ブックレビュー

大物歌手の中絶スキャンダルまで……ウラ話満載の『絶筆 梨元です、恐縮です。』

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『絶筆 梨元です、恐縮です。ぼくの
突撃レポーター人生録』(展望社

 黒柳徹子と美川憲一がホテルに入った!?

 そんな情報が入ってきたら、あなたはどう思うだろうか? 「そんなバカな」と笑って流すだろうか。「いや、もしかしたら……」と思うだろうか。芸能レポーターの故・梨元勝氏は、匿名のこの情報をもとに一晩中ホテルで張り込んだという。結局、情報は悪質ないたずらだった。「冷静に考えるとあり得ない話なんだけど……」と振り返っているが、ありえないと思っても、とりあえずウラを取りに走る。それが芸能レポーターだ。芸能レポーターというと、芸能事務所幹部や芸能人と付き合いがあって、接待やなんやかんやと派手な生活をしてるんじゃないかと思っていた。もちろんそういう部分もあったのかもしれないが、仕事としてはとても地味で根気のいる作業だということが、本書を読んで分かった。

 この『絶筆 梨元です、恐縮です。ぼくの突撃レポーター人生録』(展望社)には、1968年に女性週刊誌「ヤングレディ」(講談社)のデータマンとして芸能マスコミ界に飛び込んで以来、約40年間、梨元氏が芸能レポーターとして見聞きしたアレコレのこぼれ話がたくさん詰まっている。ご存知の通り、梨元氏は8月22日、肺がんで逝去した。本書の校正は病床で亡くなる1週間前まで行われていたという。といっても、闘病生活の辛い話等々はほとんどない。梨元氏は最後まで芸能レポーターとして生きた。

 「ヤングレディ」記者時代にはこんなことがあったそうだ。あるベテラン記者が「水前寺清子と石橋正次が親密だ」という情報をキャッチした。すぐに周辺を洗ってみたが、まったくウラが取れず、完全にお手上げ状態。しかし、デスクは「あいつのネタだからガセじゃないだろう。婚約ということでやろうよ」と言う。結局、掲載してしまった。ところがなんと、相手は石橋正次ではなく前川清だということが発売日に判明! ウラが取れないのに、いきなり「婚約」と打ってしまうあたり、牧歌的な時代と言うか、いいかげんな時代と言うか……。印刷寸前に他誌のスクープのゲラをパクって記事を差し替え、結果それがガセネタだったということもあったそうだ。それはあまりにヒドい(笑)。

 ある女性大物歌手が妊娠中絶を繰り返していたというドロドロの話もある。これは壮絶すぎるらしく本書の中では名はふせられている。こういった”危ないネタ”はもっといろいろあったのではないかと思われる。それこそ墓場まで持って行ったネタが……。ま、そこまでの話でなくても、「今だから言える」ような興味深い話もいろいろと書かれている。

 梨元氏の人生は、そのまま芸能ジャーナリズムの歴史である。かつては「芸能レポーターの梨元サン」といえば、マイク片手にガンガン突撃取材し、「芸能人を追い回す嫌われ者」というイメージがあった。やがてワイドショーは下火になり、テレビは大手事務所に配慮した当たり障りない話題ばかりに終始するようになった。そんな中で、ジャニーズのスキャンダルも公平に報道しようとする梨元氏は、テレビ局とのケンカも辞さない「硬派な芸能ジャーナリスト」と映った。そして、ごく最近は、活動の場をケータイやネット配信に移し、さながら「IT芸能レポーター」となった。

 時代によって世間の持つ梨元氏のイメージは変わっても、梨元氏自身のやってきたことは約40年間、ずっと同じ。ファンの投稿やギョウカイ人の耳打ちからある情報を得たらそのウラ取りに東奔西走し、報道する。しつこい突撃も、テレビ局とのケンカも、ケータイでの情報発信も、そのすべてその「仕事」をきっちり行っているまで。そんな「仕事人」梨元氏が本書の中には生きている。ああ、あのウラ話、このウラ話、もっといろいろ読みたかったな。
(亀井百合子)

『絶筆 梨元です、恐縮です。―ぼくの突撃レポーター人生録 [単行本]』

梨元サンの後継者はどこにもいませんでした

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