[女性誌速攻レビュー]特別編「主婦雑誌の歩き方」

出産はクリエイティブ! 子育てよりも出産賛美のスピ系主婦雑誌「nina’s」

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「nina’s」(祥伝社)2010年11月号

 2005年、祥伝社より「GIRLなオンナのfashion&life」なるキャッチフレーズで、「Zipper」増刊として誕生した「nina’s」。当初は独身でも読める、大人向けファッション誌だったところ、今は「母になってもCute&Cool」とコンセプトを変え、こだわり派の女性たちの「衣・飾・遊」を応援するママ雑誌として、創刊から5年で地位を確立しつつあります。

 「nina’s」がほかのママ雑誌と異なるのが、ママモデルやタレントの髪型がみな、前髪パッツンorおでこ全開な個性派であること。美容専門学生が好む雑誌「Zipper」の姉妹誌だけあり、「赤文字系」の上に存在する「VERY」や「STORY」(ともに光文社)とは明らかに異なる「青文字系」卒業生向け雑誌となっています。しかし、「nina’s」に載っているのは「Zipper」のような古着、原色系のファッションではなく森ガール系。11月号の大特集は「世界にひとつ、ママメイド ブランドWORKSHOP、誌上オープン!」という、ママタレが人気ブランドのデザイナーやディレクターに手芸を学んで小物を作る企画。「いい絵本、ありますか?」なんて企画もあり、「ハンドメイドの小物が好き」「絵本が好き」を自称する森ガールにウケそうです。

 そして、ママ雑誌の鉄板である「家事ワザ」「子育てのお悩み」系の企画が全くないのも特徴です。悩み相談も料理も連載枠に小さく収められ、それよりもファッションスナップに重点を置いています。「母になってもCute&Cool」を体現したママと子どもたちは、個性的なファッションをまとい、職業は”セレクトショップ勤務”や”デザイナー” “ハンドメイド作家”ばかり。また、「ママと服の趣味が合う」イケメンパパとの共演写真がとにかく多い。パパのオシャレさをアピールするのは、「Como」(主婦の友社)や「Saita」(セブン&アイ出版)には全く見られなかった傾向です。

■UA、CHARA、カヒミ・カリィらが神秘世界を語る

 その傾向は、本誌に登場するママタレの旦那の職業にも如実に現れています。一色紗英は元モデルでデザイナー兼映画監督(サーフェン智)、カヒミ・カリィはタップダンサー(熊谷和徳)、ちはるはミュージシャン(TOKYO No.1 SOUL SETの渡辺俊美)、MEGUMIは降谷建志、小日向しえはココリコ田中、乙葉は藤井隆。離婚したものの、千秋はココリコ遠藤、CHARAは浅野忠信、ともさかりえは演出・脚本家(河原雅彦)……揃いも揃って”クリエイター”の旦那を持つタレントばかり。旦那に求めるステイタスは「お金より才能」なのでしょう。

 モテを志向する「赤文字系」ではなく「青文字系」を好んで読む10代女子は、イケメン俳優やブランド品よりもアーティストやお笑い芸人、アートを好きになり、アパレル・クリエイティブ関係のオシャレ業界人に憧れますが、その精神がママになっても不滅なのが「nina’s」のようです。

 ただ、オシャレな雰囲気ながら収入源は不透明な「クリエイター」たち。地に足が着かない職業は、何かにすがりたくなるのでしょうか。中には洗脳? と心配してしまう発言も見受けられます。9月号の表紙を飾ったUAは、出産後に骨盤の修正を実践し、「寝たきりで骨盤が閉じるまで待つんだけど、トイレも行けないから自分でおむつをあてて……」「主人は私なんかが足元にも及ばないような野生児で。自分は妹たちのお産も全部付き合ったし、馬も牛の出産も全部経験していると。助産師さんを呼ぶのにお金がかかるなんて信じられないと言うんですよ」と語り、ホメオパシー、レメディ、シュタイナー教育……といったスピリチュアル系用語が説明もなく飛び出す始末。9月に起きた火事、何か妙な儀式を行っていたのでは? と心配してしまいました。

 カヒミ・カリィも5月号でホメオパシーを語り、9月号から始まった連載「にきたま」は、娘の名前「和(にき)」に由来し、また「和魂(にきたま)」は神道における概念なのだそう。神、ホメオパシー、こうした発言を堂々と載せるのが「nina’s」です。この方向性を示していたのは、2006年創刊2号目の大特集「Hello Baby!!」です。病院ではなく自然分娩の”バースハウス”で出産した一色紗英は「病院だと、生まれた瞬間に蛍光灯の下で検査されたり、それって本当に酷だと思うの。はじめて離脱して不安なはずだし」と語り、”バースコーディネーター”なる方が、出産を「夢のように楽しいクリエイティブな体験」と説明。11月号の内田也哉子のCD発売インタビューも、「クリエイション」「コラボレーション」といった言葉と「胎盤」が同列で登場しました。「nina’s」は、子育てよりも神秘体験、クリエイティブ作業としての「出産」を語りたがるようです。

 90年代、渋谷系ミュージシャン(カヒミ・カリィetc.)全盛期の「Cutie」(宝島社)や今は無き「Olive」(マガジンハウス)にハマった、クリエイター志向の読者の現在は、オーガニックや、ホメオパシーに傾倒するスピリチュアル好きな女性が多いもの。ただ、その読者層は頭数が少ないのか、11月号は「劇売れFashion&Goods発表! ママが選んだ★HITアイテム」、9月号は「北斗晶、大神いずみ、ユンソナ、渡辺美奈代ほか うちの朝ごはん」と、スピリチュアルな言葉を排したママ雑誌らしい文字が表紙の最上段、書棚で最も目に付く部分に並んでいました。北斗晶、渡辺美奈代らにはクリエイティブな匂いがしないのに、一般主婦ウケのために掲載せねばならないジレンマ。次号は5周年記念号、そんなジレンマを吹き飛ばすようなスピリチュアル全開の内容を楽しみにしています。
(内海敦子)

『nina’s (ニナーズ) 2010年 11月号』

北斗昌が神道語りだしたらガチになっちゃうもんね

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