[TVツッコミ道場]

笑いづらいです! 「はねトび」芸人の母の日企画

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『はねるのトびら IV』/フジテレビ

 今回ツッコませていただくのは、5月12日に放送された『はねるのトびら』(フジテレビ系)。この日の企画は「母の日緊急企画 手作りお弁当バトル」というもので、芸人たちの母親が作ったお弁当を、ゲストが食べておいしいと思う弁当から抜けていき、最終的に「不人気No.1」を決めるというもの。以前、女芸人の手料理でやってた企画の母親版といったところだ。

 出場したのは、番組レギュラーのキングコング梶原とロバート山本、それからフットボールアワー後藤、ザブングル加藤、小島よしおの5人のお母さんたち。もちろん息子も一緒です。

 そんな芸人の母軍団自慢の特製弁当、一体どういったものなのか。

 まず紹介されたのが梶原母の「目で見て食べる弁当」。手作りハンバーグとだし巻き卵に梅干しご飯という、オーソドックスな弁当。続いては山本母による「愛情あふれるお弁当」。そぼろご飯とホウレン草の卵巻き、唐揚げ、ウインナーなどといった、これも人気の品がそろった弁当だ。後藤母の弁当といえば、「ナニワのおかんの変わり弁当」。焼きそばパンにタマゴサンドにホットドックという、ロールパン3種によるパンのお弁当。「大阪では定番」だという、カレー味のキャベツが挟まれているのがポイントという。それから、地元久米島で沖縄料理店を営むという小島母による「マブイ 魂のお弁当」。ラフテーや混ぜご飯などの沖縄料理ベースのお弁当である。そして、加藤母の「♪幸せって何だっけ さんま弁当」に、大きなどよめきが起こった。おにぎりときんぴらごぼうなどの入った弁当の中に、さんまの缶詰がそのまま(未開封)ゴロリと入っている。「弁当箱の中に金属が入ってるなんて、おかしいじゃないですか」と、思わず後藤もツッコまずにはいられないパンチ力だ。

 進行役の北陽も含め、出演者同士の間では、加藤母の缶詰弁当が「不人気No.1」の本命視という空気になっている。当の息子である加藤も、「もう、ほぼ答え出てるじゃないですか」後藤も「明らかやんか」と言う。しかし加藤母本人は、「分かりませんよ」「缶詰ほどいい物はないんですよ。栄養もありますし」とポジティブだ。

 最初の審査ゲストは森泉。試食した結果、まさかの缶詰弁当を選び一同騒然。きんぴらがおいしかったとの理由で、問題の缶詰については、「斬新なアイデア」と、好意的に受け入れていた。とはいうものの、結局食べたのはきんぴらだけで、缶詰は食べてなかったが……。

 続くゲストの井上和香が梶原母の弁当を、最後に辻希美が小島母と後藤母の弁当を2つ選び、最終的にはロバート山本の母の弁当が残るという結果になったわけだが、選ばれていく過程で、残っている母親たちの空気やテンションが、なんとなく沈んでいるように見えるのが気になった。

 さすが芸人の母だけあり、それぞれのお母さんのキャラはとてもよく、ギャグ、天然ぶり、面の皮の厚さ、テンポなどとても面白い。とはいえ、お弁当を味わったゲストが、芸人の母とはいえ一素人に対し、「これ、あんまり好きじゃない」「結構味は普通」「生理的に受け付けないというか」「申し訳ない。クサい」といった発言を連発しているのは、面白いが、ちょっと笑いづらい。日ごろけなされたり笑われたりすることに関してのプロである女芸人なら安心して見ていられるが、そうではない人たちのため、ハラハラしていたたまれない気持ちになってしまう。息子たちも、「僕らが負けるのはいいんですけど、おかんが負けるところ、見たくないんですよ」(梶原)、「お母ちゃんいじめんの、やめてくれないかな」(山本)などと言い、笑いを取ってはいたが、結構本音に近いところもあったような気はする。

 また、若い女性に順位を決めさせたことも、女性として、主婦として大先輩であるお母さんたちのいたたまれなさを強調してしまった。女芸人の回のように、イケメン俳優やタレントで良かったんじゃないのか。選ばれなかったところで、「あの人も顔はいいけど、舌はちょっとね」とか「私、もともと好みじゃなかったのよ」とか毒も吐きやすいし、「お母さん、さっきまで夢中でしたやん!」とか、いじりやすくもなるだろうし。こんな方向の毒は、同性には吐きづらい。

 母として、息子のためにずっとがんばって、お弁当も作ってきた。息子はそれを食べて「おいしい」と笑顔を見せて、その笑顔でお母さんも幸せを感じる………、みたいな背景に思い浮かべると、「味がない」だの「クサイ」だの同性である若い女に言われ、それを聞いているお母ちゃんたちの顔が映ると、やっぱり心の底からは笑いづらい。

 最後、ビリになってしまった母を気遣い思い切り抱きしめ、「お母さん、いつもいつもありがとうね。母ちゃんのご飯は、日本一!」と叫んだロバート山本。ゲストに「味がない」「パサパサ」と酷評され、誰にも選ばれなかった弁当を、エンディングで「全然いける!」「うまい!」とかき込んで食べている様子、それが普段落とされることの多い加藤や小島、親子で笑いをとれる後藤や梶原でなく、地味な山本というところに、悲しさ大爆発である。

 誤算につぐ誤算。母の日に見せた親子愛というよりは、いたたまれない切ない空気ばかり感じる親子企画でした。
(太田サトル)

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