[女性誌速攻レビュー]「I LOVE mama」3月号

少子化対策大臣に読ませたい「I LOVE mama」的”産めよ! 育てよ!”

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「I LOVE mama」(インフォレスト)
2011年3月号

 今月の「I LOVE mama」(インフォレスト)、表紙からスゴイことになっております。のだはな(野田華子)、ちかちゃん(新井千佳)という、二人の看板モデルのW妊婦セミヌードです。アタマにでっかいお花を飾り、腰ばきショートパンツでさらけ出したお腹をつき合わせながら微笑むマタママ(マタニティママ)。キャッチにはMaternity Venusの文字。ラブママ界における妊婦とはすなわち”愛の女神”のこと。先日、野田聖子議員の超高齢出産が話題になりましたが、「I LOVE mama」もいつにも増してマタママをフューチャーしているみたいですぞ。

<トピックス>
◎新ラブママモデルと新ラブママ24を大紹介しちゃいます(はあと)
◎ウワサの美ママごはん
◎マタママ&ピヨママBOOK

■脱ぐきっかけを待つ女たち

 ラブママではなんと、3人の人気モデルが現在妊娠中。ちびコ愛の伝道師、ラブママの布教活動の効果も手伝ってか、二人目三人目を妊娠出産したばかりというギャルママたちが増えている模様です。そこで今月のブックinブックは全国のマタママ&ピヨママ(生まれたてベビママ)に向けた妊娠指南企画「日本の少子化にアタックしちゃう★マタママ&ピヨママBOOK」です。妊娠期におすすめのファッションやメイク、フードなどを一挙紹介しています。

 マタニティウエアといえば、すとーんとしたワンピースとか、ウエストがモリっと幅広いデニムなどを想像しますが、ラブママたちに言わせれば「だせーし、高いし、マジありえない」とのこと。柄モノレギンスとAラインのミニワンピが定番のようです。元々華奢な体型のラブママたちですから、多少お腹が出ても9号サイズ(死語)でいけちゃいそう。「顔色が悪くて、パパや周りに心配をかけちゃうし、何よりそんな自分がイヤ!!」MAJIでGEROする5秒前状態のつわり中でも、すっぴんは許されないのが「I LOVE mama」の悲しい性。踊るマリエでお馴染み、汚ギャルの救世主「24hファンデーション」や「BBクリーム」など、妊娠期におススメの楽ちん化粧品はベースメイクやチークのみ紹介。つけま命のラブママとはいえ、さすがに嘔吐の日々には自重するようです。

 そしてなんと68%のマタママたちがマタニティヌードに”興味アリ”とのこと。ラブママもマタニティーヌードを大推奨、専門の写真スタジオまで掲載する力の入れよう。「辻ちゃんもちびコとプライベートで撮っていた」「hitomiさんのCDジャケットや写真集は印象的」などママタレの影響が大きいようです。マタニティ=エロさが排除された芸術、みたいに取り上げられがちの世の中。「美STORY」(光文社)でも読者が「どうだ~」とばかりにヌードを披露していましたね。「人生で一瞬しかない(から脱ぐ)」というマタママ、「夫の死に直面し(たから脱ぐ)」という40代女性。環境も年齢も異なる両者が「脱ぎたい。見せたい」という点で繋がるこの不思議。これを”女の業”と呼ぶのでしょう。妊娠時代こそ「人生最大めちゃキレイになるチャンス」、そして「まるいお腹は私たちの勲章」と、妊娠に対して最大限の賛辞が贈られる「I LOVE mama」。子どもを産み育てるとは大変なこと。貴重なお得意様の再生産とはいえ、その手放し感に若干の無責任さを感じずにはいられない、マタニティ特集でありました。

■生まれ変わる魔法の妊娠

 いつでもちびコ愛に満ちている「I LOVE mama」ですが、今月は、前述のマタニティ特集にあるような「ママ礼賛」が止まりません。その沸点がこれ「ちびコが生まれて生まれ変わった私たちも」です。「昔は本能のままに生きてた…でも、今ならどんなことだって我慢できる」「お金なんてあるだけ使ってた…今じゃ節約の大切さを身に染みて感じてる」など、昔のアタシがちびコによってどれだけ更生されたのか、皆さん赤裸々に語っています。

 具体的に申しますと「ウツが治った」「”マジで””ウザい””キモい”が口癖だった。(中略)汚い言葉封印」「いつのまにか子だくさんに憧れてた」「ガングロ、パンダのギャル全開のメイク。黒から白へと着実に変わっていった」「政治にも関心が出た」「散らかすのが趣味ってくらい汚れた。(中略)自然と掃除するようになってキレイ好きになった」などなど。これを読んで「ちびコって、出産って、なんて素晴らしいの!」と啓蒙される読者が確実にいて、それが少子化傾向を少しでも和らげていると思えば、私たちは彼女たち、そして「I LOVE mama」にありったけの感謝の念を捧げなければなりません。

 ただ、人生を転換するきっかけが「妊娠・出産」しかなく、盲目的にそのシステムに組み込まれているのであれば、まさに貧相な社会です。「愛という名のもとに」若い女性たちが従順にならざるを得ない状況が、もしその愛という魔法が解けたらどうなってしまうのか。考えると、少し怖いです。もしかしたら知らず知らずのうちに、社会の負を彼女たちに押しつけてしまっているのかもしれません。

 少女から大人の女になる過渡期に”ギャル”という名前がつけられ、”ギャル”の利便性に本人たちもマスコミも社会全体も驚いてしまい、いつのまにか巨大なマーケットに。そして大人の女になるのをすっ飛ばして”ママ”になった”ギャル”たちは、経済的にも精神的にも危うさと隣り合わせ。若いママたちの心のよりどころである「I LOVE mama」だからこそ、ママ礼賛と同時進行で「母になる大変さ、重み」に関してももっと言及してもらいたい。「I LOVE mama」の真骨頂って、やっぱり”ツラ話”にあると痛感した3月号でした。
(西澤千央)

『I Love mama (アイラブママ) 2011年 03月号』

憧れの増幅装置以外にも雑誌の仕事はあるってこと?

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