[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

生理前の女はブスメシを求める! 安彦麻理絵が発情したブスメシとは

2010/11/12 16:00
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(C)安彦麻理絵

 生理前の女は、なんとなくブスである。顔はムクむし、気分も塞ぐ。それなのに、やたらと食い気だけは過剰に旺盛になって、あからさまに「それはブスだろう」と言いたくなるようなものばかり食べたくなる。

 知人のライター女子は生理前になると、ただとにかくもう「米、米、米~~~っ!!!」と、米を「狂い食い」するらしい。体が異常に炭水化物を欲するらしいのである。他には「宅配ピザ」だの「やたらと菓子パンが食べたくなる」なんてのもよく聞く話だ。何故なんだろう、生理前って「ルッコラとパルメザンチーズのサラダ」とか「秋野菜のミネストローネ」みたいな、そういう美人が食しそうなものよりも、あきらかに「ブスメシ」と呼びたくなるようなものばかり食べたくなる。

 今朝の私は、まさにそんなふうであった。

 眠りがどんどん浅くなってる頭の中で私は「……すた丼のすたみなカレーが食いたい……!!!」と、夢うつつに考えていた。寝てても脳が完全に生理前状態。

「今日の昼は絶対、すたみなカレーを食べよう!!!」

 全身ですたみなカレーを満喫したいがために、私はその朝は子どもが食べ残した焼きおにぎり半分と、ブラックコーヒーだけにして己の腹具合いを調整した。しかし、よほどすたみなカレーが食べたかったのだろうか。子どもを保育園に送った後、仕事が手につかず落ち着かない私は駅前の書店に赴き、ぶらぶら立ち読みなどをしながら、すた丼の11時オープンを待つ始末……。そして開店とともに「一番乗りで、すた丼に入店」。それっていくらテイクアウトで注文とはいえ41歳の女のすることか?

 しかも、夫から「すたみなカレーを肉増しで注文してくれ」と、頼まれていたのに便乗して、「じゃあ私も肉増しで注文してみよう……」と、ほくそ笑んでいる有り様である。……おんな生理前41歳ブス……。元気な女子店員に「お持ち帰りで、すたみなカレー肉増しをおふたつですね!!??」と尋ねられ、「はい。」と、男らしくうなづく私。そして10分ほど待った後、”肉増しすたみなカレー”ふたつが入ったビニール袋を手渡された……。当然ずっしりと重い。思わず笑いが込み上げてくるほどに、ドッシリしているのである。

 で、はやる心を押さえつつ、急いで帰宅。急いでテーブルに着席し、急いでどんぶりのフタをあけ、そして、待ってましたと言わんばかりにのっけからもうブス食い。

「う、う、うまいよう~~~~~(泣)!!!!」

 それにつけても、ここのメニューって、どいつもこいつも米のメシの量がハンパじゃない。すたみなカレーもしかり。「キングオブどんぶりめし」と呼びたくなるような重量感。肉増しにしたのに、あきらかに米が余りそうな勢い。てゆうかもう余ってる。米のメシを「食べてる」というよりも、まるで「掘ってる」みたいなかんじなのである。そんなふうだから、なんだかもう、胃袋だけでなく頭の中までもが米でいっぱいみたいになってしまい、もし今、後頭部をハリセンで殴られたら、鼻の穴からメシ粒が飛び出すのではないかと思われた……超満腹。

 それにつけても。すた丼の店内の壁には、激しいタッチの極太の筆書きで「掟」と書かれた、ドでかい木製の看板が掲げられている。「其の壱・いつ何時もすた丼を食うべし」とか「其の四・めしは一粒も残すべからず」、「其の五・味わいつつぶっこむべし」などなど、この店のメニューを食す上での掟が、熱く殴り書かれているのだが……今日、私は久しぶりに、すたみなカレーを食べて思った。「掟」を、もうひとつ、増やしたほうがいい。

「其の六・女を捨てて、かっ食らうべし」

 ……イネス・リグロンや佐伯チズに怒られそうな掟である。

最終更新:2019/05/21 16:35
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