女性誌速攻レビュー[STORY]3月号

「頑張らない」を頑張る! 「STORY」に見る”演じるプロセス”の面白さ

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「STORY」(光文社)2011年3月号

 今月の「STORY」、久しぶりに林真理子先生の雄叫びからスタートさせて頂きます。ある女性タレントのインタビューをテレビで見ていた先生。「20歳そこそこで結婚し子どもをもうけ、そして今はシングルマザー」の何気ない「私って、自分に正直に生きてきたの」という一言が、先生のミソジニー脳をいたく刺激してしまいました。「いったい正直ってどういうことなのか。我儘とどう違うのであろうか」と先生の鼻息は止まりません。論点を要約しますと、「結婚して3~4年かそこらで人生分かった気になって、挙句の果てに何が正直じゃコラ」とのこと。若いうちは我慢を重ね、5年10年かけて本当の夫婦になると語る先生。裏を返せば、「自分に正直」なんて選択肢は、我慢と苦労をかいくぐってきた女にのみ与えられるものということですか? 「STORY」が浪花節的苦労話に目が無い理由も分かります。今月はどんな正直者が登場するのでしょうか。

<トピックス>
◎大特集 春の私は、頑張らな”いい女”
◎富岡さんも、髪を切ったら「若返った!」「あか抜けた!」
◎失恋が私を大人にしてくれた。

■全ては年下男のために……

 大特集「春の私は、頑張らな”いい女”」です。キャッチは「欲しいのは、さりげなく軽く纏うような女らしさ」。林先生の小娘キレに呼応するように、「経験を積んだ私たちこそ、そんな、さりげなくツボを抑えたオシャレができるはずです!」と息巻いておりますが、”頑張って若づくり”が命題の「STORY」が頑張らなくなったらどうなってしまうのか。雑誌の根幹を揺るがしかねない問題企画です。

 この謎の「頑張らな”いい女”」を、1.頑張りすぎずに可愛”いい女”、2.頑張りすぎずに色っぽ”いい女”、3.頑張りすぎずにかしこ”いい女”、4.頑張りすぎずに深”いい女”、5.頑張りすぎずにカッコ”いい女”、と分類し紹介しています。

 なんとなく予感はありましたが、この企画は「頑張りすぎない=隙をつくる=年下男にモテたい」という潔いまでに直線的な欲望に支配されております。1.頑張りすぎずに可愛”いい女”では、座談会に参加した年下男クン4人が「40代女性ステキ賛歌」を大合唱。

「仕事をバリバリやっている隙のなさそうな女性が、不意に可愛い仕草を見せたら、一気にストライクゾーン入っちゃうな」
「年上だから余計に”ドキッ”とくるよね。仕事中、先輩女性に僕のファイルを覗きこんで接近されたときもドキドキした」
「僕たちが成長したのか、世の年上女性たちがキレイに魅力的に変わってきたのか」
「僕らも、年上女性との恋にのれるよう、男を磨かなきゃね」

 彼らの言葉(どれだけ真実が込められてるかは分かりませんが)から”無邪気”というヒントを得た「STORY」。一見バリキャリ風な女性が「お腹すいたぁ、ねぇ早く早く!」「お願い、教えて!」「あれ? 酔っ払っちゃったかしら……」(以上写真キャプションより抜粋)とはしゃぐ姿は、無邪気を通り越して、昭和のコントです。座談会に参加した広告代理店勤務やコンサルティング会社経営者、ギャップ萌えの証言者として出ているアパレル勤務やテニスコーチ、仕事とはいえ無責任なことばっかり言わないで! 「STORY」読者は本気(マジ)な方が多いんだから!!

 途中、「頑張り過ぎるとイタさにつながる」なんて発言も飛び出したこの特集。「STORY」がイタさを自覚したら「STORY」じゃ無くなっちゃう、と不安な気持ちにもなりました。しかし、「頑張らない」と言いながら、「頑張らない」を頑張る「STORY」に、安堵。年下男にモテたいという直球な欲求にリスペクト。「頑張る」を忘れたニッポン人に届けたい、この心意気。

■どこまでも予定調和の女、有働由美子

 「NHKっぽくない」がウリの『あさイチ』(NHK)メインMC、有働由美子が「私たちのCHALLENGE STORY 失恋が私を大人にしてくれた」に登場です。「NHKアナなのに失恋トークしちゃう私、ぶっちゃけキャラ」という捻じれた自己顕示欲がページから匂い立ってくるようです。慎重に拝読致します。

 「毎朝スマイルを届ける番組とは裏腹に、実は昨年、恋人との大きな別れを経験した」という有働アナ。「20代、30代の恋愛を経て、失恋はしんどいのがわかっているから、ちょっとやそっとじゃ恋に落ちないぞと(中略)今回はこんなに素敵で尊敬できる人はいないと不覚にもあっさり恋に落ち」と、40代女性が恋を語る時特有の、情感たっぷりなナレーションが入ります。

「結婚すると有働由美子の何とかと言われる。将来を考えると男としてのプライドが傷つく」(彼)
「じゃあ、仕事は辞めるよ」(由美子)
「仕事を辞めさせたというプレッシャーを一生背負わなければいけない。それも嫌だ」(彼)

 というやり取りの結果、由美子は40代女性のマストアイテム、ゲイフレンドに相談。「そのオトコ、あんたの将来背負う気が無いのよ」と至極真っ当な診断を受け、ピリオドを打つことに。オリンピックや紅白の司会を任せられ、NY赴任も経験し、戻ってきたら看板番組がスタート。匿名性の高い他のNHKアナウンサーに比べて、恵まれたキャリアを積んできた有働由美子。番組でも「負け犬」「40代女子」「一重の女子アナは全体の数パーセント」など自虐的に語っていますが、底辺をはいつくばる一般視聴者(主に筆者)にとっては「朝から生臭ぇもん見せられた」というのが正直なところ。失恋を「美人でも若くもないのに最初から釣り合わなかった」などと分析しちゃうあたりにも、その生臭さぷんぷんです。

 「イタさ」を意識した「STORY」に何の面白みもないように、「ぶっちゃけ」をキャラにする女ほど無粋なものはないと感じた今月号。女は大抵ぶっちゃけなんですから。そんな当たり前のことを今さらアピールされるより、「ぶりっ子」とか「不思議ちゃん」とかに成りきろうと努力しているプロセスの方が数倍面白くてロマンがあります。「STORY」の本懐って、まさにそこにあるんだと、よ~く分かった3月号でした。
(西澤千央)

「STORY」

YOUとかキョンキョンとか、40代女性のぶっちゃけ女が流行ってるもんね

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