世界各国から支援と賛美が届く

原発、地震、救助者……海外メディアは日本の現状をどう伝えたのか

2011/03/17 11:45
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不信を買っている要因?

 11日に発生した東日本巨大地震。東北地方は、想定を超える巨大津波に見舞われ、甚大な被害を受けた。未曾有の大惨事は、海外にも大きな衝撃を与え、多くの国が速報で報道。信じられないニュースの映像に誰もが釘付けになり、地震発生直後から特番を組んで放送し続けたCNNの視聴率は、通常より約4倍も上がったと伝えられている。

 親日家の多い台湾は地震発生直後からすべてのニュースチャンネルで報道を開始しており、各局現地にレポーターを派遣。どんなに厳しい状況下に置かれても秩序を守る日本人を素晴らしいと評価した。東森新聞では夏川りみの『涙そうそう』をBGMに、被災地の様子を伝え、多くの台湾人が涙している。被災者への義援金を募る活動は台湾全土で広がっており、国民小学校でも行われている。17日夜には、台湾の人気タレントが集結するチャリティー番組が、主要放送局合同で放送され、18日には中華電視でジュディ・オングが指揮をとるチャリティーコンサート『相信希望 Fight & Smile-募款晚會』が放送される。

 地震国である台湾も、中心都市・台北とそう離れていない場所に原子力発電所があり、福島第一原発の事故に関する関心度は高い。日本経済の行方にも注目している。新聞では惨い写真も掲載されているが、故・梶原一騎の妻であった人気司会者のパイ・ピンピンは「被災地の悲惨な様子をしつこく伝えるより、被災者が何を必要としているのか、私たちに何ができるのか考えるべき」と発言。賛同する声が多く挙がっている。

 救助チーム40人を派遣(13日到着)しているドイツは、地震直後、「発展途上国ではなく先進国で起きた大惨事」だとし、ドイツ人にとって現実味のあるリアルな災害だと報道。こんな大惨事に見舞われながらも、パニックが起こらず、被災者が冷静に辛抱強くいることを、驚きと共に高く評価した。

 しかし、現在は地震よりも原発問題を大きく取り上げている。ドイツには原発が17基あり、事故は決して対岸の火事ではないと認識しているからだ。14日には国内で11万人を超える原発反対デモが行われ、15日になると、メルケル首相は1980年までに建設された旧型7基の稼動を一旦停止すると発表。3カ月以内に廃炉にするか決めるとのことで、早くも福島第一原発の問題を教訓にしている。

 なお、メルケル首相は「日本政府が発表する情報は矛盾だらけ」と不信感を表しており、ドイツの民間レスキュー・チームも被爆を恐れ、14日に急きょ帰国。16日には在日ドイツ人に対して東京を離れるよう勧告した。日本国民に対しての評価は高まったが、日本政府への評価は下がり続けている。

 ドイツの動きを受けて、EUヨーロッパ連合では15日、緊急会合を開き原発の安全基準等に関する話し合いを行った。このニュースと共に、原発事故に関する詳細な情報を日本政府が公開していないことを強く非難している。ヨーロッパで「日本はとても安全な国」という神話が崩れつつある。

 フランスでも日本の冷静さを「素晴らしい」と報じ、スムーズに避難生活が開始されたことを高く評価。ニュースで大震災地の悲惨な状況を見て悲しむ声が多く挙がっているほか、品格がある日本人を称える言葉も出ている。品格に関してはシンガポール紙「ストレーツ・タイムズ」も、救助された女性が「大変でしたでしょう。申し訳ございません」と恐縮していたと伝え、日本人は、この未曾有の大惨事を、品格と秩序で乗り越えていくだろうと報じた。

 フランスは世界第二の原子力大国だが、ドイツ同様原発に反対する意見が少なくない。パリで行われていたG8外相会合の会見では、フランスのメディアから「原子力対策を見直す考えはないのか」という質問が相次いだ。これに対して、フランスのジュペ外相は「フランスの電力の78%は原子力だから」と答えるにとどまっている。一方で、フランス政府は、在日フランス人に対して、帰国するか西日本へ退避するよう勧告しており、エールフランスの臨時便も飛ぶよう要請。原発による深刻な被害が起きるまで、カウントダウン状態なのではないかと、恐怖を抱いている者が多いようだ。

 原発に対する恐怖と日本政府に対する対応の悪さを批判する欧米メディアが多い中、イギリス紙「インディペンデント」は、「今、福島第一原発で必死に働いている人たち」に焦点を当てた記事を掲載。「高い放射能が漂う中、15分のシフトを組み、悪くなる一方の原発と格闘している」「後遺症が残る可能性は高く、死の危険もある。それでも彼らは任務を遂行しようと頑張っているのだ」と、評価した。なお、震災で死亡が確認されたイギリス人は10人。今だ450人の安否が不明だという。

 福島第一原発の事故が深刻化しており、日本の今を悲観的に報じる海外メディアは多い。しかし、それは海外メディアが、「何が起きたか」よりも「何が起こるか」に重点を置いて報道する傾向にあるからであり、みな日本は必ず蘇ると信じている。日本がこの状態から、どのように復興するのかを、世界中が注目している。

『災害復興ガイド 日本と世界の経験に学ぶ』

必ず復興しますよ!

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最終更新:2011/03/21 14:25
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