[女性誌速攻レビュー] 「VERY」9月号

夫とは2カ月に1回……「VERY」のセックスレス特集から見えた「女の地獄」

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「VERY」 10年9月号/光文社

 汗が滝のように流れ落ちるこの頃ではありますが、月刊の女性誌にとっては既に9月号が発売されています。ファッションも初秋物が誌面を占め、一足先に秋を感じる作りとなっております。そういった流れにして、今月号の「VERY」はなぜか、「母さん、夏の終わりに豹になる!」という大特集をぶち込んできました。モードの秋、シックな秋に、間違ってえなりかずきが出てきそうな企画名。何を狙っているのだろうかと思っていたら、表紙の下にありましたよ。「仲良しなのにセックスレスがとまらない!」の文字が。もしや「VERY」も、「an・an」のような猫だまし戦法をとるようになったのでしょうか。早速、今月号も端から端までチェックしたいと思います。

<トピック>
◎母さん、夏の終わりに豹になる!
◎「その後も活躍」の2学期行事服見つけた!
◎仲良しなのにセックスレスがとまらない!

■「母さん」はいろいろ大変です

 まずは今月号の大特集「私たちを秋へとつなぐ、柄があります 母さん、夏の終わりに豹になる!」から見ていきましょう。リードによると、「子供たちとべったり過ごす夏休みも終わりに近付きます。しばらく影を潜めていた『オシャレ心』と、そして『女心』がうずいてきませんか?」とのこと。そしてそんな時こそ、「豹」だということです。この秋は豹柄が流行るということで(といいつつ、毎年豹柄は「流行ってる」ことになってますよね)、豹柄アイテムの紹介やコーディネート術など17ページを使って、気合十分。

 と思いきや、次のページからは「夏の終わりにチェックでロンドンガールになる」「夏の終わりに迷彩でミリタリーハンサムになる」「夏の終わりに水玉でヘップバーンになる」と、多重人格にもほどがある、っていうぐらいまったく違うテイストをガシガシ押し付けてきます。新作が溢れる季節はどうしても、誌面の中でも”精神分裂”が起こるのは仕方のないこと。でも、やっぱりえなりかずきは出てきませんでした。「夏の終わりに、三角巾で”幸楽”になる」とかありそうなもんなのに。ないか。

■洋服でマウントし合う女たち

 子どもを私立幼稚園・小学校を通わせているママが読者に多いことから、「VERY」ではお受験や学校行事に絡めたファッションページが登場します。今月は関連企画が2本と充実。

 まず1本目は「『その後も活躍』の2学期行事服見つけた!」です。2学期は、運動会、遠足、バザー、お芋掘りなど行事が盛りだくさん。そのためだけに服を買うのはもったいので、「その後」も日常使いができるアイテムやコーディネートを紹介する、という内容です。「ジーパンで十分だろうが!」という心の声を静めてページを開くと、「コンサバ派VS.リベラル派 先輩ママの座談会」という、なんとも危険な香りのする企画が! そして、”奥さま”と言われる人たちの必殺技「謙遜のフリした嫌み」がさく裂して、いいお味に。

リベラル派「●●さんのように、毎朝キチッとした服で送り迎えしているママって、本当に偉いと思います」
コンサバ派「デニムやカーゴパンツはいて登園しているママたちを見て、楽そうで羨ましいなと思うことはあるけど、もう慣れちゃったから平気。(略)実はカジュアルな送り迎え服のほうが、考えるの大変じゃないかしら」

 ええ、奥さま、もう大変ですわ~、と心にもない相づちをうちながら、もう一つの企画「お受験スーツはセパレートが使える」をチェック。奥さま、知ってました? 志望校によってお受験に着ていくスーツって違うんですって。まあ、大変。キリスト教系女子校とか、リベラル系共学とかカテゴリーもあって、ご用達のブランドも違うんですって。あら、困るわね~。両方狙う時は、スーツもまた別に買わなくっちゃいけないのかしらね~。そうよね、スーツごときで先生たちに変な目で見られたら困りますもんね~。っていう流れで、ちゃんと「VERY」の言う通りに買うんでしょうね。「VERY」及び掲載アイテムのブランドにとっては、本当にありがたいお客様です。

■「子どもがいるとは思えない」と言われる女でも……

 最近は、オジさん系週刊誌を筆頭に、どこもかしこも「セックスレス」を特集していますが、その波が「VERY」にまで押し寄せるとは。「仲良しなのにセックスレスがとまらない!」では、その赤裸々な現状を語っています。これによると、夫とは2カ月に1回セックスするのが大多数で、自分たちをセックスレスだと思っている人は83%! そのうち88%の人が現状を解消したいと思っているけど、「子ども中心の生活になっているから」と、地団太踏んでいる人が多いようです。

 ページの企画としては、読者アンケートをまとめた上で、現在進行形のケーススタディをあげたり、セックスレスを機に夫婦関係が好転・悪化したケースを紹介したりと、無難なつくり。ケーススタディでも、「婦人公論」のようにベニアズマも3Pも出てきませんが、これが至って普通のセックスレスの現状なのでしょう。

 ただ、「VERY」でこのような”まっとうな”セックスレス特集が掲載される、という事実にずどーんとした重みが……。結婚・出産を経験し、子育て真っ最中でありながらもファッションにこだわり、センスもよく、家計がひっ迫するなんて経験もない。そうありながらも、「夫に女として見てもらえなくなるのでは」と常に怯えて生きていく……。価値観の多様化なんて陳腐な言葉でしか片づけられない現代ですが、女の幸せにゴールがないということだけは、今月号の「VERY」によって感じさせられました。

 今月号の「VERY」には、ほかにも離婚のことを「シングル・アゲイン」と呼ぶこと、「学童保育」に民間がどんどん参入し、月12万円もかかる施設があることなど、未知なる分野をいろいろと学ばせていただきました。いつも笑わせてもらいこそすれ、学ぶことはなかった「VERY」なだけにまた魅力を再確認しました。「VERY」ウォッチャーの名に恥じぬよう、来月号もしっかり拝読させて頂きたいと思います。
(小島かほり)

「VERY」

井川さんも「シングル・アゲイン」にならないようにねっ!

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