[女性誌速攻レビュー]「美STORY」12月号

ゲイ人に「必ず勃たせる」秘技を教えてもらう、欲求不満な「美STORY」

2010/10/19 17:00
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「美STORY」2010年12月号(光文社)

 今月号の「美STORY」、表紙はアンジェラベイビーです。なんですかね、檀れいが出たかと思えば沢尻エリカが出るし。中山美穂が出たかと思えば、リブ・タイラーまで出ちゃうから、「美STORY」の表紙の基準が分かりません。同世代と下の世代の女優を交互に出して、「共感と反感」を交互に沸き立たせようという目論みなんでしょうか。表紙一つで、こんなにも女性ホルモンを刺激してくれる雑誌はないと思います。今月はアンジェラベイビーで読者の心に火を点けているようですが、肝心の記事は消火機能を果たしてくれるんでしょうか。

<トピック>
◎The 自分史上最高おっぱいショー
◎世界一受けたい”美魔女”の授業
◎ゲイ人 楽しんごさんに学ぶ、男が歓ぶ「極上マッサージ(はあと)」

■もはや治外法権のおっぱいショー

 今月は巻頭インタビューには、ポーラが血眼で広告を展開している新商品「BA」のイメージキャラクターを務める夏木マリ姐さんが登場し、いつもの「サバサバしている私」を語っておられますので、ご興味のある方はどうぞ。齋藤薫センセーもアンジェラベイビーという得体の知れない存在にぐうの音も出ず、「美しいだけで天才!」と徳光和夫並みのの心のこもっていない発言をされております。薫センセーは対象のパーソナリティーを理解しないと、若干テキトーにあしらうクセがある、と今月号で確信しました。

 そんでもって、今月号は大特集「美容で幸せになろう!」の前に、早くも月経が始まりそうな企画が登場しております。その名も「The 自分史上最高おっぱいショー」。オバサンたちの自己満足を、世間に押し売りするページでございます。「女は褒めてほしい生き物なの」とは林真理子センセーだか、内館牧子センセーだかが放ったセリフだと記憶しておりますが、まさに!

 そして肝心の中身は、ワコールのブラジャーを着けた中年女性がモノ欲しげな表情で佇むというだけのページでございます。もう何も言うまい、言うだけ火傷する。そんなページといえば、お分かり頂けるかと存じます。というか、どうぞお汲み取りください。

■目が釘付け

 大特集「美容で幸せになろう!」は寄せ集め感がぬぐえず、全体像が見えにくかったため、特に触れません。そして大特集に続く、今月号のおススメ企画は「世界一受けたい”美魔女”授業」です。ミス・ユニバース・ジャパン・ナショナル・ディレクター(中黒多すぎ!)のイネス・リグロンや、同じくミス・ユニバースのパフォーミング・パートナーとしてウォーキングスタイルを伝授するスティーブン・ヘインズなど、美のプロからいろいろ教えてもらえるそうですよ。ほかにもメーク講座や栄養バランスなどてんこ盛りですが、見るべきところはただ一つ! スティーブン(ブラックメン)が真っ赤なハイヒールを履いて、ウォーキングを教えている写真です。ほどよくボーボーなすね毛と、赤いハイヒールのコントラスト。見るものがなぜか背徳感を覚えてしまう、禁断の1枚となっておりますので、ぜひ!

■意思も人権もなく……

 そして巻末近くのたった2ページに、今月号の問題企画がございます。それが「ゲイ人 楽しんごさんに学ぶ、男が歓ぶ『極上マッサージ(はあと)』」。「美SOTRY」はもう隠すことを諦めたのか、楽しんごにストレートに企画趣旨を説明させています。

「今日、ボクが披露するのは、男が歓ぶマッサージ(はあと) 『喜ぶ』じゃなくて、『歓ぶ』だから、目的はひ・と・つ。(略)疲れたとか、酔ってるとかホザイてるパートナーをその気にさせちゃうマッサージです」
「マッサージする時は掌や指を使うと疲れちゃうから、肘や手首のバイブレーションを積極的に使ってくださいね。滑りがよくなるので、ローションを使うのもおすすめです」
「今回紹介したマッサージは(略)お客様の意思に関係なく必ず勃っちゃう秘伝の技」

 楽しんごが実際に自分で経営している整体医院でこれをやってると思うと怖いし、これを真に受けて「美STORY」読者が今晩励んでいると思うとさらに怖い。もう、旦那は「意思に関係なく」勃たせられた上、奥さんがいきなり乗っかってくるわけでしょう? セックスレス解消を叫ぶ前に、「旦那に人権を与えるか」というところから議論してほしいものです。

 今月も、「欲求不満」の一言で誌面が片付いてしまう「美STORY」。日光を当ててみたり、火であぶってみたりすると、以外にも「欲求不満」の文字が浮き出てくるかもしれませんよ。そんなわけはないけど。

 そして、そんな「欲求に飢えた」読者におススメなのが、「美STORY」公式HP上にある、連載「誰にも言えない恋」。46歳の熟女が旦那の愛人から突然の電話にうろたえ、クラブに出入りし、「男たちの格好の餌食」になって数カ月で5人と関係を持ったんですって。ただ、「私の体を求めて貪るように抱いていく」男たちに虚しさを覚え、「主人に私からセックスをせがみ、狂ったように毎日のように愛し合いました」とのこと。しかも旦那に浮気をただしていないんですって。「婦人公論」(中央公論新社)と違うのは、さりげなく「こんなにモテるのよ、私」自慢が入っているところでしょうか。「婦人公論」みたいに、ベジタブルセックスの一つでもしてみなさいよ! と言いたくなるけど、この「誰にも言えない恋」は読者の欲望を忠実に形にしたんでしょうね。46歳でクラブに出入りする――そこを誰もツッコまないのは優しさなのか、中年女性を”生温かく”見守っているのか。中年女性の欲望の濃さに、逆流性食道炎になりそうな今月号でした。
(小島かほり)

「美STORY」

不倫告白の内容は、中年向け女性誌で「様式美」のレベルに到達してるね

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最終更新:2010/10/19 17:00
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