[女性誌速攻レビュー]「I LOVE mama」4月号

2,000円のスーツを求めて……「VERY」と真逆な「ラブママ」の入園特集

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「I LOVE mama」(インフォレスト)
2011年4月号

 春、それは出会いと別れのシーズン。「I LOVE mama」4月号のテーマも「春、昨日までの私から卒業」です。ラブママが掲げる「ちびコのために、美しくなければならない」というテーマに内在する自己矛盾を補完するために、毎号さまざまな切り口を提示するラブママ。先月号では「妊娠・出産して生まれ変わる私」、そして今月は「卒業して生まれ変わる私」。生まれ変わるきっかけを探して、娘さんたちは人生という名のセンター街でさ迷っています。どうも美ママたちはお別れしたい過去が多いらしいのです。それでは早速中身を拝見。

<トピックス>
◎美ママの春グラデュエーション
◎ラブベビワンダーランドBOOK
◎パパごはん ホワイトデイ選手権

■美ママが卒業したいこと

 尾崎豊は「こぉの支配からのっ卒業~」と歌っておりましたが、さてラブママは何から卒業したいのでしょうか。春グラデュエーション特集は大きく三つに分類。1.盛り盛りメイクからの卒業、2.デブからの卒業、3.ちびコの好き嫌いからの卒業です。

 1では過去の盛り過ぎ写真から、現在どれだけ薄メイクに到達したのかを検証。しかし、一般人にとってはどの辺が薄くなったのかさっぱり分からない、かなりハイレベルなビフォーアフターです。ラブママを1年間見届けると、春は薄メイクに回帰→温度上昇とともに濃度が上がり→秋の訪れとともに若干トーンダウンし→冬のパーティーシーズンでまた盛り始め→また春へ、というサイクルになっているので、これは卒業というより衣替えなのかもしれません。

 デブからの卒業ページに、驚きのルーキーが登場。現役JK(女子高生)にしてシンママ(シングルマザー)の岩田まいりちゃんです。「新たな幸せと引き換えに、振り切るように捨てた夢もたくさんあったから……」とスナックのママが常連に語るような思わせぶりなセリフを吐いたかと思いきや、「JKってノリが命だから、友達がお菓子を勧めてくれたら断れないし、私自身、ノリは命(はあと)」とあっけらかん。嗚呼、新人類ってこういうコたちのことを言うのですね。「ヤクルトの仕事を始めた途端に、ストレス太りしちゃって」という同じシンママでママモ(ママモデル)の仲本沙織ちゃんに、女ひとりで人生を生き抜く厳しさを教えてもらいなさい!

■2,000円スーツもちびコのため

 そんなわけで、卒業特集は「痩せたい」観念から結局卒業できてないことを証明した格好ですが、続く「美ママの園デビュー」はもっと切実で具体的。ママたちにとって、幼稚園や保育園は環境の異なる人々と触れ合う数少ない場所。仲間内での「盛れる程良し」という共通語が全く通用しない世界に投げ込まれるのです。

 「派手だと思われないか」「年上のママ友としゃべってもらえるか」ということを、かなりナーバスになっています。一見「我が道を行く」ように見える美ママたちですが、「友」と名のつくものにはめっぽう弱いのです。入園式ルールとして「キャバ系スーツはダメ」「足を組まないように」「丁寧な言葉遣いと挨拶を」など、厳しい掟がズラズラと。しかし一方で「いつもの上下つけまで行ったら注目の的に。仲良くなるきっかけになった」という豪気なママもいらっしゃり、リスク回避か、ハイリターンを狙うかは貴女次第とまとめています。「化粧は薄くしてもカラコンは絶対譲れない」に代表される、社会と美ママたちの微妙な価値観のズレを理解するのに非常に役立つ入園企画でした。

 「VERY」(光文社)のママたちがエミリオ・プッチのブーツ(4万円)でイモ掘りしている一方で、ハレの入園式スーツを「夢展望(通販)で3点セット&ネックレス3,900円」「ライフ(スーパー)で2,000円」で過ごすやりくり上手な美ママたち。環境がこれほどまでに異なる価値観を作るとは。これを「格差社会」と陳腐な言葉でまとめてはイケマセン。文化人類学的問題です。

 文字だとお伝えしづらいのですが、今月号一番の見どころは「青春タイムスリップ ラブママ的卒業アルバムお披露目会」。17歳当時の写真と、現在の美ママが一挙24人分並べられていますが、合番が無ければほとんど分からないくらいの豹変っぷり。というか、皆さん黒い、黒過ぎる! 「週4ペースで日サロに通っていたら黒いしデカいからあだ名が”ゴリラ”に」「ギャルを極めようと毎日ファミレスやカラオケにいた★意味無く公園でオールしたりしたな」。17歳の頃を語るママたちの目はどこか遠い。ママたちは自由を求めてあがいてこの支配から卒業できたのでしょうか。支配のすり替えが「ちびコ愛」にあるとしたら皮肉なものです。
(西澤千央)

「I Love mama」

いとこ(田舎のどヤンキー)の部屋にラブママと尾崎を見つけた、この正月。

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