[女性誌速攻レビュー]「I LOVE mama」9月号

仏恥義理(ぶっちぎり)にしまむら羅舞(ラブ)な 「I LOVE mama」9月号

ilovemama1009.jpg
「I LOVE mama」(インフォレスト)

 夜の蝶々たちをターゲットに据え、”盛り”ブームを築いた「小悪魔ageha」(インフォレスト)。そして、アゲ嬢的盛りテイストを継承しつつ、歌舞伎町から家庭の台所へとその舞台を替えたギャルたちの第二の人生に寄り添っているのが、この「I LOVE mama」です。メイクやファッションのテイストではかぶることの多い両誌ですが、”所帯”というエッセンスが加えられた「I LOVE mama」では、節約や嫁姑問題、ダンナのDVなど盛り方もレインボーに。”美”と”ちびコ”にあまりにもひたむきなママたちの日常は、日曜昼さがりのドキュメント番組にも匹敵する危うさが満載です。酷暑に負けない強靭なつけまつ毛のママたちを、今月もしかと拝見させていただきます。

<トピックス>
◎美ママ2010 夏のド★リアル実況中継
◎美ママ14人の真夏メイクを最終発表
◎ママとちびコのゆかた物語 

■しまむら愛に刹那を思う

 今月号は「日本の美ママ総集結!! 真夏の大スナップスペシャル号」と題し、北は北海道から南は沖縄まで全国の美ママたちが、オール私服+自分メイクで登場しています。「今回集結したイケてる親子は鬼ヤバの200人超え!」です。今月も、誌面を少したりとも無駄にするまいという文字と写真の詰め込みっぷりで、野菜のクズをおかずに蘇らせるミラクル雑誌の本領を発揮しています。

 関東ママ、関西ママ両方から絶大な支持を受けるマジ神ブランド「しまむら」は、見開き2ページで掲載。「ドンズバなアイテムがきっとみつかる夢の島」「ボヘ系を狙うならしまむら畑が大豊作」「NOしまむらNOライフってくらい好きやねん」など、しまむらに向けての最大級の賛辞が送られております。巻末に4ページの広告が入ってるからとか、そんな大人の邪推を通り越すこの勢い。

 しまむら的な「○○っぽくね?」で十分なのが「I LOVE mama」という媒体。逆に高級ブランドなど「本物が語る」的な要素は、華奢な身体のママたちには重すぎるのですね。きっと彼女たちは本物が何かなど考えたこともないでしょう。それでいいのです。だって若いんですもん。タイトルに”ド★リアル実況中継”とありますが、ママたちは生きている今こそがリアル。先を見通さないその刹那な感じは、「15で引退」的な昭和のレディースに通じるところもあり。仏恥義理です。

■ありがとう、編集部さん!!

 梅雨明けの10日間は、一年の中で最も暑いといいます。化粧するそばから汗が吹き出し、ファンデを塗ってるんだか汗を伸ばしてんだか分からなくなるこの季節。アイメイク命の美ママたちにとってはいかばかりかとお察し申し上げます。そこで「真夏メイクを最終発表!!」では、美ママたちが研究に研究を重ねた、蒸し暑さに負けないメイクを一挙公開しています。

 ブロンズ肌派の千佳ちゃんは「エメラルドグリーンの宝石マーメイドEYE」、白肌系ののだはなちゃんは「朝から晩までメイクはキープでわっしょい★」と己のメイクにはまったく役に立たないが図鑑のように楽しいページをめくっていくと……な、なんと!! 詐欺メイクの大御所、日菜あこちゃんのキャッチに「ラメとストーンでめっちゃ夏やんギラギラパラダイス目元銀河★」の文字が!!

 今まで「I LOVE mama」に登場する、昭和歌謡から作りだされたキャッチの秀逸さを、このレビューで散々唱え続けて参りました。しかし最近めっきりご無沙汰だったわけでありますが、そんな私の願いが通じたのか。その中でも特に光GENJIは、醸しだされる微妙さと危うさと素朴さが「I LOVE mama」の世界観と、時空を超えて運命(さだめ)のように結びつくのです。「パラダイス”目元”銀河」……ストレートかつポップです! 「めっちゃ夏やんギラギラパラダイス目元銀河」の、どこで区切っていいか分からないところとかも素晴らしいです! 残念ながら今月の昭和歌謡はここだけでしたが、深夜のラジオ番組に投稿したハガキが読まれた時の、あの甘酸っぱい感じが再び蘇った真夏のメイク特集でした。

■シンママの壮絶なツラバナを聞け!

 ママになった途端、急激に脳内母性が活発化されたのか、昨今のママタレントたちの増殖っぷりには目を見張るものがあります。大抵「子どもがいてくれるからがんばれます」とか「食べるものとかにも気をつけるようになって」とか「自然環境って大切ですよね」などの商売文句が並べられるわけですが、その点「I LOVE mama」のツラバナはガチでライブ感満載。「仲本沙織と百愛の二人三脚」では、ラブママ24で人気のシンママ(シングルマザー)、仲本沙織ちゃんが自身の壮絶な過去を語っています。

 沙織ちゃんは結婚半年でダンナと離婚。その理由はずばりDV。「妊娠を機に家族の反対を押し切って結婚したけど、私の携帯の電源が切れただけで浮気してると思うくらいの過度の心配性」だった元夫。「電源が切れたまま女友達と外食していたら、血相変えた元ダンナに外に引きずり出されてボッコボコ!」これにより沙織ちゃんはろっ骨が折れたのだとか。その後はDV男にお決まりの”妙に優しくなる”パターン。しかも「もうしないでね」と元ダンナが言い、「悪いのはいつも私で。私は心もカラダもボロボロでした」。

 パパがいない分、二人分厳しく、二人分優しくちびコに接しているという沙織ちゃん。最後の「ホントに普通でいいから、パートで働きながら主婦やって、家族の帰りを待つような温かい家庭を作るのが夢なんです」という言葉に、思わず感涙。ボコボコじゃなくてボッコボコにされた過去があるからこそ、普通の幸せが愛おしく思えるのでしょう。しかしこの普通の幸せというのがこれまた厄介で、近くにあるのに手を伸ばそうとすると消えてしまうような……。優しさの中に強さを秘めた、経験豊かな沙織ちゃん。妙齢になったらいいスナックのママになれそう。ちょっとしゃがれた声で「銀恋」でも歌って、疲れたオトコたちを癒してあげて欲しいと思いました。

 というわけで、激安服にオリジナルメイク、不幸を背負い強く生きる決意と「I LOVE mama」の要素を盛り込んだ今月号。もはや「ゼクシィ」並みに、同じことを何度も焼き直している感が強いのですが、そこは「結婚間近の女」「ギャルママ」という一瞬しかとどまらない属性を相手にしている媒体の苦悩といいますか……。ただ、結婚はそうそう進化しなくても、「ギャルママ」はまだまだ可能性が残されているはず。まだまだ未知なる悪羅悪羅(おらおら)道を楽しみに、来月まで首を長くして待っております。
(西澤千央)

「I Love mama」

表紙も「ゼクシィ」みた~い

amazon_associate_logo.jpg

【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】
洗面台で腕立て、掃除機で腹筋… …ど根性ダイエット満載の「I LOVE mama」
聖地が渋谷から日暮里へ!?  「I LOVE mama」に構築された京成線的世界観
旦那のおかずはくず野菜!  「I LOVE mama」界における安盛りの実態とは

今、あなたにオススメ



サイゾーウーマンのSNS

  • 「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

関連リンク