『BL社長』刊行記念インタビュー(前編)

男子トイレマークの股間に●●が……リアル『BL社長』の受難な日々

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『BL社長』(リブレ出版)

 今や書店で専用コーナーができるほど、市民権を得ているボーイズラブ(BL)。男性同士の純愛や絡み合いにトキめく女性にはたまらない世界ですが、そこに団塊世代の”フツー”のオジサンが送りこまれたら……? 異次元空間ともいうべきBL最大手の出版社に新社長として送り込まれた、オジサンの奮闘ぶりを描いたマンガ『BL社長』(リブレ出版)が一部で熱~い支持を得ています。初めて読むBLマンガに戸惑ったり、校了前の編集部員に疎まれたり。そんな”ヘタレ攻め”社長のモデルが実在するとの情報をキャッチ。早速、『BL社長』並みに受難な日々を送っておられる、モデルのリブレ出版・岩越孝夫社長を直撃しました!

――BLをメーンに取り扱っている出版社の社長に就任、というお話が出た時、率直にどう思われましたか?

岩越孝夫社長(以下、岩越) 「BLは置いておいて」になってしまうのですが、「99パーセントが女子社員」という会社ということもあって、知り合いには「ハーレムじゃないか!」と言われ、密かに心躍らせました。今までが男比率の多い会社でしたので、どんなに華やかな職場なのだろうと。ですが、淡い気持ちはリブレに来てトイレに入ろうとした瞬間に消されました。

――えっ、トイレですか?

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証拠写真1でございます。素敵な
トイレでございます

岩越 そうなんです。男性用トイレ入り口にある男性マークには、股間に薔薇マークのシールが貼られているんです(証拠写真1)。そしてトイレの中には男性ヌードの写真が飾ってあって……それはいい形のお尻の……。入る度にため息が出ますが、勝手に動かしたら、やいのやいの言われそうで何もできません。怒ったり苦情を言ってもいいのですが「大阪人のくせにシャレが分からない」を言われたら……と思うとやはり未だに言えないのです。

――トイレについて、それほど悩まれている社長を初めて見ました(笑)。それはさておき、「BL」を商品として展開し、売り上げを上げていく立場、ということに戸惑いはありませんでしたか?

岩越 BLに関しては、実はかの名作『風と木の詩』(竹宮恵子著、小学館)などは読んだこともありますし、言葉としての「ボーイズラブ」は知識としては知っていました。またBLが商売として成り立っており、売り上げを出しているということも。ただ、私から見ればそれ以外は普通の商売と同じです。その点から言えば、今まで自分がしてきた「商品を売る」という観点から会社を盛り上げるように行動しています。

――コミックには、BLを勉強するために電車の中で読んでしまい、恥ずかしい思いをしたというエピソードも描かれていましたが……。

岩越 あのエピソードは本当なんです。今はもうブックカバーをつけて読めば良いのだということを学びました。

――表紙もそうですが、男性同士の性行為が濃い作品だと、電車では読みにくいですよね。

岩越 よく編集部員に「BLはファンタジー」と言われるのですが、ファンタジーなのにどうしてHシーンや局部がリアルに描かれているか、個人的にイマイチ理解できないのです。ファンタジーであるのならばもっとボカして描けばいいのになあと思うこともあります。なぜなのでしょう……。

――しゃ、社長、それは複雑な乙女心ってヤツなんですよ! やはり男性である岩越さんから見て、男性同士の恋愛に胸を熱くする女性は理解しにくいですか?

岩越 正直、どうして女性が男性同士の恋愛に対してファンタジーを抱けるのか不思議でした。BLのキャラクター、特に”攻”と呼ばれるキャラクターは十中八九美形で、仕事も出来て金持ちです。職業でいったら、ホテル王、アラブの王族、各国の貴族、そしてヤクザの親分……とキラ星のような男がゴロゴロ。「そんなカンペキすぎる男おらんやろ!」とツッコミたくなる男ばかりが登場するのです。そんな男、現実にいるわけないじゃないですか。でも編集部員や作家さん、読者さんはそういう男に憧れてやまないそうで……。男としては複雑な気持ちです(笑)。
 ただ「BLは女性の癒やしだ」という話を編集部員にされます。今は女性も普通に社会進出をし、男性と肩を並べて仕事や勉強をしていたりする。そんな女性が、現実にはあり得ないようなステキな男性のストーリーを読む……それがストレス解消になったり、明日への活力となるそうなのです。そういった意味で、現実と変わりないくらいのレベルの男はお呼びじゃないんでしょうかね…….?
後編へ続く、文・構成=小島かほり)

『BL社長』

岩越社長をモデルとした、団塊世代のサラリーマンが、ある日突然BL最大手出版の社長に就任したことから始まった受難の日々が描かれる。同人誌即売会に潜入したり、BLマンガを読みふけって知識を身につけようとする社長の奮闘ぶりと同時に、BLコミック誌の編集会議の内情なども描かれ、お仕事マンガとしても楽しめる。

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