ブックレビュー

『ゲイ能人勝手にカミングアウト』で有名人の魂の叫びを聞け!

geinoujinkaminguauto.jpg
『ゲイ能人 勝手にカミングアウト』
(鹿砦社)

 24時間マラソンで地球を救ったはるな愛、キレのある毒舌でコメンテーターとして各局ひっぱりだこのマツコ・デラックス、深夜の通販番組での可愛らしさに一部熱狂的ファンを持つKABA.ちゃん、新しいところでは「ラブ注入」で人気の楽しんごなど、今や「一番組に一おかま」と言われるほど、お茶の間での人気と知名度を高めているゲイタレントたち。BL(ボーイズラブ)が市民権を得て、セレブアイコンとしてゲイフレンドを求める女性たちが急増するなど、オネエ系に対してのアレルギーはほとんど無くなったかのように思われる昨今。

 しかし、かつてはゲイが色眼鏡で見られる時代もあった。今でもイメージをウリにする俳優や、社会的地位を確立した政治家や財界人にとって、ゲイであることはまだまだタブー。そんな、止むに止まれぬ事情により、自分のセクシュアリティーを公表できないゲイ能人たちに代わり、勝手に性のカミングアウトをしてしまおうというのが、本書『ゲイ能人勝手にカミングアウト』である。

 過去の言動や報道、巷(特に2丁目付近)の噂などを総合し、晴れてゲイ能人と認定。古代ギリシャ文明から、歴女が身もだえしそうな戦国武将、ハリウッドのあの人や日本を代表する俳優まで、その顔ぶれは豪華。まさに哲学、文学、絵画に音楽……”ゲイなくしてゲイ術なし”である。また「そっか~、だから男顔のオノヨーコと結婚したんだ~」とか「カミングアウトできないから、自分のこと”不器用っすから”って言うのね」など、知られざるゲイ事情を、これまた勝手に妄想できるのも本書の特徴。

 例えば、大物演歌歌手M.S。2度の離婚、恩師との泥沼騒動など話題に事欠かない彼もまた、ゲイ能人なのだとか。「歌詞を変えた、変えない」が発端と言われたあの騒動も、実は先生と弟子による愛憎関係のもつれが原因。しかもMは演歌の巨匠K.M(大正琴で有名)にも抱かれていた過去アリ。ジーパンのポケットに手を突っ込んで話題のH.Kといい、演歌歌手の方たち特有の”関係”があるのでしょう。

 10年ほど前にデヴィ夫人と喧々諤々のやり合いを見せた音楽プロデューサーのS.Mは、当時怖いものナシだったデヴィ夫人から”勝手に”カミングアウトされてしまった一人。まぁそのことは芸能界では周知の事実だそうだが、かわいそうなのはそのお相手とされた俳優のK.Tである。SとKが「たまに行くならこんな店~」と仲良く食事をする姿を、全国のお茶の間は想像したに違いない。私もです。

 また世間のゲイ認知度99%なのにもかかわらず、未だ明らかにしていないのが元祖トレンディ俳優K.T。最近ではドラマ『女帝薫子』(テレビ朝日系)にも出演し、ギラついたオーラを放っていたK。有名なお相手はハスキーボイス俳優M.Kで、二人でディナーショーをしたこともあるそう。『女帝薫子』での、紳士なフリして若い紗也の肉体を狙うあの目線、2丁目の飲み屋でもいかんなく発揮されているとかいないとか。

 その点、ゲイ能界の「2丁目超特急」こと、映画評論家の故M.Hは、そんなウワサにも軽妙洒脱だ。本書には我が「サイゾー」2005年のインタビュー記事が引用されており、そのやり取りはそこいらの芸人より面白く、アイドルより乙女♪ アシスタントで恋人のN.Kにお尻に何やら突っ込まれている画像をH.P上で公開したりと、時代の一歩先を行っていたM氏。ゲイ能界は惜しい人を亡くしたのだと、悔やまれてなりません。

 と、ネタばれするのでこのくらいにしておくが、豪華なメンツ、重箱の隅をつつくようなねちっこい検証、強引な展開……と一瞬たりとも目が離せない本書。もちろん鹿砦社の真骨頂、あの芸能事務所のJ.K氏の項目に関しては4Pにわたって解説。一方で「分かってくれ」とばかりにたった1行しか書かれずに”認定”されてる人もいて、その力の入れ具合と抜き具合のコントラストとムラ加減もまたご愛嬌だ。

 しかし根底にあるのは「ゲイであることをカモフラージュするために、誰かが犠牲になったり誰かを犠牲にしたり、世間を欺きながら自己欺瞞をも引き起こす、そんなまわりくどい苦労をする必要がどこにあるだろうか!」(本書より)という、行き場なき熱き思い。ゲイ能人の方々にとって、有り難いか迷惑かはさて置き、ゲイ能界の層の厚さに驚愕することは間違いない。ノンケでも分かるゲイ用語解説付きで、2丁目初心者にも安心の内容。最後にイギリスが産んだ巨匠、オスカー・ワイルドの言葉を引用してお別れしましょう。

「”その名を口にできない愛”とは偉大なる愛の別称です。(中略)このすばらしい愛を、なぜ世間は理解しようともしないのでしょうか。冷やかし、嘲笑し、時にはこのように晒し物にするのです」(本書より)。
(西澤千央)

『ゲイ能人 勝手にカミングアウト~ゲイの有名人総ざらえ』ゲゲゲのゲイ太郎編著

ゲイ能、ゲイ術の世界で大活躍した偉人や、現存の有名人のゲイ仲間をずらりと列挙。その顔ぶれの豪華さ、魅力に、さらにゲイ世界のすばらしさを認識できる画期的ゲイ能ガイド。

amazon_associate_logo.jpg

【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】
岩城滉一も逮捕歴あり!? 芸能人の過去や犯罪歴を学べるレコジャケ本が登場
イケメンたちの言葉から、真実の姿を描き出した『平成イケメンライダー91』
昼夜問わない性奴隷、不気味な注射……合宿所の内部を明かした問題作『Smapへ』

今、あなたにオススメ



サイゾーウーマンのSNS

  • 「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

関連リンク