[連載]悪女の履歴書

「ぜーんぶが、もういいやって」明かされた”セレブ妻”の生活苦

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Photo by odysseygate from Flickr

(前編はこちら)

■度重なるDVからの逃避、離婚への打算

 暴力が渦巻く生活の中で、転機は2度訪れている。離婚を決意して実家に戻った歌織は、父親から「あれだけ反対した結婚なのに、こういう形で戻ってくるのはどういうことだ。おまえが一番だらしない。今のこのざまは何だ」と罵られ実家を去る。その翌年、鼻の骨を折られ警察経由でシェルターに保護され、PTSDと診断され離婚を勧めらる。しかし、歌織は即離婚には踏み切らなかった。


 「離婚する」「刑事事件化して離婚する」「公正証書を作ってやり直す」という3つの選択肢を夫に与え、祐輔さんは3番目の道を選んだ。そして、『離婚の場合夫が3,600万円の慰謝料を払う』旨を明記した公正証書を作る。

 余談だが、05年1月、歌織は渋谷のデパートで5万6,000円相当のブランド服を万引きして捕まり、常習犯として書類送検もされているという。この時期は祐輔さんが外資系不動産投資会社に転職した時期と前後している。それまでの年収は300万円程度。歌織の結婚生活はこれまでのどの時期より貧しいものだった。

 有利に離婚するため、夫の元に戻ってからの歌織は、暴力をふるわれるたびにそのアザを写真に撮り、手帳にその日付けを残すようになる。犯行の前日、歌織は夫と不倫相手の通話を録音することに成功した。「イタリアで挙式を挙げよう」など単なる浮気とは思えない内容だった。この不倫相手の女性と祐輔さんが出会ったのは1カ月前の合コンで、その日のうちに男女の関係に発展したという。そして翌日の事件当日。不倫相手の部屋に行っており、祐輔さんが帰宅したのは朝の4時だった。歌織が離婚話を切り出すもまったく相手にせず、祐輔さんは寝てしまう。歌織がワインボトルを手に取ったのは、それから1時間後のことであった。

「わーっと、地球上の全部のエネルギーが身体から込みあげてくる感じ」
「ぜーんぶが、もういいやって」
「すべて。私の生活状況全部、面倒くさくて」

 祐輔さん殺害時の感情を歌織は法廷でそう語っている。

 マンションに転がり込んで来たとき、祐輔さんには定職もなく住む家もなく、いまの会社に転職するまで生活は苦しかった。経済的な事情で子供も堕胎した。いまは年収1,000万円。もうじきマネージャーに昇進する。そうなれば額はもっと増える。慰謝料3,600万円などこれから稼ぎ出す金額を考えればはした金に過ぎない。いい思いをするのは、暴力に耐え続けた自分ではなく不倫相手の女だなんて……。こんな歌織の思いが聞こえてきそうだ。

「朝、とても天気がよくてびっくりしました。彼が生きている時は、天気がよくても暗く見えていた代々木公園が明るくキレイに見えました。母が”明けない夜はない”って言ってましたが、その通りでした。その時、笑っていたと思います」

 殺害直後の晴れ晴れとした心境を、歌織は法廷でそう語っている。第1審では裁判長を持ってして「地獄のような夫婦生活」と言わしめた夫のDVが明らかになり、精神鑑定では無罪の可能性も出るなど異例の展開になった。そして精神鑑定で「短期精神病」という診断が下ってからは、心神喪失を証明するような証言を次から次へと展開する。そのひとつが殺害した夫とその後会話をしていたという主張だ。

「あたしは土が大っ嫌い。土仕事がほんと、いや。何であたしが、自分でそんなことしなきゃいけないの!」

 殺した夫は「そのへんに放っておくわけにもいかないだろう」と答えたというが、それらの会話からは、プライドが高くワガママで面倒臭そうな女の姿が垣間見える。その後、2010年6月に控訴審で懲役15年の刑が確定した。そして、最後まで、歌織の口から、夫を殺害したことへの反省や謝罪の言葉が発せられることはなかった。

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