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『三十路未亡人の淫らな手記 (昭和の
「性生活報告」アーカイブ2)』(SUNロ
マン文庫)

 「最近の男はエロさが足りない」「もっとガッツいてこいや!」。女同士の集まりの場でそう語り、セックス相手の数を競ったり、ヤリマンやAV女優が女性の共感を得て、オープンにセックスを語るタレントがカッコイイとされている昨今。しかし、そんな風潮に乗れず、一人で雑誌の「彼が悦ぶフ○ラチオ☆テクニック」特集をガン見し、グラビアアイドルのような体にならないと男に欲情してもらえない、とダイエットに励む。いざ2人きりのベッドインでは、男に引かれない、プライドを傷つけない、その場の空気を読むことを優先、自分の気持ちよさは後回しの大人しいセックスをしてしまう。そんな女子も多いのではないだろうか。

 いつから女はあけっぴろげな性環境に染まってしまったのか。語ることなく静かに秘めやかに、しかし大胆に性を楽しむことはできないのか――。その疑問を紐解いてくれそうな文庫本が刊行された。

 『昭和の「性生活報告」アーカイブ』(SUNロマン文庫)シリーズ。戦前後から昭和末までの一般女性たちの、赤裸々な性体験記がつづられたオムニバス本である。戦前後なんて、まだ女が積極的にセックスに取り組める時代じゃなかったのでは? だが、昭和女たちは見境いのない性の"内弁慶"ぶりを炸裂させていた。

 長男の親友の山口君を「狸寝入り」で待ち伏せし、「『ウーン』と寝呆け声を出して寝返りを打ち」、覗き始めた山口君へ向けノーパンの股を開いて挑発したり、コタツの中で寝たフリをしながら夫の友人に生尻をにじり寄らせたり。とにかく「寝たフリ」ぶっこいて誘いまくるのである。昭和18年、恋人のように思っていた一人息子(童貞)の出征前夜、「私も役目を果たさなきゃいけない」とどさくさ紛れてセックスに持ち込む母がいるわ、種馬の交尾を見てたまらなくなり、息子の手を自分のパンツに突っ込む母がいるわ、昭和女たちはヤリたい男には堂々と欲望を突進させ、秘め事を愉しみつくす。

 セックスの最中も「いじめるだけじゃいやよ。可愛がってくれなきゃ」と注文し、男がイキそうになれば「お待ち! 待って! 私と一緒だよ!」と指令を下す。とても幸せで楽しそうに、伸び伸びとセックスを謳歌している。中でもグッときたのは、ズボンの向こうにあるモッコリを見つめながら「ここはとっても感覚の強いところなのよね」としみじみ言って男をドギマギさせていた昭和女。ドアノブを回すように、手首を動かしながら上下にコスると男は悦ぶ。チ○ポと言えば、そんな雑誌で覚えた風俗嬢テク(スクリュー手コキ)が真っ先に浮かび、モッコリ=スクリューという方程式を機械的に浮かべてしまう私、現代っ子。チ○ポは敏感な器官。当たり前のことを改めて言うだけなのに、昭和女からはエロスが生まれるんや......。
 
 男に気を使い、「ソコじゃないんだけど......もうちょっと下なんだけど......」と思いながらAV仕様の声で喘ぎ、イッたフリをしたあと「気持ちよかったヨ☆」とアヒル口でおすまし。そうやって乾いたセックスを行うことで、男たちは勘違いしたままプライドだけを高めていき、向上心と女体への興味を低下させていく。今の男たちの"ガッツかなさ"は、女たちが作り上げたものなのかもしれない。

 男に遠慮せず、自分で自分の欲求を可愛がる。そして出てきた具体的回答を、相手へ分かりやすく説明する。それがセックスコミュニケーションだ。友人にあけすけに性体験を語らなくてもいい。比較しなくていい。怒涛の戦後を乗り越え、昭和を元気にした女たちのヤリ方を今こそ学び、活かしたい。

田房永子(たぶさ・えいこ)
1978年、東京生まれ。漫画家、ライター。01年「マンガF」にて漫画家デビュー。05年 エロ本の漫画業開始。ハプニングバーなどの過激スポットへ潜入したルポ漫画を描きながら、男性の望む「女のエロ」を描き、違和感が蓄積。08年からノンフィクションレポートシリーズ「むだにびっくり」を自主制作・出版。
ブログ「むだにびっくり

『三十路未亡人の淫らな手記 (昭和の「性生活報告」アーカイブ2)』


姐さん方のエロス、パネェ!


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