、何もかもをピン子師匠に持って行かれた形の「STORY」。異なる価値観を持つ世代に挟まれ、雑誌としてのポジション取りに悩みながらも、こんなナックルボールを投げてくる「STORY」って、やっぱりタダモノじゃありません。同誌がこれから向かうは「白シャツカジュアル」か「イケイケミニワンピ」を貫くか、それとも「ヒョウ柄スパッツ」……それはないですね。ハイ。
(西澤千央)

「STORY」

関節痛発言、皇潤のCM狙いに思えちゃうのがピン子ならでは

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