[連載]マンガ・日本メイ作劇場第2回

『罪に濡れたふたり』の”罪”は近親相姦ではなく、●●としか思えないっ!

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『罪に濡れたふたり』1巻(小学館)

――西暦を確認したくなるほど時代錯誤なセリフ、常識というハードルを優雅に飛び越えた設定、凡人を置いてきぼりにするトリッキーなストーリー展開。少女マンガ史に燦然と輝く「迷」作を、紐解いていきます。

 この作品は、近親相姦という壮大なテーマを持っているように見えるけれど、実は単にサカった尻軽女が運の悪い恋愛をする話である。

 主人公の香純は、失恋旅行でローマに行く。そこで知り合った男・由貴(よしき)とめっぽう盛り上がって、その日のうちに1発いたしてしまう。で、日本に帰ってみると、それが生き別れの実の弟だったことが分かるのである。

 ずっと一緒に育ってきた訳じゃないんだから、知り合って惹かれあった男女が愛し合ったとて、まあ仕方ない、かも、しれない。そんでイチャイチャしちゃおうが、ご近所や同級生から「あらまああそこのご姉弟は」とか「男は星の数ほどいるのにねえ」とか言われるくらいで済んだはずである。

 それが何故それだけで済まずに、コミックス18巻もの長い話になったのか。それは、「運の悪い」ことに香純には和樹、由貴には恭子という、かなり変質的なストーカーがくっついていたからである。要はこいつらのおかげで話がでかくなったのだ。ありがとう、和樹に恭子、それから後々登場するヘンタイ安藤さん。あなたたちが構ってくれなかったらこのふたり、ひたすら親に隠れて存分にイチャイチャするだけで、誰からも注目されることはない淋しいカップルになっていたはずである。

 この作品は「メイ作」に多い展開、「主人公の意見がコロコロ変わる」を見事に含んでいる。「別れる」とか泣いたと思ったら、次の話では「一生そばにいる」などと言ってみたり。それなりにストーリー的には「相手のためを慮って」とか「でも感情を抑えきれなくて」とか言い訳してるけれども、自立した人間から見れば「意志を貫き通す覚悟がないなら偉そうなことは口にするな」である。設定が設定だけに、その変わり身の早さがストーリーをトンデモ系に仕立て上げていおり、由貴も香純もまあよく「別れよう」だの「結婚しよう」だの意見を変えること。

 そんな二人に振り回されてしまった恭子さんは、だんだんと妖怪じみてくる。最初は「絶対別れないわ!」とか、まあ普通の人でも言いそうなことで済んでいたのだが、そのうちに勝手に由貴の部屋に潜んでいって、香純の振りをして薄ら笑いを浮かべながらセックスしたり、その時由貴がきっちり避妊をしてくれるとなると、どっかの男とやりまくって妊娠してみたり、薄ら笑いを浮かべながら階段から落ちてみたりする。由貴に土下座をされて「俺を諦めてくれ」と言われれば、「あきらめるわ」とか言っときながら「でも結婚してね」などと訳の分からないことを言い出す。この場合、「あきらめる」ってのは「縁を切る」っていう意味ですよ、お嬢さん。

 とまあ、そうとうおかしな人たちにつきまとわれるカップルの話なのだけれど、姉弟で愛し合ってしまうということよりも、このふたり、あらゆる公共の場でセックスしまくってることの方が問題である。そもそも最初の1発だって、どうやらローマの噴水前っぽいし。

 香純はメチャクチャ尻が軽くて、由貴以外の男ともやりまくり、やってるところを由貴に聞かれたりなんだり。これだけいろんな人間に乳首を見られている少女マンガの主人公も珍しい。コミックスの表紙にだって出てるし。

 というわけでこのマンガ、『罪に濡れたふたり』というタイトルですが、なんの罪かというと公序良俗なのではないかと思われます。少女漫画の主人公の乳首を見たい方にお勧めです。

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■メイ作判定
名作:迷作=2:8
(文・イラスト=和久井香菜子)

和久井香菜子(わくい・かなこ)
ライター・イラストレーター。少女向けのコラムやエッセイを得意とする一方で、ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、就職系やテニス雑誌、ビジネス本まで、幅広いジャンルで活躍中。 『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。

『罪に濡れたふたり (1) 』

濡れまくりじゃないっすかぁー!

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