[女性誌速攻レビュー]「CanCam」3月号

編集部ごり押しでもまったく浸透しない、「Can流」という言葉の意味を考える

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「CanCam」(小学館)2011年3月号

 先月号でご案内した通り、同誌モデルの徳澤直子は今月で卒業。そんな徳澤の卒業メモリアルページですが、悲しいことに「CanCam卒業、そしてアメリカへの旅立ち―」というインタビューのたった2ページだけ。しかもページをめくればすぐに「徳澤直子 COACH(はあと)POPPYとめぐるNEWYORK」というタイアップページへ。何この扱い? どうしたらこんな仕打ちを受けるの? さらには新天地NY紹介ページも、「コンチネンタル航空」のタイアップになっているし。と冒頭から徳澤直子に思いを馳せたところで、早速中身をチェックしましょう。

<トピック>
◎なぜCan流はモテるのか?
◎徳澤直子、卒業
◎Can流BOOM! BOOM!! BOOM!!!
◎私立探偵☆舞浜アイクのCan流OL1か月コーディネート

■モテ以外の知識は必要なし?

 「Can流」という言葉が世に出てきて、3号目。いまだに「Can流」ってトドのつまり何なのかが不明なのですが、それを探るヒントがありました。その名も「Can流BOOM! BOOM!! BOOM!!!」という企画なんですが、ハッキリ言って、何の意味もない、小ネタ集企画です。「今ドキ遊びはフィールドトリップ」と称して、資生堂鎌倉工場やら東京消防庁本所防災館に見学にいったり(しかも紹介はすごくアッサリ)、「人を引き付けるスロートークに興味シンシン」といって戦場カメラマン渡部陽一さんにたった3問の質問をぶつけたり、「ブランドメガネで人生変わった!!」とJAROに電話かけようかと悩むほどのあおり記事(単なるメガネ紹介記事)があったりと無法地帯。一つ一つのネタもいくらでも掘り下げられるのに、何にも読ませようとしない。そしてきっと読者ももっと深く情報を知ろうとしない。同誌は「Can流は”かわいい”のスパイラル」と謳ってますが、筆者からみれば「Can流は”上滑り”のスパイラル」。ファッション誌だからという言い訳が成り立たないほど、他誌が読み物ページでの差別化を意識しているというのに。

■ジャンパースカートで会社に行こう♪

 今月は春の新作が豊富なこともあって、ファッションページが華やか。そんな中にも、それこそCan流トラップがあるから見逃せません。まずは「私立探偵☆舞浜アイクのCan流OL1か月コーディネート」を見て行きましょう。タイトルだけで目を覆いたくなりますが、「CanCam」の現況をみなさんにお知らせするために頑張ります。

 まず、解説するごとに冷え冷えしますが、映画『私立探偵濱マイク』と、モデル舞川あいくの名前にかけた設定。製菓会社からチョコレートの試作品が盗まれたというオファーがあり、その会社にOLとして潜入、犯人を見つけることが今回のミッションなのだそう。着まわしコーデもネタ切れなのは分かりますが、それならかつでの「PINKY」の”花屋のバイト→アイドル”ぐらいの完璧なドリーミングストーリーを作ってほしかった。学芸会レベルは、読者が一番つらいはず。

 肝心の内容は、社内の女性社員と仲良くなってディズニーランド行ったり、男性社員をイチコロにさせたりと楽しそうな探偵業務。そして犯人は、社長の愛猫・ミルクだったという幸せなオチ。「チャンチャン♪」って効果音まで聞こえたきそうなテンションです。近年の着まわしコーデ企画の中でも、群を抜く問題作なので、ぜひチェックを。

 ちなみに今月号のファッションページは、端から端まで気が抜けません。「残す冬服×買い足す春服」という企画では、「オフィスにジャンパースカートで☆」というこれまた見逃せないワンコーナーがありますので、細心の注意を払って読みましょう。しかし、ジャンパースカートって……。

■結局働きたくないんでしょ

 今月号の読み物ページは「こんな時代に『働く』ということについて」という真面目そうなもの。読者アンケートによると、「CanCam」読者の平均労働時間は9.4時間、残業時間は1.6時間、平均年収は363万円です。しかも401万円~450万円が36%で1位という高所得者。「彼に『結婚するなら仕事を辞めてほしい』と言われたどうしますか?」という質問には、48%が「辞めない」と答え、「今の職場は結婚・出産を経て復帰できる環境にありますか?」という質問に「YES」と答えた人は69%と、思いのほか「CanCam」読者は働くことに前向きのようです。

 と思いきや、「if もし●●のお嫁さんになったら」という企画が続いており、今までの流れをせき止めています。医者、美容師、パイロット、商社、メーカー(技術者)のイケメン達を取りそろえ、仕事時間、休日、推定年収を根掘り葉掘り聞いています。なぜそんな厚顔無恥なことを出来るかといえば、「アンタの嫁さんになったら、どんな生活を送らせてもらえるか、教えてぇな」ということらしいのです。あれ? 結婚しても働くんじゃなかったの? 働くっていっても、夫の都合に合わせる前提ってこと? なんかこの一連の流れが、また「CanCam」特有の場当たり感が出ているようでなんとも……。

 今月号も「Can流=かわいい=モテ」という図式がファッションページを中心に何度も登場し、男性による「好きな女の子のファッション座談会」を随所に入れてくるなど、ひたすら男性目線ばかり気にしている「CanCam」。1冊266ページにわたり、「モテモテモテモテ」と呪詛状のように書き散らしている同誌を見ていて思ったこと。これを読んで「CanCam大好き♪」って思える読者は、よっぽど心がたくましいのだと。いろんなことに目をつぶり、「モテ」に突進していく様が「Can流」ってことなのでしょうか?
(小島かほり)

「CanCam」

「モテ」ジャンキー

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